神聖な学び舎であるホグワーツ魔法魔術学校に入学することは、多くの人にとっての夢です。羊皮紙の封筒が届き、ダイアゴン横丁で学校に必要なものをそろえ、ホグワーツ特急のなかでかぼちゃパイにかぶりつき、ようやくホグワーツに到着するのです。そこは歴史やゴースト、魔法にあふれた場所です。もしかすると三頭犬に食べられてしまうかもしれません。なんてね、冗談です。ハリーたちが三頭犬に食べられそうになったのは、あの一回だけなのでご安心を!
そういうわけで、わたしたちはあり得ないと分かっていても、毎年9月になると、今年こそはホグワーツからの手紙が届くのではないかと期待してしまいますよね。しかし、ハリーと仲間たちのように、授業以外で楽しい時間がたくさんあったとしても、ホグワーツは学校だということを心に留めておくことは大切です。学校には、授業や試験があり、先生がいて、数々の規則が生徒たちを守っています。生徒たちがうっかりサメに変身したり、ケンタウロスに失礼な態度を取ったり、巨大蜘蛛を怒らせたり、爆発を起こしたりしないために校則があるのです。
しかし、なかには、守れなさそうな規則もたくさんあります。
ホグワーツの先生のほとんどがひんぱんにこの規則を破り、生徒を連れて、またはひとりで禁じられた森に入っているという事実はさておき、わたしたちも暗い魔法に満ちた森の魅力に抗うことはできないでしょう。そこには、恐ろしい巨大蜘蛛や、人間に反感を持ったケンタウロスだけでなく、ユニコーンなどの心優しい魔法生物やハグリッドの異父兄弟が住んでいます。想像してみてください。学校の敷地内に謎に包まれた森があったら、好奇心旺盛なわたしたちはそこを探検せずにはいられませんよね。
「一年生には注意しておくが、構内にある森に入ってはいけません。これは上級生にも、二案に下の生徒たちに特に注意しておきます」
ダンブルドアはキラキラッとした目で双子のウィーズリー兄弟を見た。
『ハリー・ポッターと賢者の石』
カンニングはもちろん、マグルの学校でも、ホグワーツでも禁止されています。ですが、いけないと分かっていても......"自動解答羽根ペン"を使えばどのくらいはやく宿題を終わらせられるか確かめるためだけに二、三本買ってしまいそうです。ジョークと悪戯の魔法道具の専門店「ゾンコ」が、生徒たちを誘うようにホグワーツの近くに建っています。ところでホグワーツの生徒たちはインターネットを使わずに、どうやって重要な情報の数々を手に入れていたのか不思議ですよね。全校生徒が同時に図書館を使うことはできません。だとしたら、"自動解答羽根ペン"を使うことは、本当にいけないことなのでしょうか?この羽根ペンは、簡単に言えばマグルの世界でいうGoogleですよね。
もし、魔法を使って、友達にいたずらができないのであれば、もはや魔法の杖の使い方を学ぶ意味はありません。教室の中でしか魔法を使ってはいけないという制限は、魔法を使いたい生徒たちにとって残酷とも言えます。それに、ホグワーツの生徒たちは、呪文を実際に何度も使うことで、授業で学んだことを最大限に活かすことができるのだと思います。例えば、廊下で目の前にあるものを片付けるために「ウィンガーディアム・レビオーサ、浮遊せよ」を使うとか。そうすれば、授業に遅刻することはなくなるでしょう。わたしたちは、ただ純粋に授業に行こうとしてるだけなんですよ!
「やれよ、ポッター」
マルフォイも杖を引っ張り出しながら、落ち着き払った声で言った。
「今度は、かばってくれるムーディーもいないぞ―やれるものならやってみろ―」
一瞬、二人の目に火花が散った。それからまったく同時に、二人が動いた。
「ファーナンキュラス!鼻呪い!」ハリーが叫んだ。
「デンソージオ!歯呪い!」マルフォイも叫んだ。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
ホグワーツは興奮と可能性にあふれた場所のはずです。なので、ホグワーツの生徒が平均的なイギリスの学生よりも自由に過ごせる時間が少ないのは、ものすごく理不尽なことのように思えます。(多くのイギリスの学生は、夜中の三時頃、目が疲れて取れそうになるまでテレビドラマや映画をみています)10代の若者の睡眠時間が不規則なことはだれもが知っています。朝まで起きていたかと思えば、夕方近くまで昼寝をしていることもよくあります―それに、グリフィンドールの談話室は快適で居心地が良く、ふかふかの絨毯や炎が勢いよく燃える暖炉を知ってしまうと、自分の部屋のベッドに寝ているのがもったいないような気がしてきます。ハリーの学生時代にグリフィンドールの談話室で開かれていたパーティを思い返してみると、当時のグリフィンドール生も同じようなことを考えていたようです。先生が見回りにきても「マフリアート、耳ふさぎ」を使って、パジャマパーティーを続行させましょう。
ホグワーツでの体育の授業は、クィディッチ以外のスポーツは制限されている傾向があります。たとえあなたがハリーのように「選ばれし者」で、どんなにほうきを乗りこなしても、きっと最高の有酸素運動にはならないでしょう。なので、生徒たちがトレーニングをしたり、甘ったるいタルトを食べたカロリーを消費したりするために、黒い湖に入りたいと思うのは当然でしょう。校則で禁止されていることには理由があるのは分かっていますが、黒い湖に棲む魔法生物が人間に友好的ではないという証拠はどこにもありません。大イカはデニス・クリービーを助けてくれました。三大魔法学校対抗試合で、ハリーを攻撃したグリンデロー(水魔)は、きっと遊びたかっただけです。そして、マーピープル(水中人)はいつも湖の底にいるので安心です。絶対とは言えませんが。
六月が近づき、空は雲一つなく、蒸し暑い日が続いた。誰もが何もする気になれず、ただ校庭をぶらぶらしては芝生にべったりと腰を下ろし、冷たい魔女かぼちゃジュースをたっぷり飲むとか、ゴブストーンのゲームに他愛なく興ずるとか、湖上を眠たそうに泳ぐ大イカを眺めるとかして過ごしたいと思った。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
冗談言わないでください、マダム・ピンス。あなたが、図書館の閲覧禁止の棚に生徒を立ち入らせないことで、生徒たちが魔法について学ぶ機会を半減してしまっているのですよ。ホグワーツ生の全員がこっそりポリジュース薬を作る方法を調べたり、分霊箱に関する情報を集めたりしているわけではありません。純粋に閲覧禁止の棚にある本に興味を持っている生徒もいるはずです。例えば、叫び声をあげ続ける本とか......。そんな本を読むことは最大のチャレンジではないでしょうか。
CREDIT:COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
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