2017年12月20日(水)にブルーレイ&DVDリリース、12月13日(水)にデジタル先行配信される『ダンケルク』が、この度12月11日(現地時間)に発表された第75回ゴールデングローブ賞において作品賞(ドラマ部門)、監督賞、作曲賞の3部門にノミネートされました。本作は世界でもっとも次回作を期待される天才、クリストファー・ノーラン監督が初めて実話に挑んだ緊迫のサバイバル・アクション。世界60カ国以上で初登場第1位を獲得、日本でも週末興行ランキングで初登場&2週連続第1位の大ヒットを記録しました。さらに批評家からも高い評価を獲得しており、アカデミー賞®の前哨戦ともいわれるゴールデングローブ賞でのノミネートを受け、来年初めにノミネートが発表されるアカデミー賞®でも、多部門でのノミネート、オスカー獲得の期待が高まっています。
『ダンケルク』これまでの主な受賞・ノミネート
・第22回サテライト・アワード 11部門ノミネート
(作品賞、監督賞、助演男優賞、脚本賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣裳賞、視覚効果賞、録音賞、作曲賞)
・第43回ロサンゼルス批評家協会賞 編集賞 受賞
・第30回日刊スポーツ映画大賞 外国作品賞 受賞
・第60回グラミー賞 サウンドトラック・アルバム作曲賞ノミネート
・第89回ナショナル・ボード・オブ・レビュー 作品賞トップ10選出
・第23回放送映画批評家協会賞 8部門ノミネート(作品賞、監督賞、アンサンブル演技賞、撮影賞、美術賞、編集賞、視覚効果賞、作曲賞)
・AFI(アメリカ映画協会/American Film Institute)アワード2017 映画部門トップ10選出
この度のゴールデングローブ賞以外にも、各映画賞※で作曲賞に確実なノミネートを果たしている映画音楽家のハンス・ジマー(※第22回サテライト・アワード、第23回放送映画批評家協会賞、第60回グラミー賞 サウンドトラック・アルバム作曲賞)。クリストファー・ノーラン監督の作品にはお馴染みの彼ですが、その他にも様々な作品で活躍しています。そんな今さら聞けない映画音楽家ハンス・ジマーについて、『ダンケルク』での彼の仕事ぶりと合わせてご紹介いたします。
近年、大作や大ヒット作の音楽でよく見かける名前がハンス・ジマー。その名前なら聞いたことがあるという方は多いだろう。だが多くの方がよく知っている音楽も実はハンス・ジマーだったりする。90年代にテレビで放送された「料理の鉄人」のオープニングに流れる勇壮なテーマ曲。これはハンス・ジマーが担当した『バックドラフト』(91)からの流用だったのだ。
ハンス・ジマーの曲の特徴はダイナミックなシンフォニーとエレクトロニクス・ミュージックの融合で、アクションやスペクタクルな映画によく合う。その結果『クリムゾン・タイド』(95)と『ダークナイト』(08)でグラミー賞、『グラディエイター』(00)でゴールデングローブ賞、そして『ライオンキング』(94)ではアカデミー賞®を受賞し、今年だけでも『ワンダーウーマン』(テーマ担当)、『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』(テーマ担当)、『ドリーム』、『ブレードランナー2049』(ベンジャミン・ウォルフィッシュと共作)、『ダンケルク』の5本もの作品に参加している。
そんなハンス・ジマーの近年のベスト・パートナーがクリストファー・ノーラン。2005年の『バットマン・ビギンズ』以来、『プレステージ』(06)を除く全監督作で組んでいる。『インセプション』(07)では本編中で夢から覚める合図として使われるエディット・ピアフの「水に流して」のイントロを低速にしたものを象徴的に使うなどトリッキーな音楽を書き、『インターステラー』(14)では単純化した短いメロディを反復し重ねることで父親の娘への想いを表現して深い感動を呼んだ。そんなハンス・ジマーとクリストファー・ノーランの到達点が『ダンケルク』だ。
『ダンケルク』においてハンス・ジマーの音楽は大きなウェイトを占めているが、だが映画を見終わった後にどんな音楽が流れていたか覚えていないかもしれない。最もよく出来た映画音楽は映像に溶け込み、流れていたことさえ気付かせない...という。いつどこから撃たれるのかわからない極限状態の兵士たちの心拍音をあらわすかのような激しいリズム、空襲を知らせるサイレンのような音が鳴り続け、反復するメロディが緊張を否が応にも高めていく。これが、映画が始まってから救助が来るまでの90分間続く。こうやって観客はダンケルクのど真ん中に連れてこられるのだ。
つまり『ダンケルク』の半分は、ハンス・ジマーの音楽で出来ている。
<Text: 竹之内円>