どうしてクリプトが重要なキャラクターなのか

2018.04.24 DCコミックス, スーパーマン

スーパーマンの持つ、すべての超人的能力を持った犬という概念は不思議だが、アシュリー・V・ロビンソンはスーパーマンの忠犬・クリプトがこの記念すべきアクション・コミックス#1000において重要な役割を担っていると話す。そもそもスーパーマン・シリーズには多くの魅力的なキャラクターが登場する。まずはロイス・レインが頭に思い浮かぶだろう。

クリプトはスーパーマン神話の背景を考えると、あまりに重要なキャラクターである。
スーパーマンというキャラクター自体、彼が創造された時の世界情勢を象徴している。彼があまりにも身近な存在であるために、簡単にその彼が世界恐慌の産物であることを忘れてしまうが。
人々にとってスーパーマンは希望の象徴だった。世界中の国々がどん底だった頃、人々が他のなによりも必要としていたのは希望の兆しだけだった。

それがどうしてクリプトに関係あるのかというと、犬が人間の親友的立ち位置であることはもはや共通認識。
あなたが猫派でも、それは事実としてシャイロ、黄色い老犬、ラッシー、ベンジーなどのポップカルチャー犬に代表されることで証明されている。
キャラクターが犬とともに暮らしていることは、観客に無意識のなかでその人物は"善人"だと示してくれる。だって犬好きに悪いひとがいるはずないのだから!
その点でNo.1ヒーローであるスーパーマンが犬を飼っているということはその"善人っぷり"を証明している。

実際にクリプトは赤ん坊のカル=エルを地球まで追いかけ、クリプトン最後の子孫であるカル=エルが未知の地球で一人ぼっちになることがないようにそばにいた。
愛らしい犬であるだけでなく、クラークのクリプトンに対する理解を深め、クリプトン人であることの意義を教えた。クリプトは一族の歴史をたった4本の脚で背負っている。

1990年代の"Reign of the Supermen"のストーリーのなかで登場するコナー・ケント、スーパーボーイはスーパーマンとレックス・ルーサー両方のクローンである。
それゆえ彼はいつも自分のアイデンティティに苦悩していた。コナーがティーン・タイタンズに加入したとき、スーパーマンは彼にクリプトを譲り、責任感と思いやりを学ばせた。
スーパーマンはコナーにクリプトは空を飛行できる地球外生物だが、スーパーマンがクラーク・ケントとして地に足をつけていられたのはクリプトのおかげだと話した。

クリプトが再登場するのは10年後、クラークとロイスの息子であるスーパーボーイ、ジョン・ケントの指導者であり、相棒としてだった。
実際、クリプトとジョンは父親のときのように深い絆で結ばれることとなった。クリプトはあまりにケント一家に対して保護的すぎて、エラディケーターの危機に瀕したときは自分を犠牲にしてケント一家の3人が無事にそこから確実に脱出できるようにした。

スーパーマンの安全と引き換えにクリプトが死に直面したことはこれが初めてではなかった。
1986年に出版されたアラン・ムーアの「スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード」において、クリプトはスーパーマンをクリプトナイトマンから守ろうとして命を落とした。
そしてスーパーマンを助けただけでなく、クリプトはスーパーヴィランを破壊した。

クリプトンを象徴していることと自己犠牲にまで及ぶスーパーマンへの驚くべきサポート以上に、クリプトは彼の相棒であるスーパーマンが象徴するものの鏡でもある。
スーパーマンはたいてい彼が属するチームのリーダーであることが多い。それは彼がカリスマ性を併せもったセンターが似合う男だからだ。
しかし私はスーパーマンがリーダーに選ばれるのは、みんな彼はどんな困難な決断でも思いやりにあふれた決断をすると信じているからだと思う。

クリプトは生まれながらのリーダーである。
クリプトこそが鋼鉄の男(とそのわがままな息子たち)の最も忠誠な相棒である。
彼はスーパーマンのためならすべてを投げ捨てることを厭わない、時には自分の命までも。つまり、クリプトこそがDCユニバースののなかでの小さなヒーローなのだ。

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