プリベット通りのつまらない夏を楽しくする方法

あ、8月。子供たちにとっては、楽しい夏休みの時期であり、何週間も宿題から解放される夢のような季節。しかし、ハリーにとってはそこまで喜べるものではありませんでした。ホグワーツでの新学期が始まるまで、またダーズリー一家と過ごさなければならないのですからね。とはいえ、それでもハリーは彼なりに、ダーズリー一家との時間をやり過ごすための秘訣をいくつか学んだので、紹介していきましょう...

毎日ダドリーを驚かせる

「デマカセー ゴマカセー!」ハリーは激しい声を出した。「インチキー トンチキー......スクィグリー ウィグリー......」
「ママーアアアアア!」家の中に駆け込もうとして、自分の足に躓きながらダドリーが叫んだ。「ママーアアア! あいつがあれをやってるよう!」
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』

バーノンおじさんが何度もハリーから魔法を封じようとしましたが、ハリーはホグワーツで学び、結果としては偉大な魔法使いになりました。1年目を終えたとき、ハリーは、プリベット通りへ戻ることになりましたが、それまでとは違い、ダーズリー一家を魔法で驚かすことができました。もちろん、マグル達の住む世界では魔法の使用は禁止ということは隠しておきながら。彼らにそれが知られてしまうまでの間でしたが、それでも十分楽しめました。

思いっきりたくさんのケーキを食べること

この夏をニンジンの切れっぱしだけで生き延びる羽目になりそうだとの気配を察したハリーは、すぐにヘドウィグを飛ばして友達の助けを求めた。友達はこの一大事に敢然と立ちあがった。ハーマイオニーの家から戻ったヘドウィグは、「砂糖なし」スナックのいっぱい詰まった大きな箱を持ってきた(ハーマイオニーの両親は歯医者なのだ)。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』

ダドリーがダイエット中で、4分の1のグレープフルーツと惨めな食事に苛まれていた頃、まさかその上の階でハリーが友人たちから贈られてきた素晴らしい誕生日ケーキを3つもほおばっているとは、彼は思いもしなかったことでしょう。プリベット通りの人たちがハリーをのけ者扱いしたとしても、ありがたいことに遠く離れた魔法界の友人たちはハリーのことをさまざまな方法で励ましてくれました...。正義がこれほどおいしく感じられるとは。

魔法界の友人たちが「話電」を初めて使うとき

「だれだ!」
おじさんは受話器の方向に向かって怒鳴った。
「君はだれかね?」
「ロン――ウィーズリーです!」
ロンも大声を返した。まるで二人はサッカーの競技場の端と端に立って話し合っているようだった。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

ロンがマグルの機器を使ってハリーに連絡を取ろうとしたこの場面は、「ハリー・ポッター」シリーズの中でも特に面白い場面のひとつでした――電話相手が自分の声を聞きとるために、怒鳴らないといけないと思っていたのは実に愉快なものでした。ただ、電話の向こうにいたのがバーノンおじさんでなければよかったのに...と思わずにはいられません。

魔法に関することをなんでもいいから口にする

「僕、オートバイの夢を見た」ハリーは急に思い出した。「空を飛んでたよ」
バーノンおじさんはとたんに前の車にぶつかりそうになった。運転席からグルッと振り向きざま、彼は口ひげをはやした巨大な赤かぶのような顔でハリーを怒鳴りつけた。
「オートバイは空を飛ばん!」
『ハリー・ポッターと賢者の石』

バーノンおじさんは魔法に関するものならなんでも毛嫌いするので、ほんの少しの幻想的な話をするだけで(昨日見た夢の話など)、おじさんの口ひげを不安でそばだたせることができます。もし私たちがハリーだったら、このひげの動きの観察で退屈な日曜の午後の時間に少しだけ気を紛らわせることができるかもしれません...。

ときには招かれざる屋敷しもべ妖精が遊びに来るかもしれない...

「あ――そうなの。あの――気を悪くしないで欲しいんだけど、でも――僕の部屋に今『屋敷しもべ妖精』がいると、とっても都合が悪いんだ」
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』

知り合いでもない屋敷しもべ妖精がいきなり自分の部屋に現れ、そのうえおばさんが丹精込めて作った力作のデザートを床に落とし、そのままいなくなってしまうなんて、当然のことながら、みなさんも嫌ですよね?

当時のハリーにとっては、魔法省から警告を受けてしまったり、窓に鉄格子をはめられたりといった、散々な思い出だったかもしれませんが、ペチュニアおばさんの力作デザートがそこら中に飛び散った瞬間はダーズリー一家にぎゃふんといわせる出来事だったのは間違いないでしょう。

面白いことが全くないとしても――ダーズリー一家がいるだけで十分な気晴らしになる

「それでよし。さて、夕食の席で気のきいたお世辞の一つも言いたい。ペチュニア、何かあるかな?」
「バーノンから聞きましたわ。メイソンさんは、すばらしいゴルファーでいらっしゃるとか......まあ、奥様、その素敵なお召し物は、いったいどこでお求めになりましたの......」
「完璧だ。......ダドリー?」
「こんなのどうかな、『学校で尊敬する人物について作文を書くことになって、メイソンさん、ぼく、あなたのことを書きました』」
この台詞はできすぎだった。ペチュニアおばさんは感激で泣き出し、わが子を抱きしめたし、ハリーはテーブルの下に潜りこんで、大笑いするところを誰にも見られないようにした。
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』

目先のことしか考えられないこの一家はハリーの人生をみじめなものにしてきましたが、彼らが繰り広げる、ときにとてつもなくばかばかしい場面の数々は私たちを楽しませてくれました。とりわけ、ダドリーが丁寧な態度を取ろうとしたところなんて傑作でしたよね。

それではみなさん、どうぞ、ダーズリー家のいない幸せな8月をお過ごしください。