巨匠スティーブン・スピルバーグが、ピューリッツァー賞受賞の同名小説"The Color Purple"を原作に、『E.T.』 の後初めてシリアスな作品に挑んだ映画『カラーパープル』(1985)。アカデミー賞10部門にノミネートされながら無冠に終わり世界を驚かせた。しかし観客には愛され、口コミで6週目にして全米1位となり、5ヶ月以上のロングランとなった"伝説"の作品だ。(BOXOFFICE Mojo調べ)。
2005年にはブロードウェイでミュージカル版も上演され、複数回にわたる全米ツアー公演、世界各地での公演を経て2015年にはリバイバル公演まで行われた。2016年の第70回トニー賞「リバイバル・ミュージカル作品賞」と「ミュージカル主演女優賞」の2冠を達成。翌年第59回グラミー賞でも「優秀ミュージカル・シアター・アルバム賞」に選出。オリジナル映画公開から38年という長きに渡って人々の記憶に残り続けてきた名作『カラーパープル』が、ミュージカル映画としてスクリーンによみがえる。
昨年末12月25日に全米で公開され、北米で、18,151,050ドル(※Box office mojo調べ)の興収を上げ、クリスマスに公開された作品としては2009年のロバート・ダウニー・Jr主演映画『シャーロック・ホームズ』の2400万ドルに次ぐ歴代2位という好調なスタートを切った。シネマスコア(CinemaScore)で「A」の評価を、またRotten Tomatoesでも95%という非常に高い観客スコアを獲得。本作の完成度の高さが多くの観客、批評家たちに認められており、今後の成績にも大きく期待できそうだ。
本作のプロデューサーはスピルバーグをはじめ、オリジナル版で映画初出演にしてアカデミー賞®助演女優賞にノミネートされたオプラ・ウィンフリー、オリジナル版でアカデミー賞®作曲賞と歌曲賞にノミネートされたクインシー・ジョーンズらが務め、新鋭ブリッツ・バザウーレが監督に抜擢された。
『カラーパープル』は父親と夫に支配され、最愛の妹と生き別れた主人公セリーが、自由で型破りな女性たちと出会い、輝ける場所を見つけようとする。立ちふさがる運命に、不屈の魂とユーモアで何度でも立ち上がる姿と魂に届く歌声が、困難な時代を生き抜く力をくれる今こそ必見の希望の物語。セリー役は、ブロードウェイ版でも同役を演じたファンテイジア・バリーノ。父や夫に虐げられながらも、しがらみを断ち切り、自ら未来を切り開く姿を、見事な演技と歌声で体現し第81回ゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)にノミネートされた。セリーの心の拠り所となる妹ネティの若き姿を演じたのは、『リトル・マーメイド』(23)で話題を呼んだハリー・ベイリー。歌手としても活躍するベイリーは、ネティのために自ら書き下ろしたナンバーも披露している。自らを軽視する男性にも怯むことなく立ち向かう強い女性ソフィアを演じたのは、ブロードウェイ版でトニー賞にノミネートされたダニエル・ブルックス。本作でもファンテイジアに続き、第81回ゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされた。
このたび解禁となった本作のメイン予告は、グラミー賞受賞歌手のファンテイジア・バリーノが力強く歌い上げる「I'm Here」のナンバーに乗った映像。この映像から観て取れるのは、セリーと、その周囲にいる自由で型破りな女性たちとの絆だ。自身の人生に自信を持てず、控えめで従順だったセリーは、たった一人の理解者でもあった妹のネティと引き裂かれ、絶望に暮れる毎日を過ごす。そんな中、周囲の女性たちから勇気づけられ、今いる場所から出て自分の人生を生きることを決意する。「きっと見つけてみせる。私が輝く場所を」と力強く笑顔で前を向くセリーの姿に魂を揺さぶられること間違いなしだ。己の運命に抗い、自らの未来を切り開いていく主人公たちの希望に溢れた物語を予感させる内容となっている。