全国340館で公開を迎えた本作の初日舞台挨拶に、戸田恵梨香さん、永野芽郁さん、廣木隆一監督、そして原作者の湊かなえさんが登壇。ついに待ち望んだ公開初日を迎え、ブラックのドレスに身を包んだ戸田さんは「撮影は昨年なのに、今日まであっという間に感じて不思議です。私自身、感情移入したり、誰かの視点で観ることもなく、不思議な感覚になった作品。でも、いろんな方の感想を伺って見方が全く異なる作品なんだと思いました。どんな風に受け取っていただけるのか楽しみです。」と想いを語り、グリーンカラーのドレスで登場した永野さんは「今日の朝、撮影期間に初めて戸田さんに会えた日のこととか思い出していました。他の作品の初日とは違う、不思議な感覚です。」と笑顔をみせました。廣木監督は「あっという間に初日になりました。皆さん楽しかったですか?」と尋ねると大きな拍手が。そして、今回が『母性』のイベント初登壇となった湊さんは「淡路島から来ました。皆さん本日楽しんでいただけたらと思います!」と緊張した面持ちで挨拶しました。
本作は日刊スポーツ映画大賞の監督賞、報知映画賞では主演女優賞・助演女優賞・作品賞・監督賞の4部門にノミネート。今年の映画賞レースにおいてすでに演技と演出に注目が集まっている本作について、廣木監督は「現場で2人の芝居を見守っていた。それぞれの視点が描かれて、目線が変わるので撮影していて面白かったです。」と撮影を振り返り、「ずっと見られる作品。」と自信を見せました。
今回自身の作品が映画化され、新たな発見や改めて気付いた事など尋ねられた湊さんは、「書いている時に映像が浮かんでいて、頭の中にあったんです。でも映画を観たら、戸田さん、永野さんのお2人の演技をみて気付くことが沢山ありました。」とコメント。「今どの視点のシーンなのか書いてないのに、自然とわかるようになっていた。私の中の映像が上書きされて、ルミ子、清佳の想いを体感できました。」と熱く語り、戸田さん・永野さんの演技については、「それぞれの視点のシーンで涙の出方が一緒なのに、表情が違って驚きました!」と大絶賛。
その言葉を受け、戸田さんは「恐縮です!」と感謝し、「気になることがたくさんある作品。時間が経ってから反省点を気付く作品はあるけれど、すぐに気付けることはなかなかなくて...」と話すと、湊さんは「いつもルミ子の問いかけの中には最善の行動には母だったら、が前提にある。でもあのシーンは、ルミ子が"愛情"に気付いたのだとしたら、あの表情になると思います。」とコメント。戸田さんはその湊さんの言葉に「ありがとうございます!皆さん、よろしくお願いいたします!」とホッとした表情をみせました。一方、永野さんについては「幅広い年代を演じる中で、セリフがない時に表情で清佳が何を思っているのか伝わってきて、素晴らしいなと思いました。」を称賛をおくると、永野さんは戸田さん同様に「恐縮です!」とコメントしつつも、「嬉しいです。難しいなと悩みながら演じていたので、湊さんに認めていただけた気がして嬉しかったです!」と喜びの表情をみせました。
改めて作品を振り返り、特に難しかったシーンや印象に残っているシーンについて、戸田さんは「全部難しかった。中でも火事のシーンは実際に炎がない中で演じなければなかなかったので印象的でした。」と明かし、永野さんは「手伝う時に"触らないで"と母・ルミ子に言われるシーンがあるのですが2日目の撮影でした。戸田さんと会話をちゃんとできてない状況でのシーンだったので、本気でグサッときたのを覚えてます(笑)そこからより仲良くなろうって思いました。」と当時の心境を振り返りました。
またもしこの先、ご自身が母親になることがあるとしたら、どんな母親になるか尋ねられると、戸田さんは「大地真央さん演じる母親像を見ていて、いつも笑顔でいるお母さんって素敵。常に笑顔でいれるように心のゆとりをもって、穏やかな家庭を気付きたいなと思いました。」、永野さんは「まったく母親になるイメージはできない。でも私自身、母と仲が良いので、全部子供と共有できる母親になりたいなって思います!」とそれぞれ未来へ想像を巡らせました。
最後に、戸田さんは「面白いとか、楽しいでは言い表せない、普段気付かないことにハッと気づかされる作品。母である時に思い返すきっかけになるし、自分自身を振り返る作品です。皆さんにとって前へ向き直る作品になったらと思います!」と想いを伝え、花言葉が"感謝"のガーベラのイラストを手にした観客とともに記念撮影を行い、イベントは幕を閉じました。