超人的パワーを使うにしろ、比類ない武器や武術のスキルを使うにしろ、優れた知性や才覚を使うにしろ、スーパーヒーローとは宇宙の平和のために戦うものだ。宇宙の人々を守るために、あらゆる悪を倒そうと懸命に努力している。しかし、実際に成功してしまったらどうなるのだろうか?ヒーローが倒すべき悪がいなくなったら、世界はどうなるのだろうか?
おそらくアース・ミーのようになってしまうだろう。
正式にはアース16という名で知られているこの世界は、かつてはマルチバースの他の多くの世界と同じような様子だった。スーパーマンやバットマンやワンダーウーマンやグリーン・ランタンが、レックス・ルーサーやジョーカーといったスーパーヴィランズと戦っていた。しかしこの世界の違うところは、ヒーロー達がその戦いに勝利したということであり、彼らの子供や弟子達が成長してヒーローのマントを受け継いだときに、そこにはもはや倒すべき悪が存在してしなかったということである。
共通の目的を失ったカイル・レイナー、ウォリー・ウェスト、コナー・ホーク、レイ・パーマー、新バットマンのダミアン・ウェイン、新スーパーマンのクリス・ケント達は、過去の戦いを再現したりして、ヒーローらしい生活というよりは甘やかされた快楽的な生活を送っていた。ファンやSNSのフォロワー数を増やすためにアイドルスーパーグループを組んだ者までいた――グリーンアローの娘であるアローウェッテと、テレパシーを操る友人であるメンタが結成した、若きデュオグループである「ジャスト」などがそれだ。かつては人々を助けるために冒険と刺激を探し求めた「ヒーロー」達であったが、今や暇つぶしのための存在と成り下がってしまったのだ。