2017年12月20日(水)より『ダンケルク』のブルーレイ&DVDを発売・レンタル開始いたします。また、好評デジタル先行配信中です。本作は世界でもっとも次回作を期待される天才、クリストファー・ノーラン監督が初めて実話に挑んだ緊迫のサバイバル・アクション。世界60カ国以上で初登場第1位を獲得、日本でも週末興行ランキングで初登場&2週連続第1位の大ヒットを記録しました。さらに批評家からも高い評価を獲得しており、アカデミー賞®の前哨戦ともいわれるゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)、監督賞、作曲賞の3部門にノミネートされるなど、アカデミー賞®の大本命と期待されています。
この度リリースされるブルーレイに収録の映像特典には、約110分にも及ぶメイキング映像が収録されています。メイキングでは、圧倒的な映像表現と斬新な世界観で"天才"と呼ばれるクリストファー・ノーラン監督が、初の実話に挑むに当たっての徹底的なこだわりを観ることができます。
その必見&圧巻のメイキング内容を解説いたします。
『ダンケルク』ブルーレイの映像特典に収録された約110分にも及ぶメイキングは、本編同様に必見&圧巻の内容だ。クリストファー・ノーランという最強監督の創作の秘密――妥協なき桁違いの情熱と、それを完璧に具体化するためのプランを、たっぷりのボリュームで網羅的にうかがい知ることができる。
なにより特徴的なのが、CGIなどデジタル全盛の流れに逆行し、徹底的に"本物"の実写にこだわる姿勢だ。ドーヴァー海峡に面したフランスの港町、独特の地形を持ったダンケルクの海岸に、1940年の戦場を再現してやろうとする規格外のロケ撮影。防波堤を復元し、当時活躍したヴィンテージの戦闘機や駆逐艦に実際乗りこむ(使用不可ならば、似たモデルを探してきて改造)。コメントでノーランはセシル・B・デミル監督の名を引き合いに出しているが、無声映画の時代を彷彿させる昔ながらのダイナミックな映画作り。また同時に観客をまったく新しい映画体験へと導くため、制作の過程でいくつもの「発明」が生み出されていく。
例えば空中戦のシーンでは、スピットファイアの編隊とコクピットの俳優を並行して撮るため、様々なカメラ台や特殊レンズが開発された。合成は一切使わない。そこでYak52という二人乗りの飛行機を改造して使用。俳優と実際の操縦者が一緒に空を飛び、飛行中のコクピットのリアルな描写――操縦席の密閉された感覚、パイロットの視線や体感など、まさに"本物"の臨場感が映像として焼きついた。撮影方法も斬新な工夫が重ねられたのだ。メインカメラはIMAX(七割以上使用)。アナログのフィルムを装填した大きくて重いIMAXカメラを、時にはなんと手持ちで操作する。海上や水中で見せる、撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマ率いるクルーの仕事は神ワザだ。
こうした飽くなきリアリティーの追求は、ドキュメンタリズムの導入という言い方も可能だろう。若い新人俳優たちはまるで初任務の兵士のように、たび重なる爆発や、ボートすれすれに飛んでくる戦闘機に演技ではなく本当に驚いたという。そしてポスト・プロダクションでは、リー・スミスの編集とハンス・ジマーの音楽が加わる。ノーランの言う「主観的時間」の緊張を持続させるため、秒針の音(録音にはノーラン私物の腕時計を使用)から全編のリズムを形作る超絶のトライアル。この緻密な作業を経て、珠玉の映像素材は高次のフィクションへと昇華する。
メイキングを観ればわかるように、本作は壮大な娯楽映画にして、先鋭的な実験映画だ。その難業を実現するのは抜群のチームワーク。中心に居るのはノーランという天才だが、彼の創造はスタッフやキャストの惜しみない協力があってこそ。本作が描く"ダンケルク・スピリット"とは、不可能を可能にする団結の精神を謳ったもの。『ダンケルク』という映画自体が、そのスピリットを体現したひとつの伝説と言えるのだろう。
〈Text:森直人〉
【映像特典ブルーレイDisc収録内容】
●奇跡の始まり(・実話に挑む・ダンケルク・広大なキャンバス・撮影手法)
●陸(・防波堤の復元・浜辺の兵士たち・戦闘服)
●空(・空中撮影・コックピットの内側)
●海(・艦隊の動員・ムーンストーン号・海のシークエンス・船を沈める・歴史の中の小型船)
●映画への想い(・未知なる体験・ダンケルク・スピリット)