不思議な魔法動物たち

から光を発する動物、絶滅の危機にある動物、死を予言して鳴く動物、名前を彫ったキュウリでおとなしくさせる動物――魔法界にはもっと不思議な動物がたくさんいます......。今回は、ニュート・スキャマンダーが調査した魔法界に生息する変わった魔法動物を紹介します。

アッシュワインダー

不思議な魔法動物総まとめは、アッシュワインダーからはじめましょう。体は細く、灰白色のヘビで燃えるように赤い目をしています。赤く光る目の動物なら魔法界にはたくさんいますが、アッシュワインダーはその生まれる瞬間が変わっています。人目につかないところで長時間、魔法火が燃え続けると、燃えさしのなかからヘビが現れ、するするとはいだします。アッシュワインダーがはったところには灰だらけの跡が残ります。

ヘビが苦手な人も怖がらなくて大丈夫。アッシュワインダーが生きられるのは、たった1時間なのです。生まれて1時間が経つと、形が崩れて灰になってしまいます。問題があるといえば、その間に卵を産むことです。産卵のために暗い隔離された場所(住居のような場所!)を探します。アッシュワインダーの産んだ卵は高熱を発し、数分のうちに発火して火事になってしまいます......。大変ですね......。

ディリコール

ディリコールは丸々とした体にふわふわの羽を持つ、飛べない鳥です――この特徴を聞いてある鳥が思い浮かびませんか? そうなんです。マグルはディリコールのことをよく知っていますが、違う名前で呼んでいます。「ドードー鳥」です。ディリコールは危険から逃れる能力がずば抜けているようで、パッと姿を消し、違う場所に移動することができます(不死鳥も同じ能力を持っています)。当然、マグルは自在に姿を消せるディリコールの能力を知らないため、自分たちが乱獲したせいで絶滅してしまったと思っています。

クラバート

クラバートの一番不思議なところといえば、その姿です。猿と蛙(かえる)の間のような姿で、肌は滑らかで毛がなく、まだらな緑色。手足には水かきがついています。そして、長い腕と脚を使って枝から枝へ移動するのです。ですが、それも頭についているものと比べるとかすんでしまいます。クラバートの最も変わっている特徴は、額の真ん中にある大きなイボです。それは危険を察知すると、赤く点滅します。ニュート・スキャマンダーによると、昔、アメリカの魔法使いは自分の庭でクラバートを飼い、マグルの接近をいち早く警告するために使っていたそうです。しかし、額を赤く光らせたクラバートがたくさんいる木をみて、もう6月なのにまだクリスマスの飾りをつけているのか、と訪ねてくるマグルがたくさんいたといいます。たしかに、何ヶ月もイルミネーションをつけっぱなしなのは縁起が悪いですもんね――そのマグルたちは善かれと思って言いにきてくれたのかもしれません。

バンディマン

魔女や魔法使いが「このひどい臭いは何だ?」とお互いに聞きはじめたら、その答えとしてバンディマンの名前が挙がるでしょう。汚らしく腐った臭いで、バンディマンがいることがわかります。床板や幅木の隙間に入りこむことができるこの生物は、分泌物で家を侵食し、その土台から腐らせてしまうのです。バンディマンの性質を聞いただけでも不思議に感じるかもしれませんが、見た目はもっと変わっています。静止状態のときは、目のついたアオカビに見えますが、危険を察知すると、たくさんの細い肢(あし)であわてふためいて逃げ出します。ほこりを食べてくれるのはありがたいですが、かわいそうなバンディマン――きっと友だちは少ないでしょう。

オーグリー

オーグリーはそれほど変な魔法動物ではありません――詳しい特徴を知るまでは......。ほっそりとして悲しげな目つきの鳥で、なんとなく腹ぺこの小型ハゲワシに似ており、羽の色は緑がかった黒をしています。とても内気で、空を飛ぶのは大雨のときだけ(だんだん変わったところが出てきましたね)。それ以外の時は涙形の巣に隠れています。最大のおかしな特徴は、グッグッと脈打つような低く独特な鳴き声です。かつて、その声は死の予兆だと信じられていました。しかし、忍耐強い研究によって、オーグリーは雨を察知して鳴いているだけだということがわかりました。最後にもうひとつ。オーグリーの羽根は羽根ペンとして使えません。なぜなら、インクをはじいてしまうからです。やっぱり変わっていますね。

ジョバーノール

ジョバーノールはブルーの斑点がある小さな鳥で、小さい虫を食べます。ここまでは、マグル界の鳥みたいですよね。しかし、ジョバーノールが鳴き声をあげるのは死ぬ間際だけなのです。死の瞬間、それまでに聞いたことのあるすべての音を一つの長い叫びに込め、一番新しい音から一番古い音へと順にさかのぼって吐き出していきます――すごいですよね! ジョバーノールの頭頂部の羽根は自白用血清や記憶魔法薬の調合に使われています......正直、1本では足りないんですけどね。

カッパ(河童)

カッパは浅い池や川に生息しています。見た目は猿に似ていて、体は毛ではなく鱗(うろこ)で覆われており、頭のてっぺんがへこんでいて、その部分に水が溜まっているとよくいわれています。人間の生き血を吸って(想像しただけでゾッとしますね!)生きています。しかし、一説には名前を彫ったキュウリをカッパに向かって投げると、その名前の人物は襲われなくなる、といわれています。そうなんです......生き血を吸おうとしてくるカッパから、キュウリが守ってくれるのです。そんなの信じられない、と思ったみなさん――思い出してください。これは、魔法界の変わった魔法動物をあつめた記事ですよ。

レシフォールド

この魔法動物は「リビング・シュラウド<生ける経帷子(きょうかたびら)>」の呼び名で知られているとおり、2センチ足らずの厚さの黒いマントのような姿をしています。獲物を殺し、消化したばかりだともっと厚くなります(怖いのが苦手な人はこの先は読まずに、つぎの魔法生物に進んでください!)。レシフォールドは、夜に地面を滑って移動し、その姿はまるでさらさらと音をたてる影のようです。たいてい、眠っている人を襲います――狙われた人が魔法で抵抗するチャンスはほとんどありません。レシフォールドは寝ている獲物を窒息死させ、ベッドの上で消化を始めます。そして、少し厚みの増した姿で家から出ていくのですが、自分はもちろん、獲物にした人間の痕跡すら残しません。みなさんの家にはいないですよね。ゾッとするような気配を感じたらもしかして......?

ストリーラー

レシフォールドで震えたあとには、ストリーラーの話で元気になれるはず!ストリーラーは巨大なカタツムリで1時間ごとに体の色を変えます。そのため、万華鏡のような色の変化を楽しみたい魔法使いや魔女が、ペットとして飼っています。ストリーラーのきらびやかな色の変化の欠点を挙げるとすれば、通った跡に猛毒を残していくことです。ストリーラーが通ったところは、植物がしなびたり焼け焦げたりします。完璧に手入れされたペチュニアおばさんの庭には、絶対に入れてはいけない魔法生物ですね!

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