全世界で社会現象を巻き起こした超ド級ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で全シーズンを通して製作総指揮を務めたデヴィッド・ベニオフ氏、D.B.ワイス氏と2019年実写邦画No.1大ヒット映画『キングダム』の漫画原作者である原泰久氏による、日米エンターテイメント界のトップクリエイター鼎談が実現。
製作総指揮を務めた2人は、「日本に来ることが長年の夢でした!(デヴィッド)」、「日本はストーリーテリングの文化が素晴らしいです。今日は14歳から日本に行きたいと思っていた願いが叶いました。(ダニエル)」と念願の来日に嬉しそうな様子。一方、原氏も「(「GOT」の)大ファンです。友人に勧められてからドハマりしました。今日はお2人に会えるということで福岡から飛んできました!」と双方から熱いコメントをいただきました。
世界中を魅了した「GOT」最終章を迎えた今、製作総指揮陣が心境を語る・・・!
デヴィッド:(「最終章」を作り終えて)今はほろ苦い複雑な気持ちです。生活の大部分を費やしてきましたからね。原作を読みだした14年前から非常に長い道のりでしたが本シリーズは家族のようでした。「最終章」はキャスト、クルーとの別れがあり、悲しく名残惜しかったです。一方で(本作は)僕らが作りたいように最後まで作ることができました。この名残惜しさと嬉しさは一生続くと思います。
ダニエル:私はナイツ・ウォッチの葬儀のシーンに出てくる「君らのような人に再び巡り会う事はないだろう(We shall never see their like again.)」という言葉を、クルーやキャストに伝えました。365日ノンストップで働いていて、今やっと約10年の悲喜こもごもを噛みしめています。素晴らしい人たちと一緒に素敵な旅ができて凄くラッキーでした。
原:「GOT最終章」は毎週見ていましたね。最終話に近づくにつれ、終わってしまう悲しさもありました。ただ、「GOT」は一貫して予想を裏切る展開が凄く、最終章も裏切りの連続で大満足でした。また、(「GOT」は)主人公が誰かわからないなど、脚本の作りが新しくて、各キャラクターのドラマも計算しつくされていましたよね。
デヴィッド:(映画『キングダム』の予告編を見て)「GOT」同様、群衆シーンは大変だっただろうと容易に想像できました。技術も卓越したレベルを感じます。さらに演者さんの表情豊かな演技が観客に訴えかけていて、本編も見たいです!
ダニエル:先ほど原作の漫画も拝見しましたが、画が美しかったです。実写も目を見張る美しさ。
楊端和(ヨウタンワ)のマスクや爪は欲しいですね
原:映画をヒットさせたいという思いがあり、原作ファンや読んでいない人からも愛されるよう気にかけました。
デヴィッド:それはよくわかります、「GOT」も大人気の原作がありました。バランスが難しい一方で、映像だからこその語り口を活かし、程よく複雑にビジュアルを作りました。
(『キングダム』の)脚本を練る段階ではスタッフへ「GOT」を見てください、と言いました。『キングダム』では悪役の成蟜(セイキョウ)が重要でした。悪ではあるが何か惹きつける、そういった意味では「GOT」のジョフリー・バラシオンが最高の悪役でした。
あと第六章第9話の闘いのシーン。緻密に計算された乱戦を撮影するカメラワークも素晴らしかったです。
原:群像劇に関して夢やポリシーを繋ぐ人物相関図を大事にしています。「キングダム」では下僕の信と、王の嬴政(エイセイ)という対極の関係性が、対極であればあるほどドラマとして強くなると思いました。
ダニエル:(GOTも)フィクションであっても歴史の重みが感じられるリアルさを1話目から意識していましたね。日本や西洋の歴史などを織り交ぜていますが、その時代を生きる人たちのリアルさを打ち出すインパクトを大切にしました。
デヴィッド:原さんの話を聞いて、作品は影響し合いボーダレスだと思いました。「GOT」を手掛けたときにビジュアル的に意識した作品は、黒澤明監督の映画『乱』でした。馬が平原を駆けていく映像などを取り込みたいと思い、撮影監督には"『乱』のように"と常々話していましたね。第一章でナイツ・ウォッチのウィルがホワイトウォーカーから逃げ、守衛が追いかけるシーンは、まさに映画『乱』を目指すシーンとなりました。また、黒澤監督もシェイクスピア映画に影響を受けているようですし、(作品の魅力に)国境はないんだとつくづく思います。
「GOT」デナーリス/エミリア・クラーク、「キングダム」楊端和/長澤まさみから紐解く強い女性像
原:役者さんの感情を伝えられる"声"を大事にしています。主役の信を演じる山﨑賢人君の声は、凄くよかったです。山﨑賢人君とは撮影前に1度だけ話す機会があり、漂と別れるシーンが物語全体に関わってくる重要なシーンだと話しました。また、長澤まさみさん演じる楊端和は、ビジュアル的な強さの説得力が必要でしたが、長澤さんで間違いなかったです。
ダニエル:(楊端和をみて)やはり良い役者でないと演じるのは難しいと思います。民を従えてリードするような存在感を放つ若手の役者さんは、なかなかいないので。素敵な女優さんに巡り会えたのだと思います。そういう意味では「GOT」で(大勢の家来や群衆を率いた)デナーリスを演じたエミリア・クラークも素晴らしかったです。彼女はとても小柄で、嫁ぎ先のカール・ドロゴ役のジェイソン・モモアとは体格も全く違いました。しかし、最初は数十人の前でのか弱い印象だった演説シーンから、成長とともに、最後は何千人という群衆の前で大きな存在感を放ってくれました。カリスマ性と説得力に鳥肌が立ちましたよ。
デヴィッド:(「GOT」には)王や姫が登場しますが、共感できるのは、本好きのサムウェル・ターリーが好きですね。徐々にヒーローの役割を果たす彼の設定も好きですが、彼を演じたジョン・ブラットリーが良かったです。実はサムウェル役は他の俳優で決まっていたんです。そこに駆け込みでオーディションにやってきた役者がジョンでした。シリーズが進むにつれ共感と、ジョン自体の魅力によってキャラクターが大きくなりました。
ダン:結果的に膨らませてしまったキャラクターは、ティリオン・ラニスターですね。ティリオン役のピーター・ディンクレイジの想像ができてしまい、彼が話すモノローグシーンに7ページも書いてしまいました。「勘弁してくれ」とピーターに言われましたが、ちゃんと覚えてくれて。撮影した中から削るつもりでしたが、ピーターが上手すぎてそのまま使ったこともありましたね。
原:僕は信ですね。実写映画の信を見て、さらに好きになりました。また、原作で想像以上に成長してしまったキャラクターは王騎でしたね。どんどん勝手に強くなってしまい、最後は史実では亡くなる王騎をどう倒すかという僕と王騎の闘いになってしまいました。
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発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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※R-15:本作には、一部に15歳未満の鑑賞には不適切な表現が含まれています。
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ブルーレイ&DVDセット【通常版】 4,743円+税(2枚組)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©原泰久/集英社 ©2019 映画「キングダム」製作委員会