「MURDER IN THE FIRST/第1級殺人」スティーブン・ボチコが最後に作り上げた本作の見どころとは...!?

2019.01.15 海外ドラマ

2019年1月9日(水)にTVシリーズ「MURDER IN THE FIRST/第1級殺人」のDVDレンタルを開始いたしました。

本作は、「刑事コロンボ」から本作まで数々のクライム・ドラマを手がけ、エミー賞10回の受賞歴を誇るTVドラマ界のレジェンド、スティーブン・ボチコが最後に製作総指揮をつとめ、1シーズン全10話を通してひとつの事件を追っていくというユニークな構成と二転三転する最後の最後まで目が離せないストーリー展開が見応えたっぷりのドラマです。

2018年4月に逝去したスティーブン・ボチコ。
彼が生涯をかけて刑事ドラマに革新をもたらし、視聴者を魅了してきた軌跡、そして遺作であり集大成といえる「MURDER IN THE FIRST/第1級殺人」の見どころとは...

一見関連のないように思えた2つの殺人事件が、複雑に絡み合っていく刑事サスペンス「MURDER IN THE FIRST/第1級殺人」。事件解決に執念を燃やす刑事たちの生き様をリアルに描いた本作の製作総指揮を務めるのが、エミー賞10回の受賞歴を誇るTVドラマ界の重鎮であり、刑事ドラマの名手と言われたスティーブン・ボチコだ。

1970年代に名作「刑事コロンボ」の脚本家としてキャリアをスタートさせたボチコが最初にその才能を世に知らしめたのが、1981年-87年放送の「ヒルストリート・ブルース」だ。ひとつのエピソードの中で複数の事件を追い、手持ちカメラで臨
場感を演出、さらに刑事たちの私生活もクローズアップしてリアルな人間ドラマを生み出した本作は、これまでの刑事ドラマの在り方を一変させ、その後に続く数々の刑事ドラマのアンサンブル化の流れを決定付けた。

1986年にはこのアンサンブル方式を取り入れた弁護士ドラマ「L.A.ロー/七人の弁護士」を手掛け、こちらも大ヒットを記録。そしてボチコ製作の刑事ドラマの中でも金字塔と呼ばれるのが1993年-2005年まで放送された「NYPD ブルー」だ。当時のTV界では卑猥な言葉やラブシーンがタブー視されていたが、本作はあえてそのタブーを積極的に取り込み、大胆かつリアルな描写で強烈なインパクトを残した。エミー賞では4度の作品賞を受賞し、シーズン1で27部門にノミネートされた記録は未だ破られていない。

常にリアリティを追求し、濃密な人間ドラマを展開させていくその手腕で、長きに渡って名作ドラマを生み出してきたボチコ。「MURDER IN THE FIRST/第1級殺人」は昨年急逝した彼の遺作であり、ボチコ・イズムが随所に盛り込まれた作品だ。多層構成のストーリーテリングはもちろんのこと、俳優たちのキャスティングにも並々ならぬこだわりが見える。男女バディの微妙な距離感を細やかに演じる主演のテイ・ディグスとキャスリーン・ロバートソン、事件の容疑者として浮上する巨大IT企業の若きCEOの肥大化したエゴイズムを体現したトム・フェルトン、彼の弁護士として登場するジェームズ・クロムウェルとリチャード・シフはベテランの妙味を披露する。実力派が織りなす骨太な人間ドラマは見応えの塊だ。

まさに生涯をかけて刑事ドラマに革新をもたらし続け、視聴者を魅了してきたスティーブン・ボチコ。「MURDER IN THE FIRST/第1級殺人」はそんな彼のキャリアの集大成にふさわしい作品に仕上がっている。

スティーブン・ボチコについて

マンハッタン生まれのボチコは、ペンシルベニア州ピッツバーグのカーネギーテック(現カーネギーメロン大学)在学中の1965年にMCA(現ユニバーサル)から脚本執筆の研究奨学金を受け、テレビでのキャリアをスタートさせた。翌年の1966年、彼は劇場芸術の学士号を取得して大学を卒業。ストーリーエディターとしてユニバーサルのTV部に職を得たボチコは、1967年に初めて脚本家としてクレジットされると、1971年にはスペシャル版、パイロット版を経てシリーズ化された「刑事コロンボ」のシーズン1第1話となる「構想の死角」の脚本を担当し、以降各シーズンの数話を手がけ続け、Emmys®とWriters Guildの2つの賞のノミネートを受けた。
業界で40年以上の実績を持つボチコは、「ヒルストリート・ブルース」、「L.A.ロー/七人の弁護士」の共同制作および製作総指揮、自身が立ち上げたSteven Bochco Productionsでは、「天才少年ドギー・ハウザー」「NYPD ブルー」、「Murder One、Total Security」「Brooklyn South」「City of Angels」「Philly」の共同制作および製作総指揮など、注目すべきシリーズを次々に手掛けている。1996年には米国テレビ芸術科学アカデミーのテレビ殿堂入りを果たし、テレビ作家・プロデューサーとしては初めてライターズ・ギルド・キャリア・アチーブメント賞を受賞。さらに英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)フェローシップ賞を受賞。他にもアメリカ映画協会、カリフォルニア芸術大学、エマーソン大学および彼の母校であるカーネギーメロン大学から名誉博士号などを授与されている。2018年4月逝去。

<ボチコ作品のエミー賞記録>
■作品賞獲得数記録・・・第1位:「NYPDブルー」(4回)、「L.A.ロー/七人の弁護士」(4回)
■助演男優賞最多ノミネート・・・第1位:「ヒルストリート・ブルース」(16回)
■助演女優賞最多ノミネート・・・第1位:「ヒルストリート・ブルース」(13回)
■演技部門(ゲスト部門を除く)単年度での最多ノミネート・・・第1位:「ヒルストリート・ブルース」(9人)、「L.A.ロー/七人の弁護士」(9人)
■第34回エミー賞助演男優賞部門ノミネート独占・・・「ヒルストリート・ブルース」
*助演男優賞部門のノミネート5人が全て同作だった

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