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「選ばれし者」には、共通の素質があるようです。勇敢で、誠実で、いつも正しいと思うことを貫きます。自分にふりかかってくるありとあらゆる責任を背負い、前に進まなければいけません。そうそう、もちろん、世界を救うのも忘れてはいけません。できれば、自分ひとりで。それから、世界を救う使命を気にしすぎて、思い悩んではいけません。
ハリー・ポッターとニュート・スキャマンダーは、ふたりとも生まれながらの「選ばれし者」で、その素質を持っていますが、違うところだらけなのです。
ハリーとニュートの根本的な違いを知る一番の方法は、ふたりがホグワーツで過ごした寮をみることです。
ハリーが所属していたのはグリフィンドール。勇気や大胆さを持った生徒が組分けされます。グリフィンドール寮の生徒たちには、向こう見ずだったり、気が短かったりという欠点もあります。(これを読んで怒っているグリフィンドールの生徒がいたら、わたしたちの記事が正しいことを証明してくれていることになりますね!)ハリーは、長所とも短所とも言える性質をたくさん持っています。大胆で勇敢なのはもちろんですが、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で過ごしたあの不安な1年を思い出してみましょう。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
「選ばれし者」でいることに対するハリーの反応は、少し複雑でした。ホクワーツに入学した年から、自分の運命を受け入れ、困難を乗り越えていきますが、同時に自分の運命に立ち向かおうとします。名付け親のシリウス・ブラックの死後は特に。自分の無謀さが原因で、魔法省に助けにきたシリウスが命を落としてしまうのでした。
「かまうもんか!」ハリーは肖像画たちに向かって怒鳴り、望月鏡を引ったくって暖炉に投げ入れた。「たくさんだ!もう見たくもない!やめたい!終りにしてくれ!何もかももうどうでもいい――」
「ハリー・ポッターと賢者の石」より
一方、ニュートはハッフルパフ出身です。組分けのときには、勤勉、ひたむきさ、忠誠心が重視されます。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のなかで、ニュートが怒る場面はほとんど出てきません。ティナに逮捕されたときも怒るのではなく、その状況を受け入れ、死刑宣告を受けても落ち着いていました(もちろん、どうにか逃げることができましたが)。実は、ニュートが声を荒げるのは、彼のトランクがアメリカ合衆国魔法議会 (MACUSA)で没収され、大切な動物たちが危ない目にあったときだけなのです。
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ハリーは、たくさん悩んで自分の運命と戦います。特に、ヴォルデモートを殺さなければいけない、と分かった時は。一方、ニュートはハッフルパフ生らしく、一番大切なもののために正しいと思ったことをします。グリフィンドールとハッフルパフの性格の違いですね。
どうか――やめて――動物たちを傷つけないで――誤解です――カバンの中には危険なものなんて何もいません――本当です!
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」より
ハリーは、ヴォルデモートと肩を並べる魔法使いになることが予言されていました。「選ばれし者」としての運命は決められていたのです。もちろん、困難を乗り越え、勇ましく自分の宿命と戦いました。しかし、戦う必要がなければハリーはどうしていたでしょうか。ホグワーツで、ロンやハーマイオニーとのんびり過ごし、クィディッチの練習をして、なんとか授業をこなす日々を送っていたのではないでしょうか。(ホグワーツでのハリーの様子と変わらないように思えますが、実際のハリーはいつも死の恐怖におそわれていました)簡単に言うと、ハリーは自ら選んだわけではなく、ダンブルドアのちょっとした手助けはありましたが、運命がハリーを選んだのです。
『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』
一方、ニュートは、魔法動物を保護し守っていくことを自ら選んでいます。誰かに頼まれたわけではなく、魔法動物への愛情と心優しい性格から、自分の意思で決めています。何度も、命を危険にさらしても、自分より動物たちを守っています。
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』よりニュート・スキャマンダーとニフラー
ニュートは、いつも自分のことをはみだし者だと思っていて、1作目の『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にもそれが分かるエピソードが登場しています。ホグワーツ時代のリタ・レストレンジとの友情がつらい事情で終わってしまいましたが、ふたりの間になにがあったのかは明らかになっていません。リタを除いては、ティナやクイニー、ジェイコブと出会うまでのあいだ、ニュートが、飼育している魔法動物以外の友達をつくるのに苦労していたことは、はっきりと分かります。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』
クイニー:学生時代、とても仲が良かったのね。
ニュート:お互いはみだし者だったから。それで僕ら……
クイニー:――とても親しかった。長い間。
彼女は「奪う人」だった。あなたには与える人が必要だわ。
「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」より
ハリーはというと、ホグワーツに入学するまでは、ダーズリー家でいじめられてひとりぼっちでしたが、学校が始まるとすぐに生涯の友達に出会いました。幼いころからずっと、親戚家族にひどい扱いを受けてきたハリーは、周りの人と距離を置くこともできました。しかし、彼は仲間から好かれるリーダーの素質を生まれながら持っていて、いつも友達を信頼していました。反対に、ニュートは、ニューヨークに来るまで、なんでもひとりでやり遂げなければいけない、といつも思っていました。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
ニュートとハリーは、全く違うタイプの人物かもしれないですが、もしふたりが同じ時代に生きていたら、とても仲良くなっていたと思います。まず、ハリーとニュートは、どんなことがあっても弱い者を守っています。それはニュートにとっては、トランクの中の魔法動物やジェイコブであり、ハリーにとっては、ハグリッドでした。ハグリッドが、自分が世話をする生き物たちに夢中になって問題を起こしたときには、いつもハリーが力になっています。
ボウトラックル、ニュートとジェイコブとともに
ニュートもハリーも、ダンブルドアに助けられています。ホグワーツで数々のトラブルを起こしても、ふたりを信頼してくれていました。ニュートが退学になった理由は(まだ)分かっていませんが、ニュートもハリーもホグワーツ時代に、ほとんど校則を守っていなかったことでしょう。正直なところ、ハリーが退学にならなかったのは、不思議なくらいですよね!
CREDIT: COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』2018年11月23日(金・祝)全国ロードショー
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