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「死の秘宝」では、ハリー、ロン、ハーマイオニーは、「賢者の石」で初めて出会ったときの無邪気な子供から成長し、賢くなっています。しかし、ヴォルデモートの分霊箱を破壊する旅に出たとき、彼らの一番最初の冒険が再び思い起こされるのです。
そこで考えました:ハリーのホグワーツでの物語は一周してもとに戻っているように見えないでしょうか?
ハリーは、「吟遊詩人ビードルの物語」の中の「三人兄弟の物語」を聞いたときから、死の秘宝に執着し始めます。この3つの秘宝を所持するものは"死を制する者"になると言われています。ハリーはこの3つの秘宝を手に入れればヴォルデモートを倒す手助けになると確信します。
ハリーは実際に秘宝のひとつである父親の透明マントを、ホグワーツの1年目で渡されることになります。「三人兄弟の物語」の中で、3番目の弟が「死」を逃れるために何年もこのマントを使用しました。しかし実際にハリーは、フィルチ先生を避けたり、マルフォイに奇妙ないたずらを仕掛けたり、放課後学校を抜け出すために使っていたことを考えると、そのギャップが面白いですね。
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ダンブルドアが「賢者の石」で「敵に立ち向かっていくのにも大いなる勇気がいる。しかし、味方の友人に立ち向かっていくのにも同じくらい勇気が必要じゃ」と言っていました。これは、最初おどおどしていたネビル・ロングボトムのための適切な助言となりました。ネビルは1度だけでなく、ダンブルドアの称賛に応えることになるのです。
1年目、ネビルは不安な気持ちを捨てて、コソッと抜け出そうとするハリー、ロン、ハーマイオニーを止めようとします。ハリーたちが抜け出すのは、賢者の石を守るためですが、ネビルはそれを知る由もありません。ネビルの勇気により、グリフィンドールは優勝杯を獲得しました。
7年目に話は進み、ネビルはルーナやジニーと一緒にダンブルドア軍団を率い、ホグワーツの戦いでカロー兄妹やヴォルデモート卿に立ち向かいます。さらに、分霊箱である蛇のナギニも殺します。
1作目から最後までのネビルの変化は本当に驚くべきものがあります。しかし、ホグワーツ1年目でのあの勇気を振り絞った瞬間を見ると、彼の心の中にはずっと情熱があったことがわかります。
1作目と最後の作品では2つの魔法の石が描かれ、両方とも非常に異なる方法で、不思議にも人生を変えてしまいます。ハリーのホグワーツ1年目に、ヴォルデモートが賢者の石を手に入れようと画策しました。この石はニコラス・フラメルが作り出したもので、命を引き延ばすことができると言われています。
ハリーは最後の年で蘇りの石を手に入れます。この石は、完全とは言えないまでも、死者の魂を呼び戻すことができると言われています。
ハリー・ポッターの物語では、死が大きなテーマとなっていました。特にヴォルデモート卿は死を逃れることに執着していましたが、どちらの石も手に入れることはできませんでした。ダンブルドアは賢者の石がなぜ破壊されることになったのかについて、「困ったことに、どういうわけか人間は、自らにとって最悪のものを欲しがる癖が有るようじゃ」と言っています。
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「賢者の石」で(あるいはハリー・ポッター本のどれをとっても)最初に遭遇した魔法アイテムのひとつが、アルバス・ダンブルドアの"灯消しライター"でした。小さく便利な道具で、灯りを消すことが出来ます。「死の秘宝」では、ロンが灯消しライターに非常に似たアイテム(あるいはそのもの?)を譲り受けています。よく似た効力があるそのアイテムは、明らかにダンブルドア自身のデザインで、ロンは最初、ずっと灯りを消したり付けたりしながら過ごし、ハーマイオニーを困らせました。
ロンがハリーの分霊箱を探す旅を抜けて初めて、そのアイテムがもっと高度な性能をもっていたことがわかります。放たれた光がロンの胸の中に入り、ハリーとハーマイオニーのところに帰る道を見つけ出すことができました。不思議な力です。なぜダンブルドアがロンにこのアイテムを遺したのか、すぐにはっきりしました。ロンが迷ったときに彼自身を助けるためだったのです。
ハリーもまた、ダンブルドアから贈り物を譲り受けていました。彼がグリフィンドールのシーカーとして獲った最初のスニッチです。それは捕まえたというより"飲み込んだ"と言ったほうが近いかもしれませんが。そこには"私は終わるときに開く"という文字が彫られていました。この物語を通してハリーはその言葉に悩みますが、最後の最後にその意味が分かったのです。
そのスニッチは死の秘宝の一つである"蘇りの石"を含んでいることがわかります。さらに、そのスニッチは"肉の記憶"も含んでいて、そのスニッチに最初に触れた人にのみ反応するのです。しかし、たとえ最強の魔法アイテムの一つを含んでいなかったとしても、ハリーが人生で初めて獲ったスニッチを再び手にしたことはそれだけでも本当に感動的であり、それはまた同時にハリーにとっては複雑な瞬間でした。
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通勤で使うマグルにとって、キングス・クロス駅が(特に月曜日の朝は)とりわけ感傷的に映ることはないかもしれませんが、ハリーにとってはとても大きな意味を持ち、「死の秘宝」で、この駅がありえない方法でハリーのもとに帰ってくるのです。キングス・クロス駅の9と3/4番線は、普通の世界と魔法界の境目にある出入口でした。ハリーは命の終わりが近づいたとき、少なくとも彼自身そう思った時に、そこにたどり着いたのです。
"ハリーが秘密の分霊箱"であることを知らず、ヴォルデモート卿がハリーを殺そうとしたとき、ハリーは子供時代の特別な場所に戻り、キングス・クロス駅風の"地獄の辺土"でダンブルドア先生と再会します。本当の理由は説明されていませんが、小さい頃見つけたこのマグルと魔法界の間にある場所は、彼にとって生と死の狭間という意味で最適な場所であったようです。次にキングス・クロス駅が登場するのは、ハリーがホグワーツに向かう自分の子供たちに手を振る場面です。この駅はハリーの人生の重要な瞬間を示す場所なのです。
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ハリーは「魔法史」を少ししか読んだことがないかもしれませんが、バチルダ・バグショットが書いたこの古い教科書は、ハリーが触れた最初の魔法の本の一つでした。
「死の秘宝」で、ハリーはゴドリックの谷に戻り、この著名な作家と実際に会います。といっても、"会った"と呼べるようなものではないかもしれませんが。バチルダはハリーの両親の隣人であり、友人でもありました。ハリーはハーマイオニーとともに分霊箱を追い求める絶望的な旅の間に、バチルダに会いに行きますが、それは悪夢に終わります。
ヴォルデモートの恐ろしい蛇ナギニがすでにバチルダを襲い、彼女になりすまし、ハリーを誘惑しようとします。これは、ハリー・ポッター本の中で、最も恐ろしいシーンのひとつであり、ハリーがホグワーツで初めて使った教科書の著者に起こるとは想像しがたかった出来事でした。
ダンブルドアとハリーが最初に近づいた瞬間のひとつは、ハリーが "みぞの鏡"に夢中になっていると知ったときでした。この鏡は強い願望を映し出し、それがハリーにとっては、元気に生きている両親の姿を見ることだったのです。
ダンブルドアはハリーに、自分は靴下を見たと言い、「靴下はいくつあっても良いものじゃ」と話しました。しかし二人がキングス・クロス駅の"地獄の辺土"で交わした会話の中で、ついに私たちは、かつてダンブルドアの家族に起こった悲劇と、彼が若いときに母親と妹をどのようにして失ったのかを知ることになりました。
「賢者の石」で、ハリーはダンブルドアが鏡の中に見えたことについて本当のことを言っていないのではないかと疑います。想像の靴下も良さそうですが、ダンブルドアの過去の悲しい真実を知ったあとなら、彼が自分の家族の姿を見たのではないかと疑っても仕方ありませんね。
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CREDIT: COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
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