ビッグ・リトル・ライズ<シーズン1>すべての女性たちに捧げられた普遍的な"女の物語"「ビッグ・リトル・ライズ」に大人女子が絶対ハマる3つの理由とは?

2018.08.29 海外ドラマ

2018年9月5日(水)に海外TVドラマシリーズ「ビッグ・リトル・ライズ<シーズン1>」のDVD発売、レンタルを開始いたします。本作は、「セックス・アンド・ザ・シティ」のHBOが贈る最新作。衝撃のラストまですべてが緻密に計算された珠玉の極上スタイリッシュサスペンスです。
世界中の女性から共感され話題となった本作を、日本の大人女子達も絶対に観るべき理由に迫ったレポートが到着いたしました。

「ビッグ・リトル・ライズ」に大人女子が絶対ハマる3つの理由とは?

オスカー女優のニコール・キッドマンとリース・ウィザースプーンが製作総指揮とW主演を務めたことで注目を集めている『ビッグ・リトル・ライズ』。『セックス・アンド・ザ・シティ』で全世界の女性の心を掴んだHBOが贈る、スタイリッシュなサスペンスドラマだ。2017年の第69回エミー賞では作品賞、主演女優賞など8部門を受賞。第75回ゴールデングローブ賞でも4部門に輝いた。なぜ、これほどまでに評価が高いのか?"アメリカのセレブママのドロドロサスペンス"を遠巻きにエンタメとして消費するのが楽しいから?もちろん、それもあるかもしれない。でも何より大きいのは、このドラマがすべての女性たちに捧げられた普遍的な"女の物語"であることだ。

いびつなママ友3人組が主人公。高級住宅街で起こった陰惨な事件の謎をひも解くサスペンス

主人公は、元弁護士の専業主婦セレステ(ニコール・キッドマン)と、市民劇場でパートタイムの仕事を頑張っているバツイチ主婦マデリン(リース・ウィザースプーン)、そして最近引っ越してきた謎多きシングルマザーのジェーン(シェイリーン・ウッドリー)。この3人のママ友グループが中心となって、自然が美しいカリフォルニア州モントレーの高級住宅街を舞台に物語が展開される。冒頭では、子どもたちの通う学校の行事で、ある人物が殺害される事件が発生。いったい、誰が誰にどんな理由で殺されたのか?事件の少し前に遡り、時系列に沿って徐々に謎が解き明かされていく。なかなか先が読めない、スリリングな上質のサスペンス。一度観始めたら、きっと止まらなくなる。

モントレーの美しい景色と主婦たちが抱える圧倒的寂しさのコントラストが、物悲しくも心地よい

『ビッグ・リトル・ライズ』を通して見るモントレーの景色は、本当に美しい。各エピソードでオープニングに流れるマイケル・キワヌーカの「コールド・リトル・ハート」と海辺の風景は物悲しく陰鬱なのに詩的情緒があり、観た後はしばらく心地よい余韻に浸ることができる。なんだか気持ちよくて、泣いた後のようにスッキリとするのは、女性主導で製作されたドラマだからかもしれない。「私のこと、わかってくれている」そんな体感が得られるのも、このドラマの醍醐味だ。ちなみに、原作はオーストラリアの女性作家リアーン・モリアーティによる『ささやかで大きな嘘〈上〉〈下〉(創元推理文庫)』。ニコールとリースが原作小説を読みドラマ化を熱望、モリアーティを直々に口説き落としたのだそうだ。

いつもカリカリしているマデリンとオドオドした少女のようなセレステ&ジェーン

この街の住人はみな海沿いに立派な邸宅を構え、自宅から見える海辺の夕焼けを家族とともに楽しんでいる。こんな素敵な場所に愛する家族と一緒に住んだなら、何もかも手に入れたような気分になるだろう。一見パーフェクトで幸せそうに見えるモントレーの住人たちだが、どこか様子がおかしい。まず、リーダー格のマデリンはいつもカリカリと怒っていて、家族やママ友と衝突を繰り返している。マデリンのような女性は、誰の周りにも必ずひとりはいるはずだ。とくにマデリンを苛立たせるのは、会社役員を務める"エリートママ"レナータ(ローラ・ダーン)と、離婚した元夫の再婚相手である若くて美しいボニー(ゾーイ・クラビッツ)だ。ボニーは見た目が魅力的なだけでなく、聡明で優しく、さらにヨガインストラクターとしても活躍している。何者かになりたくて、でもなれなくて。一度目の結婚生活も必死に頑張ったけど破綻してしまった。努力しているのに報われないマデリンの最後の心の砦は、市民劇場のパートと今の家族だ。何より大切な私の宝物たちを、今度こそ絶対に守りたい。そう意気込むほどマデリンはイライラして空回りし、家族の気持ちは離れていく。怒りは寂しさの裏返しだ。「でも、あなたたちは別よ」とばかりにマデリンが心を許しているのは物静かで控え目なセレステとジェーンだ。

マデリンと正反対の二人は、ひとりでまくし立てるように話す彼女の話をいつも少女のように微笑みながら聞いている。男性が見たら、「マデリンと違って、おっとりしていて穏やかで優しそうだなあ」と好感を持つかもしれない。

でも、ほとんどの女性視聴者は早々に気付くはずだ。この2人の方が"重症"だと。セレステは才色兼備なのにいつも謙虚で、ニコニコと聖母のように微笑んでいる。不自然なほどパーフェクトな美人ママだ。年下のイケメン夫からは溺愛されているようだが、視聴者は次第にその異常性に気づくことになる。一方、ジェーンは一人息子のジギーに愛情を注ぎ大切に育てているが、その父親の正体については頑なに口を閉ざしたまま。いつも抑圧されているような表情で、画面越しにもその息苦しさが伝わってくる。一触即発の時限爆弾を抱えながら生きている3人。いつ爆発するのだろうかとドキドキしながらも、夢中になって一気に観てしまう。

『ビッグ・リトル・ライズ』は、アメリカのセレブママだけでなく、日本に住むすべての女性もカタルシスを感じる作品だ。一見何もかも手に入れているように見える女性キャラクター達が、それぞれ悩みもがきながら必死に生きている姿に共感しながら、ぜひ観てみてほしい。「ビッグ・リトル・ライズ<シーズン1>」のDVDは、9月5日(水)より発売&レンタル開始!

TEXT吉野潤子

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