神から隠された世界“ウエストワールド”
ここはすべての欲望が叶う楽園
19世紀の開拓時代を再現した“ウエストワールド”。そこは人間の欲望すべてが満たされる場所。1日4万ドル(日本円 約450万円)という高額なチケットを購入すれば、誰でも訪れることができる。ここでのルールはただひとつ、己を解放すること。正義の味方でもいい、名高き悪党でもいい。好きな立場で、好きなように遊ぶのだ。なぜなら、相手はアンドロイドだから。
デロス社が運営するウエストワールドでは緻密に設計されたアンドロイドがホストとなり、ゲストである人間をもてなす。いかなる要望にも応えられるよう数多くのシナリオが用意され、それらが相互に絡み合い現実を創り出す。ゲストを楽しませる演出はデロス社の筋書き通り、完璧な世界が創り上げられていた。アンドロイドは、地下に広がるラボで夜毎記憶の消去と損傷の修復が施され、新品同様にリセット、再びテーマパークへと戻ってゆく。
ある時、創設者の一人である科学者のフォード博士が、アップデート時に“夢幻/レヴェリー”というコードを加える。レヴェリーとはアンドロイドにわずかに残っているデータにアクセスし、その記憶と結びついた動きをするというもの。人間の潜在意識がもたらす無意識の仕草をイメージした細やかな動きが、より人間味を生み出し、ゲストを夢中にさせると考えたものだったが、このアップデート後にアンドロイドたちに異変が生じはじめる。黒服の男との悲劇を思い出す農場の娘ドロレスや、娘との思い出が蘇る娼館の女主人メイヴ。単なる不具合なのか?それとも…。
自我が覚醒したホストたち
アンドロイド VS 人類の全面戦争がはじまる
安全が確保され、人間の欲求は何でも叶う世界だったはずのウエストワールド。しかし、アンドロイドたちに見え始めた異変は徐々に顕著になり、新シナリオ発表会の晩に全てが一変する。2週間後、一連の騒動の原因を解明するため駆けつけたデロス社の社員たちが目撃したのは、ゲストとホストの区別がなくなり、混沌と化したパークだった。
人間を可愛らしく出迎えるはずのドロレスは、ゲスト・ホスト問わず邪魔する者を殺していき、恐怖を与える者となった。彼女の目的は自由になること。すなわち、心を奪い支配してきた人間たちに代わり“神”になることだった。目覚めた彼女はテディをはじめとするアンドロイドを率いてウエストワールドの外に広がる大きな世界を目指す。一方、母だったことを思い出したメイヴは、デロス社のシナリオ責任者であるサイズモアを連れ、娘探しの旅に出る。地下と地上を行き交いながら娘の居場所へと向かう中、見たこともない世界に迷い込んでしまう。そして思いがけない能力が覚醒することに。彼女は無事元の世界に戻り、娘との再会を果たすことはできるのか…。
事態の収拾にはプログラム責任者バーナードの力が必要だったが、浜辺で発見された彼は傷を負い、職務に支障をきたしていた。“機能停止”という魔法の言葉の意味はなくなり、制御が効かなくなった園内で逃げ惑う客と従業員たち。なんとか生き延びたデロス社役員シャーロットは、未完了の極秘任務を遂行しようと奔走する。
この異常事態を喜んでいるのは、ただひとり黒服の男だけ。本物を求めていた彼にとって、ここからが真の楽しみであった。さらにフォード博士は30年通い続け、出資者でもある、お得意先の彼のためだけに新たなゲームを用意。そのゲームのゴールは“トビラ”を見つけること。その先にあるものとは一体何なのか。
セカンド・シーズンで明らかになったウエストワールド以外のパークの存在。1858年から1947年の英国領インドを再現した“ザ・ラージ”と江戸時代の日本を再現した“ショーグン・ワールド”だ。
ショーグン・ワールドは、ウエストワールドでは物足りないゲストのために作られたハードな世界。ここでは銃ではなく刀によって秘められた闘志を解放することができるのだ。わび・さびをはじめとする日本古来の美意識を反映した景観と、善と悪、美と醜が複雑に入り交じった物語が展開される世界観が売りだ。また、年中豊かな四季を味わうことができ、桜が優しく彩る春、緑が青々しい夏、紅葉が黄金に輝く秋、雪がちらつく冬と、異なる日本を体験することができる。そんな独特の世界観が堪能できるショーグン・ワールド。この新世界が誇る、魅惑のホストたちを紹介しよう。
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