舞台は架空の大陸ウェスタロス。かつて七つの王国から成ったウェスタロスはターガリエン家によって統一され、征服した王国の剣を溶かして作った鉄の玉座が最高権力の象徴として崇められ続けていた。
バラシオン家の領主ロバートの反乱により、絶対的支配を誇ったターガリエン王朝が崩壊。ロバートは裕福なラニスター家の長女サーセイを妻として迎えるが、そこには愛も信頼もなかった。古くからの親友ネッドを頼りにしていたロバートは、ネッドを側近“王の手”に任命する。北の王国を治めるスターク家の領主であったネッドは娘のサンサとアリアと共に故郷ウィンターフェルを出て、王都キングズ・ランディングへと向かうのであった。
しかし、ネッドは着任早々に王位継承権をめぐる禁断の真実を知ってしまう。サーセイの子供たちの隠された秘密を…。かねてよりラニスター家の双子ジェイミーとサーセイの許されない関係は噂になっていたが、ネッドは核心をついてしまう。ロバートが謎の死を遂げ、権力のある味方を失ったネッドは、ラニスター家が主権を握る王国で反逆罪に問われ、娘たちの身にも危険が迫る。こうしてスターク家の悲劇は始まったのだった。
その頃、ネッドの落とし子としてスターク家で育ったジョン・スノウは、凍てつく北方の地にそびえ立つ巨大な壁へと向かっていた。“ホワイト・ウォーカー”と呼ばれる謎の種族から王国を守るために建てられた高さ200メートルの壁を守るのは、冥夜の守人/ナイツ・ウォッチと呼ばれる男たち。死者を蘇らせる力をもつホワイト・ウォーカーは絶滅したと信じられており、今や壁の向こうの脅威は野人だけだと思われた。しかし青い目の不気味な魔物が目撃されるようになり、ホワイト・ウォーカーの復活が噂されはじめる。真の敵はホワイト・ウォーカーであると考え、野人との協力を試みるジョン・スノウは、次第に人々から一目置かれるように。
ホワイト・ウォーカー以外にもウェスタロスを狙う者がいた。王座奪還を目論むデナーリス・ターガリエンだ。前王室最後の末裔である彼女は、騎馬民族ドスラク人の王カール・ドロゴに嫁ぎ、最強の兵力という後ろ盾を得た後、ドラゴンの母に。レイガル、ヴィセーリオン、ドロゴンの3匹を従えて次々と奴隷を解放し、大兵を率いて勢力を拡大していくのだった。
デナーリス陣営には初期から共に戦ってきたジョラー・モーモント、ミッサンディ、グレイ・ワームに加え、女王の手ティリオン・ラニスター、ヴァリスが揃う。極めつけはジョン・スノウ。北部の王であり、野人やナイツ・ウォッチからの信頼が厚い彼がデナーリス軍に加わることは大きな意味をもっていた。ジョンと共にダヴォスや、シオンとヤーラのグレイジョイ姉弟、そして北部の民がデナーリス軍に付く。
一方サーセイ陣営には、元メイスターで、女王の手を務めるクァイバーンや“マウンテン”ことグレガー・クレゲインといった忠実な僕たち。「一族以外、みんな敵」というサーセイの言葉通り、長きに渡ってラニスター家に仕えてきた信用できる者だけが側に控えていた。彼女の最大の武器は、黄金兵団/ゴールデン・カンパニー。そしてユーロン・グレイジョイが率いる鉄水軍。領主の後継争いで二分したグレイジョイ家のうち、ユーロンは大船団を率いてサーセイ軍に加わった。サーセイの寵愛を虎視眈々と狙う命知らずな男ユーロンは大海原での激戦に挑んでいく。
全面対決に向けて緊張が高まっていたウェスタロスだが、夜の王/ナイトキング率いる死の軍団の襲来がすぐそこに迫っていた。人類の滅亡と大陸の支配を目論むナイトキングは、絶対的な最後の砦であった巨大な壁を崩壊させ、力は最高潮に。
真の敵ホワイト・ウォーカーを葬るため、今こそ手を組む時。大決戦を見据え、生き残った猛者たちはウィンターフェルに集結する。かつて夫婦だったサンサとティリオンはウィンターフェルの女城主と女王の手という形で再会を果たす。その他、悲劇の転落以来のブランとジェイミー、強い兄妹愛で結ばれたアリアとジョン、サンサとデナーリスなど、ウィンターフェルは稀に見る再会や出会いで溢れていた。
そして迎える命懸けの大戦前夜。最後の夜に人々は何を思うのか…。いまだかつてない生者VS亡者の壮絶な大戦の火蓋が切って落とされる。
TVシリーズの常識を覆した伝説の海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」。全世界で1500万部を突破したジョージ・R・R・マーティンのベストセラー小説「氷と炎の歌」を巨額の製作費を投じ、HBOが壮大な世界観で完全映像化。最終章の製作費は1話あたり約15億円と言われ、映画顔負けのスケールを誇る。2011年の放送開始以来、180以上の国と地域で親しまれ、世界中を熱狂の渦に巻きこみ社会現象に。エミー賞では最多受賞&ノミネートの記録を次々と塗り替えていくという偉業を成し遂げた。
傑作と呼ぶにふさわしい本作の見どころのひとつは、大迫力の映像美。スコットランドやアイルランドなどロケ地は世界各国に及び、時に僻地に赴くことも。最終章では、最高潮の盛り上がりをみせるナイトキングとの決戦の撮影のため、55日間に及ぶ夜間撮影を決行。過酷な状況の中、ミゲル・サポチニク監督の下、スタッフやキャストが総力を結集し、息をのむ大迫力の戦闘シーンを作り出した。
さらに2シーズンぶりに、デヴィッド・ナッター監督が参加。歴代エピソードの中でも特に衝撃的な「キャスタミアの雨」や「慈母の慈悲」を手掛けたナッタ-監督は最終章の第1話、第2話、第4話を担当。同時進行で展開する各キャラクターの戦いは、臨場感溢れる緊迫したシーンの連続だ。
最終話の監督を担当したのは本作の生みの親でもある製作総指揮・脚本のデヴィッド・ベニオフとD・B・ワイス。第4話では二人揃って野人として出演も果たしている。
総勢100名を超える登場人物が織りなす複雑で重厚な人間模様や、緻密に練られた予想のつかないストーリーなど、語り尽くせないほど数多くの見どころで観る者を魅了してきた本作は、数々のスターを輩出。当初無名の俳優も多かったが、デナーリス役のエミリア・クラークやサンサ役のソフィー・ターナーをはじめ、今や映画・TV問わず幅広く活躍している。
各界に計り知れないほど大きな影響を与え、金字塔を打ち立てた「ゲーム・オブ・スローンズ」。数多の英雄たちが創り上げた伝説は、世代を超えて語り継がれるに違いない。