女性からマニアまで楽しめる変わり種ゾンビ作品!ジャンクハンター吉田が「iゾンビ」を徹底解説!

2018.06.18 海外ドラマ

海外TVシリーズ「iゾンビ<ファースト・シーズン>」を好評DVDレンタル/デジタル配信中です。また、8月3日(金)には「iゾンビ<セカンド・シーズン>」をDVDレンタル開始、7月20日(金)にデジタル先行配信を開始いたします。

ゾンビ作品に造詣の深い、ゲームや映画を中心としたフリージャーナリストのジャンクハンター吉田が、マニアから初心者まで楽しめる本作を徹底解説いたします。

ゾンビなのに第六感!?「iゾンビ」の一味違った面白さのポテンシャル

おそらくゾンビ好きの中でもノーマークな人も居るであろう海外ドラマ「iゾンビ」。映画やドラマにおいてゾンビはポピュラーになりすぎてしまい、B級映画界では飽和状態になってしまっているが、安易なゾンビものと思うなかれ。ゾンビ作品の中でも、一味違った面白さのポテンシャルを根底に持った作品なのだ。

元々は研修医だった主人公のリヴは、とある事件がきっかけでゾンビ化してしまうのだが、普通の人間同様会話もできれば物事を普通に考えることもできる。ただ、問題なのが脳みそを欲するようになってしまい、検視局へ自ら異動。そこでは殺人事件や事故で運ばれてくる遺体を解剖できるため脳みそは食べ放題(それも倫理的に問題あるが)。上司のラヴィは寛容で脳みそを食べることを率先して許可(それもおかしいだろ!)。
リヴの特徴というか特異な能力とでもいうか、脳みそを食べると生前の遺体が観てきた情景がポイント部分ではあるものの目に飛び込んでくるのだ。つまり、第六感的なヴィジョンがゾンビなのに発動し、監察医務院の元院長で医学博士である上野正彦先生が提唱していた「死体は語る」がそのまんまリヴ自身の特殊能力へと進化していく様子が大変面白い部分。リヴがゾンビ化による自分の新たな能力に気付き、殺人課へ異動してきたばかりのクライヴ刑事と共に難事件を解決へと導いていく2話目以降の展開では、複雑に絡み合っていくシナリオがゾンビ系の作品に興味ない海外ドラマ好きでも間違いなく琴線に触れるはず。

カジュアルさとマニアックさが共存する"ゾンビ要素"

Vertigoから刊行されているクリス・ロバーソンとマイク・アラリドによる原作コミックを読んだことはないが、ベースはコメディなので、アメコミに馴染みがない人でもカジュアルに観ることができる。
ゾンビ系の作品に多い直接的なグロいシーンもほぼ皆無なので、女性も観やすくゾンビ系に抵抗ある方にも対応できるよう見やすく作られた丁寧な演出。メタフィクション要素も多く、第1話からいきなりジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を登場させたりと、リヴたちの存在している世界ではゾンビ=映画の中にいたキャラクター的認識設定が作られており、どこかで聞いたような映画のタイトルがリヴの口から飛び出してくるとニヤリとさせられる。

「iゾンビ」をマニアックに語ってしまうと、ベースとなっているオマージュされた映画が結構ある。まず、脳みそを欲しがるゾンビのコンセプトはダン・オバノン監督の『バタリアン』。ヴィジョンがフラッシュバックして見える要素はスティーブン・キング原作の『デッドゾーン』と、殺された妻の脳髄液を自らに移植して記憶の追体験をしながら犯人を捜す検視官の姿を描いたジョン・ダール監督の『アンフォゲッタブル』だ。これらの3作品が組み合わさり、謎解きやらのサスペンス要素も盛り込まれ、刑事ドラマを背景に作られたドラマでもあるので、飽きさせずに次の展開が始まるのもイイ。既に海外では第4シーズンまで放送され第5シーズンも決定と、仁義なき供給過多なシノギを削っている海外ドラマ界の中でも2015年から本作は継続されているわけで、ハズレのない変わったゾンビ系作品として筆者からも自信を持ってオススメしたい。

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