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ハーレイ・クイン対マルチバース

数か月にわたり多くのうわさや憶測を呼んだバトルゲーム『マルチバーサス』。その公式トレーラー(英語のみ)がついに公開され、DCがその存在感を放っている。バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンといったワーナーブラザースによるおなじみのキャラクターたちがマルチバースにおける最強のファイターを決める戦いに参戦することになった。

しかし現実的に考えれば、この特別なステージで勝利を収めるのはハーレイ・クインだ。熾烈(しれつ)な戦いになるかもしれないが、現時点でエントリーしている顔ぶれを見れば、ハーレイが難なくクリアできることが分かる。さっそく、詳しく見ていこう。

VSバットマン スーパーマン ワンダーウーマン

ハーレイに、DCユニバースの屈強なヒーローたちを打ち負かせるはずがないと思っているなら、よく考えてみてほしい。『Harley Quinn: Black + White + Red #11: Hypothetically Speaking』のなかで、ハーレイはジャスティスリーグのA級ヒーローたちをそれぞれ倒す方法を実際に考えだしている。彼らのヒーローであり続ける心理的動機づけを巧みに利用して、互いに牙を向かせる方法だ。危険から守るべき対象がなければ、スーパーマンは地球を去るだろう。神話のシンボルであるワンダーウーマンには、彼女の神話を書き換えてしまえばいいのだ。バットマンに至っては、バットウーマンが現れさえしなければうまくいく計画だった。しかし、幸いにもケイト・ケインはこのマルチバーサスにまだ招待されていない。

VSトムとジェリー

ハーレイ・クインについて覚えておかなければならないのは、彼女の最強な武器は抜群の運動神経でもなければ、巨大なマレットを操る才能でもない。精神医学の学位を持っているということだ。またこのマルチバーサスという特別な舞台においてさらに大きな強みとなるのは、彼女のポップカルチャーに関する知識だ。彼女はテレビや漫画に精通していて、それぞれキャラクターを熟知している。そしてほとんどの人が知っているように、トムとジェリーは根っからお互いのことを嫌っている。放っておけばよいのだ。ハーレイが彼らを倒すためにすべきことは、ただトムにジェリーから受けた今までのひどい仕打ちを思い出させること。そうすればトムはいつものようにジェリーを追いかけ始める。

VSフィン・ザ・ヒューマン

「アドベンチャー・タイム」のフィンは旅慣れたヒーローだ。おそらくバットマンとバッグス・バニーを除けば、彼ほど漫画的ナンセンスに対処した経験を持つ者はいない。しかし、彼にはひとつだけ決定的な弱みがある。海に対する恐怖だ。ハーレイが、決戦の場の選択権が自分にあると主張すれば、戦いの前に決着がつく。どこかのビーチを決戦の場に選択すればいいのだ。クリスタル・ジェムズがビーチに住んでいることを考えれば、間違いなく決戦の場として選べるはずだ。

VSクリスタル・ジェムズ: ガーネットとスティーブン・ユニバース

誤解しないでほしい。彼のことを知っているみなさんと同じように、私たちもスティーブンを信じている。受け入れることの重要性や友情の大切さを諭すテレビ番組で、「スティーブン・ユニバース」ほど、速攻で人を泣かせられる番組は他にない。しかしスティーブンは、心の寛容さと相手の意見に耳を傾けることで争いごとを解決できる世界にいる。敵は大抵誤解されているだけなのだ。スティーブン・ユニバースとハーレイ・クインの接点はこれまでになく、スティーブンは「誰も信じてはいけない」ということをハーレイから学ぶことになるだろう。ガーネットに関して言えば、彼女はなかなか有能なファイターである。しかし、トムとジェリー同様、彼女も実は2人の人格が合わさっている。(「スティーブン・ユニバース」のシーズン1最終話のネタバレだ。とても良い番組なので、見ていない方にはぜひおすすめしたい)ジョーカーからハーレイが学んだことが1つあるとすれば、それは別れがもたらす悲劇だ。勝つためにハーレイがすべきことはただ1つ、ガーネットを形成するルビーとサファイアの間に疑心を植え付け、別れるように仕向ければいいのだ。

VSルーニー・テューンズ:バッグス・バニーとタズ

漫画のパワーは、マルチバースの戦いにおいて打ち勝つことが最も難しいもののひとつだ。結局のところ、漫画に何を投げつけても、彼らにコミカルに投げ返されてしまう。ハーレイの強みは、彼女自身が漫画のような存在であるということだ。そもそもハーレイはアニメシリーズ出身なうえ、公開されたトレーラーを見る限り、すでにタズをうまく手なずけている様子がうかがえる。問題はバッグス・バニーだ。頭の回転が速く、周知のとおり、フロリダをアメリカから切り離してしまったほどの逸材だ。バッグスは見かけとは異なり、かなり手ごわい相手と言える。しかし、ハーレイは『Convergence: Harley Quinn』のなかで、バッグス・バニーのDC版であるキャプテン・キャロットを扱う方法を見いだしていることを思い出してほしい。勝つための準備はできている。バッグスに引き合わせるカメを連れてくればいいのだ。

VSミステリー・インコーポレイテッド:シャギーとヴェルマ

すでにトレーラーをご覧になったかと思うが、憶病者のシャギーはこのバトルに参加するにあたり、かなりパワーがアップグレードされている。しかし、たとえアニメ的なパワーレベルを高めたとしても、シャギーが食べ物に弱いことは変わらない。ハーレイの大好物でもあるエッグサンドを用意しておけば、簡単にシャギーを味方につけられる。ヴェルマに対しては、ハーレイの敏捷性が役に立つだろう。ヴェルマの眼鏡を奪ってしまえば、彼女には為す術がない。

VSアリア・スターク

次は、もっと手ごわい相手だ。まだ見たことない人のために説明すると、アリア・スタークは、「ゲーム・オブ・スローンズ」で人気を博した強くたくましい少女で、剣の高いスキルを身に着け、多数の顔を持つ暗殺者だ。しかしハーレイを甘く見てはいけない。また、著者であるジョージ・R・Rマーティンが、任務を遂行する騎士以上に敬意を払っているのは本の読者だ。そしてハーレイは読者である。「ゲーム・オブ・スローンズ」はジョージ・R・R・マーティンの著書『七王国の玉座 氷と炎の歌』が原作となっているが、ある時点から原作とは全く異なる展開を見せる。これはアリア自身も知りたい情報であろう。マルチバースのすべてを把握しているハーレイが即座に「レディ・ストーンハート」と言えば、敵は答えを見つけるために戦いを放棄するだろう。

VSアイアン・ジャイアント

正直、このキャラクターは想定になかった。この驚異的なパワーを秘めた心優しいジャイアントは明らかに強敵になるだろう。彼の大きさや強さが規格外だからというだけでなく、彼を傷つけられる人がいるとは思えないからだ。ただクレイジーなハーレイのことだ。もしかしたら、ハーレイはスティーブンにしたように、ジャイアントの素朴さを利用することができるかもしれない。もしくは、巨大マグネットか何かを使うことも考えられる。バッグス・バニーならアクメ社の機材を持っているだろう。

VSジェイク・ザ・ドッグ

必ずしも全員に勝てるわけではない。フィンの義兄弟であり親友であるジェイクはプラスチックマンの伸縮自在なパワーを持ち合わせており、その能力によりすでに高いランクにつけている。それに加え彼は犬である。アマンダ・コナーとジミー・パルミオッティのハーレイ・クイン読者ならご存じだと思うが、ハーレイは絶対に犬を傷つけたりしない。その点でジェイクに軍配が上がる。

VSレインドッグ

このキャラクターについては未知数だ。おそらく新しいキャラクターであろう。これはハーレイに任せよう。

こうしてここまでの登録選手を見てみると、ヒット率はかなりいい。ハーレイをメインキャラに選んでみたくなったのではないだろうか。もしそうしないのであれば注意が必要だ。ご存じのとおり、ハーレイは第4の壁を突破するキャラクターとしても知られている。マルチバーサスのような拳を交えるゲームでは、彼女を怒らせたらどうなるか想像に難くないだろう。

ライター:アレックス・ジェフィー
Xアカウント(英語のみ):@AlexJaffe

注釈:この特集で述べられている見解や意見はアレックス・ジェフィー個人によるもので、必ずしもDCエンターテインメント及びワーナー ブラザースの見解を反映するものではありません。