まだ知られていないシリウス・ブラックのあれこれ

リーの名づけ親、シリウスに関するエピソードをいくつか紹介します。




シリウス・ブラックはほかにもいる

シリウスは、あらゆる人にとって唯一無二の存在だと思いますが、「シリウス・ブラック」という名前は、彼がひとり目では――正確にはふたり目でも――ありません。1845年に生まれた、ひとり目のシリウス・ブラックは、ホグワーツの元校長を務めたフィニアス・ナイジェラス・ブラックの兄でした。ブラック家のタペストリーによると、シリウス・ブラック1世は、残念ながら大人になる前に亡くなってしまったようです。のちに、フィニアスは自分の息子を「シリウス」と名づけています。きっと、若くして命を落とした兄にちなんでつけたのでしょう。おそらくフィニアスにとっては"シリウス・ブラック3世"は唯一無二の存在ではなかったと思われます。

11月3日生まれ

このトリビアは、J・K・ローリングのTwitterで明らかになりました。2015年のラグビーワールドカップでスコットランド対サモアの試合が行われたときのことです。ローリングは自分のフォロワーに、スコットランドを応援してくれたら、シリウス・ブラックの誕生日を公表すると約束していました。そして、試合のあとに約束どおりツイートをしたのでした。信じられないかもしれませんが、ラグビーのスコットランド代表チームは魔法界にとても大きな影響を与えているのです。

『ハリー・ポッターと賢者の石』の初期段階の原稿ではシリウスの登場シーンがあった

ワシのように観察眼の鋭い「ハリー・ポッター」シリーズのファンが1作目を読み直すと、第一章「生き残った男の子」に見覚えのある名前があることに気づくでしょう。しかし、初期段階の原稿では名前だけでなく、シリウス自身が登場していました。シリウスはゴドリックの谷でパイライトという名前の魔法使い――ヴォルデモートの部下のひとりで、手にはめている白いシルクの手袋が血で「芸術的」に染まっているときもあるそうです――と出会うことになっていました。最終的にパイライトは物語から消されてしまいましたが、シリウスはハグリッドにオートバイを貸した人物として第一章に名前だけ登場したのです。

アズカバンに送られたのは22歳前後だった......

つい忘れてしまいがちですが、ヴォルデモートが初めて権力を持ったとき、シリウスたちマローダーズはまだ若い青年でした。ジェームスとリリーの結婚式に、シリウスが新郎付添人として参列したのは、彼らがホグワーツを卒業したばかりのころだったのです(シリウスは結婚には向かないタイプでした――J・K・ローリングによると、シリウスは「自分は絶対に結婚したくない」と断言していたそうです)。若くして投獄されたシリウスの時間は、脱獄を成し遂げるまで止まっていました。ティーンエイジャーのハリーに対して、親代わりというよりは友だちのように接していたのも、これで説明がつきますね。

......逮捕されたとき笑っていたというのは事実だった

シリウス逮捕に関する情報のほとんどが事実とは異なっていますが、事件現場で笑っていたというのは本当です。親友の死を目の当たりにし、さらに親友を裏切った疑いをかけられていることに気づいたシリウスは、狂ったように笑い続けたそうです。シリウスはさらに衝撃的な事実に気づいています。2005年のインタビューでJ・K・ローリングはこう語っています。

「そう、逮捕時にシリウスが笑っていたというのは事実よ。自分が失くしたものを悟ったの。楽しくて笑っているんじゃなくて、乾いた笑い。ペティグリューのこと......。ペティグリューは自分たちが思っていたよりも、賢い魔法使いだった。マローダーズの仲間が思うより、隠し事が得意だった」
J・K・ローリング、ウェブサイト「漏れ鍋」/「マグルネット」インタビュー、2005年7月16日

シリウスは「愛犬家モプシー」のところで仲間を見つけることになっていた

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の草稿では、動物もどき状態のシリウスが、モプシーという名前の変わり者の年老いた魔女に保護されることになっていました。「愛犬家モプシー」はホグズミードにいる野良犬たちを放っておけませんでした(猫が異常に好きで野良猫を何匹も保護して、猫屋敷に住んでいる人がいますよね。その犬バージョンです)。犬の姿になったシリウスに、食べるものと休む場所を用意してくれます。そこにはモプシーが飼っているたくさんの犬がいるのです。編集の過程で物語からモプシーは消え、かわいそうなパドフットは洞窟に身を隠し、ネズミを食べて生き延びるはめになってしまいました。バックビークが話し相手(?)としていただけマシですかね...?

スタビィ・ボードマンとシリウスはまったくの別人(もちろん、兄弟でもない!)

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』に登場する雑誌「ザ・クィブラー」の記事が、控えめにいって「事実と異なっている」ということは誰の目にも明らかです。「ザ・クィブラー」は、シリウス・ブラックは人気シンガーグループ『ザ・ホブゴブリンズ』のリードボーカル、スタビィ・ボードマンである可能性が高いと報じていました。スタビィ・ボードマンはコンサートで「耳を蕪で打たれて引退し」ています。

シリウスがじつはスタビィだったという説を信じる読者はほとんどいなかったと思いますが、のちにファンがJ・K・ローリングにこんな質問をしました。「もしかしたらスタビィ・ボードマンはシリウスの弟、レギュラスではないでしょうか?」ローリングは自身のホームページでこう答えています。「いいえ。スタビィ・ボードマンはシリウスの弟ではありません。アイデアとしては面白いけど」

J・K・ローリングは、シリウスが死ぬ場面を書いて涙した......

ローリングは、シリウスにどんな未来が待ち受けているのか知っていましたが、彼にとって運命的な章である「ベールの彼方に」を書き始めるまで、考えないようにしていたといいます。その執筆作業は、ローリングを自宅のキッチンで泣かせるには十分すぎました。シリウスを死なせない展開にする可能性はあったのか、という質問に対して、彼女はこんなふうに答えています。「うーん、そう簡単にはいかないのよ。子ども向けの本を書く作家は、冷酷な殺人者にもならなくちゃいけない」こうして、高貴なる由緒正しきブラック家直系の血筋はシリウスで途絶えてしまいました。

......それでもシリウスの名前は生き続ける

ハリー・ポッターはのちに、自分の父親と名づけ親の思い出を称え、長男にふたりの名前をつけます。そして、2015年9月1日、ホグワーツに入学したジェームズ・シリウス・ポッターはグリフィンドール寮に組分けされた、とJ・K・ローリングはTwitterで公表しました。また、ジェームズ・ポッター2世は、父親であるハリーの書斎で忍びの地図を見つけ、こっそり持ち出すというトラブルメーカーな一面も引き継いでいます。ジェームズ・ポッター1世もシリウスも、ジェームズ・シリウス・ポッターのことをきっと誇らしく思っていることでしょう。

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