正直に話そう。私たちはみんな、ブラックマンタの正体を把握している。彼は間違いなく、史上最高かつ最もアイコニックなスーパーヴィランの1人である。これについては、異論は認めない。本当のことだからだ。
しかし、ブラックマンタが冷酷な海賊であり傭兵だということはすでに知っているとしても、あなたの知らないことがまだ数多くある(例えばブラックマンタの本名とか)。『アクアマン/失われた王国』が劇場で公開される前に、アクアマンの最も偉大で恐ろしい宿敵について今こそ理解しておくべきだろう。
ブラックマンタは、ライターのボブ・ヘイニーとアーティストのニック・カーディによって1967年に生み出された。初登場したのは「Aquaman#35」だ。DCユニバースに登場してから数十年が経っても、彼のバックグラウンドについてはほとんど何も語られてこなかった。アーサー・カリーを倒すことに執念を燃やしているが、その理由は知られておらず、とてもミステリアスなキャラクターだった。初めて素顔を見せ、彼がアフリカ系アメリカ人であることをアクアマンに明かしたのも、初登場から10年が経ってからだ。その後も、彼がアクアマンに傷を負わせるということ以外は何も知られていなかった。そのなかでも極めて残虐な出来事としてアクアマンの幼い息子、アーサー・カリー・ジュニアを殺害したということはいうまでもないだろう。
だが、ミステリアスと思われていたそのイメージは1992年を機に変化を見せる。「Aquaman#6」で初めて、ブラックマンタの起源ストーリーがきちんと語られるのだ。そして、彼の最もダークな人物像のひとつが浮き彫りとなる。この段階でもまだ本名は明かされないが、ブラックマンタはメリーランド州のチェサピーク湾近くで生まれた子どもという設定になっている。ある日、海の近くで遊んでいたところを海賊に誘拐され、彼らの船で奴隷として仕えることになる。
海賊たちの恐ろしい虐待に耐える日々を送るブラックマンタだったが、イルカとともに海を泳ぐアクアマンの姿を目にする。合図をして助けを求めるが、アクアマンはその必死な訴えにもまったく気が付かず、彼を助けることなく去ってしまう。
のちにブラックマンタは海賊たちを全員殺害して船を抜け出すことに成功するが、無事に脱出したあとも、七つの海の王に見捨てられたと思い込み、恨みを募らせていた。こうしてあのブラックマンタが誕生するのだ。
まあ、何というか…確かにこれこそが初めて語られた起源となるストーリーではあるのだが、唯一のストーリーではないし、最も有名なものともいえない。
何年にもわたり1つのキャラクターに数多くのストーリーが作られることは珍しくなく、ブラックマンタも同様に多くのストーリーが作られた。最初に描かれてから数年後、まったく違う起源のストーリーが作られている。その設定では、ブラックマンタはゴッサム・シティで生まれ育った自閉症の子どもで、アーカム・アサイラムに入院させられる。そこで実験的な治療を受けるのだが、それも失敗に終わり、非常に暴力的な人格へと変貌してしまう。こうしてブラックマンタとして生きる道を歩むことになるのだ。
最も新しい(そしておそらく最も重要な)のは「NEW52」のバージョンで、映画『アクアマン』で描かれたブラックマンタに最も近いといえるだろう。このストーリーではブラックマンタは科学者に雇われた傭兵で、アーサー・カリーがアトランティス人であることを証明するため彼の血液のサンプルを入手するように依頼を受ける。
ブラックマンタがアーサーの血液を集めようと企てる最中、アーサーの養父トムは息子を守るため阻止するが、最終的に心臓発作によって命を落としてしまう。その後アーサーは復讐の機会を狙い、ブラックマンタが潜伏していると思われる船を襲撃。しかし、誤ってブラックマンタの父親を殺してしまう。つまり、ブラックマンタとアクアマンは父親を殺されたことで互いに憎み合い、生涯の宿敵同士となっていくのだ。
かつて巨大なタツノオトシゴに乗っていただけだったアクアマンにとっては、なかなか重い話である…。
起源はさておき、ブラックマンタをこれほど印象的にしている要素の1つは、洗練されたスーツにあるのではないだろうか。驚くほどにとても美しく作られている。まるでロボット型の地球外生命体のように見え、さらには光を放つ赤い目によって威圧感がより増している。しかも見た目が美しいだけでなく、機能的にも優れている。水中でも呼吸ができ、過酷な海の水温や深海の水圧にも耐えられる。
ただ、もちろん、その機能だけではデイビッド・ケイン(この名は初登場から40年以上の歳月をかけてようやく「Brightest Day」で明かされた)のような悪党には物足りない。ブラックマンタのスーツにはジェットパックやテレパシーを妨害する機能(アクアマンに対する)も搭載されている。なかでもひときわ有名なものとしては、目から強烈な光線を発射できるヘルメットが挙げられるだろう。そのほかにブラックマンタがよく使う武器はトライデントや銛の銃、長いナイフなどだ。また、スーツを着ていなくても、彼は鍛えられた体と優れた武術、天才レベルの知性を兼ね備えている。
さらに注目すべきなのは、ブラックマンタがこれまでに何度も多くのヴィランたちと手を組み、ほぼすべてのスーパーヴィランのチームで中心的メンバーとなっていることだ。チームの例を挙げるとすれば、インジャスティス・リーグやスーサイド・スクワッド、シークレット・ソサエティ・オブ・スーパーヴィランズ、リージョン・オブ・ドゥームなどだろう。
ブラックマンタはコミックスのヴィランとして要のキャラクターの1つでありながら、映画やテレビにあまり登場せず、ジョーカーやレックス・ルーサー、リバース・フラッシュといった他のアイコニックなヴィランたちほど知られていない。ブラックマンタに詳しくなったこの機会に、1月12日、劇場公開予定の『アクアマン/失われた王国』をぜひチェックして彼に関する新しい情報を友達に広めよう!
ライター:リゼッタ・ゴンザレス
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