陰謀、策略、制裁...
メディア王の座を巡る
熾烈な後継者争い
たった一代で巨大メディア複合企業を築き上げ、メディア王の称号を手にしたローガン・ロイ。大統領をはじめとする大物政治家や各国の要人とも交流し、世界的影響力を持つ彼は、ある日突然倒れてしまう。病院に搬送された父の元に駆けつける4人の子供たちの心配は、生死をさまよう父...ではなく、メディア帝国の行く末。欲望にまみれた大富豪家族は醜い後継者争いを繰り広げることに。さらに、隙を突こうとする周囲の人々の陰謀も駆け巡る。会社の崩壊が家族の崩壊を、家族の崩壊が会社の崩壊を意味する緊迫した状況の中、最後にメディア王の座を手にするのは一体誰なのか...
世界経済をも牛耳るメディア企業
“ウェイスター・ロイコ社”
成長する帝国に変革の時が...
4大陸50カ国で展開する世界屈指のメディア企業ウェイスター・ロイコ社。テレビを中心に新聞や映画などの事業を手掛けてきたロイコ社は変わりゆく時代に合わせて事業を拡大し、巨大複合企業として絶えず成長を続けてきた。創設以来、トップの座に君臨してきたローガン・ロイだったが、その年齢から世代交代が囁かれるように。後継者に注目が集まる中、脳卒中によって救急搬送されたローガンの安否を巡る報道は世界中に拡散する。そして、この出来事を機に、メディア帝国の知られざる問題が浮き彫りになるのだった。長年抱え込んでいた負債、買収をめぐる攻防、宙に浮いた後継者問題...。世界経済にも打撃を与えかねないロイコ社の倒産危機。家族一丸となってロイ家の財産を守り抜くことはできるのか?
世界的影響力をもつ大富豪一族
名声で塗り固められた
泥沼の家族関係
派手な生活ぶりと複雑な家庭環境からマスコミの標的となっているロイ家。アメリカのみならず世界中が注目する富豪一族の仮面は、ローガンの誕生日に剥がれることとなる。
3度目の結婚で妻になったマーシャが主催者となり、開催された誕生日会。裏では次男ケンダルのCEO就任発表の計画も進められ、めでたいこと続きの1日になるはずだった。しかし、子供たちが家族や恋人とともにプレゼントを持ち寄って一堂に会する席で、ローガンがねだったものは、家族信託にマーシャを加えることの同意書だった。これをめぐり、継母と子供たちの確執が激化。さらにローガンが会長兼CEOの続投を表明したことで、事態は混乱する。堰を切ったように剥き出しになる私利私欲に満ちた闘争心。地位と名声に憑りつかれた泥沼の家族バトルが勃発するのだった。
貪欲な野心と共に、
ロイの名を継いだ怪物たち
“王”を意味する名前“ロイ”を正真正銘の王へと昇華させたローガン・ロイ。3度の結婚経験があるローガンには、長男コナー、次男ケンダル、三男ローマン、長女シヴの4人の子供がいた。メディア界に興味がないコナーは、そうした世界から離れ農園を経営していた。シヴも株主として経営陣に名を連ねてはいるものの、政界で手腕を発揮。本格的に経営に参加していたのは、ケンダルとローマンだった。家族よりも会社に時間を費やしてきたローガン。子は親の鏡というように、子供たちは権力に溺れた怪物と化してゆく。チャリティ晩餐会、感謝祭、結婚式...節目節目に露呈するロイ家の貪欲な野心。欲望がうずまく一族の行く末は...。
大胆に冷血に。
ロイ家に取り入る欲深き女たち
ロイの名を継ぐ男たちにふさわしいのは欲望に正直な女たち。3人目の妻として年老いたローガンに寄り添うマーシャは、十二分に妻としての役割を果たしていたが、そんな彼女を子供たちは信用できずにいた。純粋な愛なのか?それとも...。特にシヴからは鋭い疑いの目を向けられていた。そんな中、持ちあがった家族信託の話。心の内を隠し、したたかに振る舞う彼女が実権を握るのは時間の問題だった...。
次期後継者にならずとも、裕福な生活を送る息子たちに寄ってくる悪女。自然と猜疑心が鍛えられるのかと思いきや、危険な甘い罠にかかってしまった男がいた。長男コナーだ。親子ほど年が離れた若い娼婦ウィラを傍に置き、真剣な関係だと言い張る彼に周囲も呆れ気味。一向に家族の輪に入れてもらえないウィラだったが、コナーへの執着は増すばかり。権力に魅了された女たちこそ、ロイ家最大の敵なのかもしれない...。
良心は命取り。
怪物の餌食となる男たち
思いがけず権力闘争に巻き込まれることになったグレッグも怪物の餌食のひとりだ。ローガンの兄の孫にあたるグレッグ。これまでロイ家の恩恵を受けることはなかったが、職を斡旋してもらおうと直談判するためニューヨークを訪れたことで、事態が一変。ウェイスター・ロイコ社という理想の就職先と引き換えに、欲望にまみれた波乱の日々が待っていたのだった。
そんなグレッグの上司であり、シヴの婚約者であるトムもまた、今にも手に入りそうなロイ家の地位と名声にうつつを抜かし、いいように利用されてしまう哀しき男であった。家族から認められたいという承認欲求が満たされることはなく、焦るあまり空回り。常に全 力でロイ家の面々と接する彼は、時に疎まれることも。彼らがロイ家の一員になれる日はくるのか?怪物に成りきれないがゆえに、ロイになれない男たちの運命はいかに...。
英米の実力派スタッフ集結
変革の時を迎えているメディア業界にスポットライトを当て、ダークユーモアが散りばめられた社会派ドラマを作り上げたのは、米国と英国を代表するクリエイターだ。『IN THE LOOP』でアカデミー脚色賞にノミネートされたジェシー・アームストロングが 全10話の脚本に関わり、代表作「ピープ・ショー ボクたち妄想族」や「フレッシュ・ミート」などのTVシリーズで磨き上げたコメディセンスを発揮。英国らしいシニカルな笑いを誘う。さらにエミー賞常連のHBOコメディ「Veep/ヴィープ」で製作を務めたジョン・ブラウンや、「ベター・コール・ソウル」を手掛けたジョナサン・グラツァーら、実力派脚本家たちが集結。製作総指揮にも超一流が揃い、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』でアカデミー脚色賞を受賞したアダム・マッケイや、『俺たちニュースキャスター』でアダム・マッケイとコンビを組んだウィル・フェレルが名を連ねている。
全員主役級の個性派キャスト
曲者ぞろいの成功者一族を見事に演じた豪華キャストも本作の見どころのひとつ。家長ローガン・ロイを演じた『ボーン・アイデンティティー』『X-MEN2』のブライアン・コックスを筆頭に、実力派俳優が全員主役と言っても過言ではない強烈な個性を発揮している。妻マーシャ役を『ブレードランナー2049』のハイアム・アッバス、長男コナー役をドラマ版「エクソシスト」のアラン・ラック、次男ケンダル役を『ジャッジ 裁かれる判事』のジェレミー・ストロング、三男ローマン役を『スコット・ピルグリム VS.邪悪な元カレ軍団』のキーラン・カルキン、長女シヴを『プリデスティネーション』のサラ・スヌークが熱演。個性派キャストたちによって、唯一無二の物語が作り上げられた。
フィクションを超えたリアリティ
一時代を築いた実業家とその後継者を巡る争いをリアルに、そしてシニカルなドラマに作り上げたのは、話題作を次々と世に送り出しているHBO。「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ウエストワールド」といった超大作をはじめ、あらゆるジャンルで成功を収めたHBOは、TV界を牽引する放送局として絶対的な地位を築いた。過激なテーマにも臆しないことで知られるHBOが今回果敢に切り込んだのは、社会的影響力の大きい米国のメディア業界。現実味のある設定から、とある著名人をモデルにしているのではないかとの噂も流れ大きな注目を集めた。その人物とは、21世紀フォックスやニューズ・コーポレーションを所有する実業家ルパート・マードック氏。“メディア王”という異名をもち、長者番付ランキングの常連で、政界にも通じているマードック氏は、4度の結婚で6 人の子供を持つなど波乱万丈な私生活も話題になっている人物。製作陣は彼の物語ではないと否定しているが、絶妙な現実味が視聴者を釘付けにしているのは間違いないだろう。