本作は、PlayStation®3専用ソフトとして史上最多、全世界200以上のゲームアワードを受賞した伝説のゲーム「The Last of Us」をベースに、「チェルノブイリ ーCHERNOBYLー」の監督&脚本を手掛けたクレイグ・メイジンがHBO®にて巨大な製作費をかけて描いた海外TVシリーズ作品。寄生感染症のパンデミックにより、現代文明が滅亡した世界で、妻子を失った男と、感染抗体を持つ14歳の少女が生き残るために戦う緊迫のパンデミックサバイバルアクション。
米テレビ界の最高の名誉とされる第75回エミー賞では、ドラマ・シリーズ部門の作品賞にノミネート。さらに主人公・ジョエル役のペドロ・パスカルが主演男優賞、エリー役のベラ・ラムジーが主演女優賞にノミネートされたほか、作品全体では24ノミネートを獲得するなど、注目作となっている。
※このインタビューはSAGストライキ前に行われたものです。
―(ガブリエルへ)本作では主人公・ジョエルの弟・トミー役を演じられました。彼のキャラクターとしての魅力や印象を教えてください。
ガブリエル:何よりもまず、トミーは僕が生まれ育ったテキサス州オースティン出身だということに共鳴しました。そして、彼のすべてを押さえなければ、と思いましたね。だって、オースティン出身のキャラクターを演じられないんだったら(役者業なんて)恐らく引退すべきだろうし(笑)トミーは退役軍人で、他人を守る能力を持っている人間です。そして、家族をとても大切にする人です。ユーモアに溢れ、遊び心に満ちているけれど、やらねばならぬことには真剣に向き合う。シーズン1で彼が見せる成⻑は、氷山の一角に過ぎないと思います。シーズン2に進む中、キャラクターたちはいろいろな意味で試されていきます。トミーは傷ついた自分の心を一生懸命修復してきました。それがどのくらい強いものなのか、彼もまた試されることになるんです。
―(マールへ)本作では反乱組織「ファイアフライ」の女性リーダー・マーリーン役を演じられました。役作りでこだわった点があれば教えてください。
マール:マーリーン(というキャラクター)に初めて出会った時、私は、彼女が勇気と高潔さと責任感に裏打ちされた誠実さに根ざした女性であると(すぐに)わかりました。また、彼女が、ひとつの文化や個人の人間関係に起き得るかもしれない、最も恐ろしい状況を更に超えたような、そんな場にいるということも。だから私は、そんな中で、重責を引き受けると決めたマーリーンにとても心動かされたんです。間に立ち、困難な決断を下し、周りの人々に希望の旗を掲げ続けることができるような、彼女のような人には何か特別ものがあると思っています。
―お2人は本作で、主人公・ジョエル役のペドロ・パスカル、またエリー役のベラ・ラムジーとの共演シーンがありました。お2人の印象をお聞かせください。また撮影時の印象深いエピソードがあれば教えてください。
ガブリエル:ペドロはとても遊び心のある方です。何度もシーンを演じるうえで遊び心を持っていることは重要で、それがあることで、ダークでシリアスなシーンでも、お互いを(演技する上で)驚かせ続けることができるのです。彼は音楽のセンスも最高で、本当に素敵な人です。ベラは、彼女が小さい頃に「ゲーム・オブ・スローンズ」でリアナ・モーモントを演じていた頃からのファンでした。感心しましたし、彼女の(役者としての)成熟度や仕事人としての姿勢には今も変わらず感銘を受けています。人柄もとても素敵なんです。2人とも最高の役者ですね。
マール:2人とも私が大好きなところのひとつは、彼らが人間としてとても美しいところです。遊び心があって、思慮深くて、共感力があって、優しくて、もちろん才能に溢れている。でも特に印象的なのはいつも笑いが絶えなかったことです。現場では常に笑い声が聞こえていました。ストーリーが重いだけに、私たちには笑うことが必要だったんです。かなり笑っていましたね。個人的に、ものすごく楽しんでいました。撮影でひとつ思い出されるのが、グランドプレーリーの暗くてじめじめした病院でのとてもきつい1週間を終えて、クルー全員が撤去作業を済ませた後、カルガリーに戻る飛行機でのことです。ペドロが(ハンバーガーなどで有名なチェーン店の)ファイブガイズをトラックいっぱい運んできたんです(笑)みんなにハンバーガーとフライドポテトと飲み物を用意してくれていたんですね。みんなのことを思い、食べ物を用意してくれて、空気を軽くするような演出をしてくれた。彼のリーダーシップがわかるエピソードですよね。帰りのフライトは本当に楽しいものでした(笑)
―本作を4K UHD、ブルーレイ、DVDで観る方に向けて、何度も観返してほしいシーンやお気に入りのシーンがあれば教えてください。
ガブリエル:やはり大規模なアクション・シーンはエキサイティングだと思うので、そういう意味では第1話のアクションの勢いや昂揚感は改めて観たくなるのではないでしょうか。それから第6話での、主人公たちを襲う感染者の大群や、巨大なモンスター、ブローターの登場は何度も見直したくなるシーンの一つです。このクリーチャーに関しては、一時停止して、どこが実際に撮影されたものでどこがVFXなのか、それがいかにシームレスなのかを是非確認していただき、VFXチームのすばらしい仕事ぶりを見て欲しいです。感銘を受けると思います。
マール:私がこの作品を何度も見続けられる理由は、ストーリーの要所要所にみられる「隙間」が理由です。どれもが愛を持って原作に沿っているし、具体的。それは脚本にも、演技にも、ゲームの象徴的なカットの美しいオマージュにも表れています。また、芸術的にも秀逸な作品で、初めて観た時には風景や美術、小道具などがどのくらい具体的なのかまではわからないかもしれませんが、本当に丹念に作り込まれていているし、それを叶える技巧も非常に優れています。まるで一枚の絵が通り過ぎるのを、身を乗り出すようにして観ることができる。そのぐらい、すばらしいです。撮影現場でも常に感じていたことでもあります。職人技と芸術性に圧倒されて、思わず歩き回っていろいろ見たくなるんですよね。シーズンが進み、シーズン1を観直したりする際には、イースターエッグやゲームのファンに向けた美しい瞬間や小ネタなど、新たに気付くこともどんどん増えるんじゃないかと思っています。
―これから本作を観る日本の視聴者にメッセージをください。
ガブリエル:既にシーズン1を観ていて観直してくださる方も、初めての方も、4K UHD、ブルーレイだとすばらしいメイキング映像やインタビュー、デジタルコンテンツも観られるから、作品のより詳しい背景や文脈を知ることができるのがいいですよね。僕もメイキング映像を観るのが好きなので手に入れようかなと思っています(笑)HBOで視聴すると、各話の最後に短い映像が付いていて、それをいつも楽しんで観ている方なので。4K UHD、ブルーレイだと、217日間の撮影を含めた、この作品の軌跡を味わえるように集められているので、それも楽しんでいただきたいですね。
マール:日本のみなさん、こんにちは。この物語に初めて触れる方も、何度目かの方も、この旅を経験しようとしてくださっていることを嬉しく思います。私は日本が本当に大好きです。生まれたのも日本です。なので、この美しい愛の物語、家族の物語、そして人間であることで経験し得る悲痛な想いが描かれるこの物語をご覧いただけることにワクワクしています。楽しんでいただきたいし、感動もして欲しいです。
「THE LAST OF US」は、同名の有名ビデオゲームを元にHBOがゲーム版クリエイターのニール・ドラックマンと「チェルノブイリ ーCHERNOBYLー」のクレイグ・メイジンと共に生み出すドラマ。ストーリーは、現代文明がコルディセプス(冬虫夏草)と呼ばれる真菌感染によって滅ぼされて20年後から始まる。無情で冷淡なサバイバーである"ジョエル"は、制圧隔離区域から"エリー"という名の14歳の少女を密輸するよう雇われる。はじめは小さな仕事だと思っていたが、やがてアメリカ全土を横断しながら、残酷で胸が張り裂けるような想いを抱える2人の旅となっていくのだったー。
ジョエル役:ペドロ・パスカル(山寺宏一)
エリー役:ベラ・ラムジー(潘めぐみ)
テス役:アナ・トーヴ(田中敦子)
トミー役:ガブリエル・ルナ(高橋広樹)
マーリーン役:マール・ダンドリッジ(朴 璐美)
脚本/製作総指揮/監督:クレイグ・メイジン、ニール・ドラックマン