DCコミックス

『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』でイースターエッグ・ハントをしてみよう

『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』を観た人は、挙手。では、すでに複数回観た人は、挙手!素晴らしい映画だったと誰もが認めるのではないだろうか?この映画を観ている間中、ジェームズ・ガン監督は私をずっと椅子の上で前のめりにさせてくれた。もちろん、私のことを知っている人なら、私がなぜそこまで前のめりになっていたのかがきっと分かるだろう。そう、作中に登場する小さな名札から書類に記載された文字に至るまで、画面に映るものを隈なく確認していたのだ。DCユニバースにゆかりのある名前や関連性を探し出す、いわばDCのイースターエッグ・ハントをしていたといえるだろう――そしてその結果は、大変満足のいくものだった。この記事では私が見つけたものを紹介していくので、ぜひリラックスしながらチェックしてみてほしい。ただし、怪しい人物に見られていないかだけは要注意だ。ご存知の通り、アマンダ・ウォラーは自分の秘密を暴露されることをひどく嫌うので。

恐らく、最初に見つけたイースターエッグが最も重要であろう。本編のオープニングで、サバントの首に爆弾を仕掛けるドクターに注目してほしい。この人物は、なんと『スーサイド・スクワッド』の生みの親といっても過言ではない、コミックライターのジョン・オストランダーが演じているのだ。オストランダーが1987年にリローンチした『スーサイド・スクワッド』のなかでは、のちに本作の象徴ともなるさまざまなコンセプトが紹介された。それはアマンダ・ウォラーという人物そのものから、彼女が使うさまざまな特徴的な機器、またスクワッド・メンバーたちの悪名高い名簿など、実にさまざまだ。オストランダーがこのヒット作の連載を描いていた頃、妻のキム・イェールやアーティストのルーク・マクドネルとともに、タスク・フォースXが繰り広げるなかでも特に記憶に残るストーリーの数々を手掛けてきた。オストランダーがいなければこの映画が上映されることもなかったことを思えば、彼が映画の冒頭に登場するのはまさに最適であったといえるのではないだろうか。

次のイースターエッグもオストランダーにまつわるものだ。彼の演じたキャラクターはフィッツギボンという名前だったが、この名前はジェームズ・ガンが監督を務めたすべての映画に登場している名前なのだ。これは、ジェームズ・ガンが自分の友人であるラリー・フィッツギボンに敬意を表して行っていることだそうだ。

正直なところ、この映画に登場するほとんどの登場人物がイースターエッグであるといっても過言ではない。モンガルやT.D.K.のようなキャラクターたちはそこまで大物というわけではなかった。しかし、ジェームズ・ガンは彼らのようないわば「中途半端」なキャラクターたちを取り上げ、スポットライトの下に置いてみせたのだ。そして、その結果は感心させられるものだった。

ジェームズ・ガンによると、ハーレイの衣装は2011年発売のビデオゲーム『バットマン:アーカム・シティ』の影響を受けてデザインしたものだそうだ。

ウォラーのサポート・チームがサバントについてのファイルを読んでいるとき、タイミングよく一時停止ができれば、そのファイルから彼が過去に投獄されてきた刑務所のリストを読み取ることができる。これによると、サバントは過去にアイアンハイツ刑務所に滞在していたことが分かる。この刑務所は、『The Flash: Iron Heights #1(原題)』で初登場した、DCユニバースでは有名な刑務所だ。

今回のミッションでスクワッドが行くことになるコルト・マルテーゼは、DCユニバースにおける架空の国だ。この島国が初めて登場したのは『バットマン:ダークナイト・リターンズ』においてなのだが、この国の名前そのものがイースターエッグになっている。というのも、コルト・マルテーゼとはイタリアの漫画家ユーゴ・プラットの描いた作品タイトルそのものだからだ。

作中でアマンダ・ウォラーは、ブラッドスポートがクリプトナイトで作られた弾を使ってスーパーマンをICU送りにしたことを話している。この出来事は、1987年発売の『Superman #4(原題)』で紹介された内容に基づいている。

また、キング・シャークが牢の中で本を読んでいる姿は2013年発売の『Suicide Squad #20(原題)』のシーンをそのまま再現したものだ。

ブラッドスポートがウォラーとともにベルリーブ刑務所の中を歩いている際、ぜひ他の受刑者たちに注意を向けてみてほしい。カラフルに顔が塗られた女性受刑者が目に入ると思うが、彼女はおそらく『New Adventures of Superboy #36-37(原題)』に登場するカレイドスコープという名の悪党だ。これぞ、知る人ぞ知る演出だ!また、この作品のなかではカレンダーマン(初登場作品:『Detective Comics #259(原題)』)とダブル・ダウン(初登場作品:『The Flash: Iron Heights #1(原題)』)も、一瞬だが登場している。ちなみに、カレンダーマンはジェームズ・ガンの弟ショーン・ガンが演じており、本作ではウィーゼルも演じている。

アマンダ・ウォラーがスクワッドたちに任務の説明をする部屋は、ジョン・オストランダーの連載で登場した部屋をそのまま再現したものになっている。原作コミックファンからしたら、コミックス内に描かれていた部屋がそのままスクリーンに飛び出てきたかのような衝撃に興奮したことだろう。

ヨトゥンヘイムに潜入し、建物自体を破壊するというスクワッドのミッションは、オストランダーの伝説的な連載が開始した1987年の『Suicide Squad #1(原題)』からそのまま採用された物語だ。このなんとも映画映えする要塞は、コミックスで描かれているものと瓜二つだ。なお、コミックスのなかでは、ヨトゥンヘイムは巨大なヒトデの代わりにテロリスト集団の本拠地として描かれているのだが、スターロも実質、巨大な宇宙人テロリストであるといってもよいだろう。

もちろん、この巨大ヒトデもコミックス出身だ!征服者スターロが初めて地球への攻撃を開始したのは『Brave and the Bold #28(原題)』の、ジャスティス・リーグの初登場回においてである。自分の小型の分身を人間の顔にくっつけ、洗脳するという彼の恐ろしい能力は、『Justice Leage of America #189-190(原題)』で初めてお披露目された。

フラッグとブラッドスポートの過去について説明する際、ウォラーはこの2人がキューラックという国でアヴラル・カッダムという人物を倒すのに貢献したと話している。この架空の国が初めてDCユニバースに登場したのは『Tales of the Teen Titans #51(原題)』だ。興味深いことに、オストランダーの『スーサイド・スクワッド』の連載のなかでは、ヨトゥンヘイムはコルト・マルテーゼでなくキューラック内にあると書かれていた。アヴラル・カッダムは、1991年の『Deathstroke #1-4(原題)』では力を持ったキューラックの将官として紹介されている人物である。

リック・フラッグが…まあ、その…「救出」されてから、彼は明るい黄色のTシャツに着替えている。この衣装は、ジョン・オストランダーの『スーサイド・スクワッド』の連載においてフラッグが戦闘服として着ていたもののオマージュとなっている。

映画の一場面で、アマンダ・ウォラーは無慈悲な政府の要人という立場から一旦離れ、クレイ上院議員とのゲームに備えてゴルフの練習をする。ジョセフ・クレイとは1987年の『Suicide Squad #11(原題)』にて初登場した腐敗政治家だ。クレイの息子アダムはのちにレイ・パーマーの代わりにアトムになり(分かるだろうか。)、しばらくの間、タスク・フォースXと活動をともにした。

リック・フラッグが爆破されるヨトゥンヘイムとともに死にゆくと思われた姿は、1989年の『Suicide Squad #26(原題)』に掲載されている物語に通ずるものがある(何を隠そう、この場面もまたしてもオストランダー関連のオマージュになっている)。映画のなかではフラッグは爆発からは生き延びるが、ピースメーカーに殺害されてしまう。それに対し、コミックスのなかでは彼はヨトゥンヘイムの爆発で命を落としたと思われる。その後2007年にリローンチされた『Suicide Squad #1(原題)』では、フラッグは実は生きていたことが判明するので、映画上のフラッグにもまだ生存の可能性があるかもしれない。なんせ、ピースメーカーは単にフラッグの心臓を鋭い刃物で一突きしたにすぎないのだから、死んだとは限らないだろう。

タスク・フォースXがスターロを倒してから、デュボアの娘はGBS(ギャラクシー・ブロードキャスティング・システム)を通してスクワッドの勝利を知る。ギャラクシー・ブロードキャスティング・システムとは『Superman’s Pal, Jimmy Olsen #133(原題)』で初登場した巨大メディア企業だ。しばらくの間、クラーク・ケントがこの会社の夜のニュース・キャスターをしていた。もし現在、ドラマ「スーパーマン&ロイス」を見ているのであれば、新聞社と、そこを買収した闇の実業家モーガン・エッジについてはご存知のことだろう。

つまるところ、『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』はジョン・オストランダーへのラブレターであるばかりでなく、DCユニバース全体へのラブレターでもあるといえるのではないだろうか。多くの人が知っているとおり、この映画では急展開が次々と巻き起こり、実に多くの隠れ要素が存在しているので、私がそのいくつかを見逃してしまっている可能性もある…つまり、またひとつ、この映画を見直すための口実ができたといえる。みなさんは、どうだろうか。私が見逃したイースターエッグを見つけただろうか。もし見つけたのであれば、ぜひXで私に知らせるか、DCユニバースのコミュニティーページ(英語のみ)で報告をしてほしい。

ジェームズ・ガン監督の『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』は現在好評配信中。

ライター:ジョシュア・レイピン=ベルトーネ Xアカウント(英語のみ):@TBUJosh