第68回エミー賞で2年連続の最多受賞となる12の賞を獲得した
「ゲーム・オブ・スローンズ」。TVシリーズの枠を超え、世界中で大人気の歴史的
大ヒットドラマの最新章<第七章:氷と炎の歌>がいよいよ幕をあける。
ロバート王の死後、覇権争いが激化している七王国・ウェスタロス。首都キングズ・ランディングでは、反対勢力を大聖堂ごと爆破し、サーセイが女王の座に就いていた。王座奪還を目指すデナーリスは、艦隊を引き連れて故郷ドラゴンストーンへ。一方、野人を壁の内側に引き入れた罪により、ナイツ・ウォッチに胸を刺されて一度は死んだジョン・スノウだったが、メリサンドルの魔術により奇跡的に復活。その後サンサと合流し、北の居城・ウィンターフェル城をラムジー・ボルトンから無事に奪い返したジョンは北の王となったのだった。
ドラゴンを引き連れたデナーリスの上陸により、ヒートアップする覇権争い。さらには、北の壁に迫り来る“死の軍団”との戦いや、ついに明かされるジョン・スノウの出生の秘密など、ハラハラドキドキの展開が目白押し!最終章となる第八章まであと少し。一気に物語が加速する第七章から目が離せない。
デナーリスの上陸により、激突必至の覇権争いが見どころの第七章。ドラゴン、穢れなき軍団、ドスラク人の騎馬隊を従えて、ついに生まれ故郷ドラゴンストーンへの上陸を果たしたデナーリスは、<女王の手>となったティリオンの智略で、ハイガーデンのタイレル家やドーンのマーテル家、グレイジョイ家のヤーラとシオンなど、女王サーセイと因縁のある面々と協力し、王座奪還を目指していく。一方、女王の座に就いたサーセイは、最愛の息子トメンを失ったことにより、ますます冷酷非道に。ジェイミー率いるラニスター軍団のほか、圧倒的な戦闘力を持つグレイジョイ家のユーロンと共に、反抗勢力の制圧に向かっていく…。
裏切り、謀略、裏の裏をかく戦略など、予想できないスピーディな展開やスペクタクルな戦いのシーンは手に汗を握る。ドラゴンの参入によりスケールアップした迫力の戦闘シーンは大作映画のよう。ドラゴンの背に乗り「ドラカリス」という言葉で敵を焼き尽くすデナーリスの勇姿も見どころだ。火花をちらすデナーリスとサーセイの戦いの裏で、北部では、すぐそこまで迫り来るホワイトウォーカーら“死の軍団”の脅威に対抗するため、ジョン・スノウが“ある準備”を始めていた…。
果たして、生き残るのは誰か!?覇権を握るのは誰なのか!?そして、ホワイトウォーカーら“死の軍団”から無事、人類を守りきることができるのか!?
「ゲーム・オブ・スローンズ」の魅力のひとつとして、キャラクター描写の素晴らしさが挙げられる。イケメンのジョン・スノウやジェイミーだけじゃなく、しっかりと脇役や敵役、時には悪役にさえ人間味や悲哀を感じさせてくれるのだ。戦闘シーンの多い第七章では、特に脇役の存在感が光っている。イケメンでなくともかっこいい、戦う男達。スタニスに忠義を尽くし、今はジョンとともに行動する“玉葱の騎士”ダヴォス。灰鱗病を患い、涙を飲んでデナーリスの元を離れた剣士ジョラー・モーモント。かつてはティリオンの傭兵隊長、今はジェイミーの良き相談役であり腕利きの傭兵であるブロン。腕っ節が強くたくましい野人のトアマンド。炎の剣で戦い、何度も生き返る奇跡を見せる<旗印なき兄弟団>の二人。アリアやブライエニーとの交流で生まれ変わった強面ハウンドなど、脇役達のかっこよさが滲み出ている。
もちろん、自らドラゴンに乗って戦うデナーリスをはじめ、最強の女剣士ブライエニーやデナーリスの側近ミッサンディ、たくましく成長したアリアなど、精悍な女性陣の活躍も見どころ。特に、翻弄される子供だったサンサが芯の強い“レディ”になった姿には胸を打たれる。
戦闘シーンの多い第七章だが、いつ死んでしまうかわからない世界にいるからこそ抱く、伝えたい“愛情”に溢れている。男女間のラブロマンスに限らず、戦う中で生まれる連帯感や、信頼関係、忠義心。
ジェイミーとブライエニー、アリアとハウンド、ジョラー・モーモントとデナーリスなど、確固たる“想い”や“愛情表現”が多く描かれている。時には、サンサに対するリトルフィンガーの愛のように、愛するがゆえのゆがんだ愛情表現も…。近親相姦や同性愛、激しいベッドシーンが揶揄される「ゲーム・オブ・スローンズ」だが、実はこういった“愛情”の描き方、散りばめ方が見事なのだ。センセーショナルな愛の描写よりも、キャラクター描写の秀逸さ、脚本の巧みさが、この第七章では存分に発揮されている。
もちろん、燃え上がる想いを体で確かめ合う大胆なベッドシーンは健在で、物語に艶っぽさを添えている。そして、愛人ダーリオ・ナハリスと別れたデナーリスにも新たなロマンスが…。こちらの行方にも注目だ。