「ハリー・ポッター」シリーズについて大人になってから気付くこと

大人のやるべきことを子どもにさせてはいけない。
それとも、させるべき?


『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

幼いころ楽しく読んでいた物語も、少し大人になって、物語がもっと分かるようになってから読むと、違う印象を受けますよね。今回の記事で紹介するのは、「ハリー・ポッター」シリーズのなかで、眉間にしわが寄ってしまうようなエピソードです。

ダンブルドアは意外と無責任だった

ハリーがヴォルデモートを倒せるように、ダンブルドアが準備をしてくれていましたよね。ダンブルドアはハリーの友達にも、父親代わりにもなるつもりはありませんでした(もちろん最終的には、ハリーの友達であり、父親のような存在でしたが)。しかしいざという時には、ダンブルドアは、生徒を監督する先生のひとりにすぎませんでした。試練を与え、成長する手助けをする時もあれば、ハリーの命を何度も危険にさらしました。教育委員会は何してたんですかね!

きみは向かってきた挑戦を、見事に受けて立った。しかも、あんなに早く----わしが予想していたよりずっと早い時期に、きみはヴォルデモートと真正面から対決した。きみは再び生き残った。そればかりではない。きみは、あやつが復活して全能力を持つのを遅らせたのじゃ。きみは立派な男として戦った。わしは......誇らしかった。口では言えないほど、きみが誇らしかった。
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」

11歳に魔法界は救えない

わたしたちは子どものころ、ホグワーツからの入学許可証が届くのを楽しみにしていました。その頃は、たった3人の子供たちが、邪悪な闇の魔法使い達から「賢者の石」を守る、と聞いても不思議には思いませんでした。しかし、たしかに3人はわずか11歳、または12歳だったのです。だれか、ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人に『マッドなマグル、マーチン・ミグズの冒険』のマンガ本を買ってきて、優しく寝かしつけてあげてください。そして、魔法界を救うことまで心配しなくていいんだよ、と言ってあげましょう。


『ハリー・ポッターと賢者の石』

マクゴナガル先生は驚きと疑いの入り混じった目をハリーに向けていたが、しばらくして、やっと口を開いた。
「ダンブルドア先生は、明日お帰りになります。あなたがたがどうしてあの『石』のことを知ったのかわかりませんが、安心なさい。磐石の守りですから、誰も盗むことはできません」
「でも先生......」
「ハリー・ポッターと賢者の石」

12歳にも魔法界は救えない

またまた、ハリーと親友たちは、彼らよりずっと年上で能力のある魔法使いでも突き止めることのできない謎を明かし、ヴォルデモートの策略を阻止しました。わたしたち読者は、ハリーが再びヴォルデモートと対峙する場面にワクワクしましたが(今回は、学生の頃の若きトム・リドルの姿でした)、これだけは言わせてください。先生たちはこのあいだ一体何をしてたんですか!?他でもない、クィレルとロックハートが「闇の魔術に対する防衛術」を教えていたなんて!


© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.

13歳にも......

や、これ以上言う必要ないですね。

なぜ賢者の石がホグワーツにあったのか?

賢者の石を保管するのに、ホグワーツが一番安全だった、ということは知っています。グリンゴッツ銀行から盗まれる前に、ホグワーツに移したのは賢いアイデアに思えました。しかしよく考えてみると、誰もが欲しがるような、そして、明らかに必死になってその在りかを探している人がいるような魔法アイテムを、子どもたちであふれかえっている場所に移すのは、少し変だと思いませんか。最善のアイデアとは言えませんよね?

ロンは、モリー・ウィーズリーの「吼えメール」を受け取って当然

「ハリー・ポッター」シリーズのなかで、子どもたちの成長を最もほのめかしている描写は、大人たちの意見に同意する場面です。ロンとハリーが、ウィーズリー家の空飛ぶフォード・アングリアでホグワーツまでいったあと、モリーから吼えメールが届きました。怒られて当然ですよね。ハリーたちにとっては楽しい旅だったでしょうが、12歳の少年たちは、なぜ車で空を飛んでスコットランドまで行けると思ったのでしょう?そのせいで置き去りにされたモリーとアーサーは、家に帰る術がありませんでした。ロンとハリーの大胆なエピソードの数々を考えても、これが一番突拍子もない行動だったと思います。


© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.

ハグリッドはハリーを誘拐した?

ハリーは、ダーズリー家から、彼らの許可なく連れて行かれました。ハグリッドとハリーの関係を知ったあとならその行動は納得ですが、同時に誘拐と捉えられてもおかしくありません。なぜならハグリッドは、後見人がはっきりと禁止している場所に、ハリーを連れて行ったのですから。このことを心に留めておくと、許可証にサインをもらえなかったハリーがホグズミードに行けなかったのは不思議ですよね。なぜなら、ハリーは後見人の許可なんて一切もらわずにホグワーツに入学したんですから!

ハグリッド ―危険な生き物たちの隠れ家―

ハグリッドと言えば、全ての生徒や動物に対する彼の優しさには素晴らしいものがあります。しかし、生徒と動物というふたつの要素が揃ったとき、ハグリッドには盲点とも言える部分があります。まず、大切にしているヒッポグリフのバックビークが、ドラコ・マルフォイにばかにされ、彼をかぎ爪でひどく切りつけてしまったことがありました。それから、尻尾爆発スクリュート。「殻をむかれた奇形の伊勢エビのような姿」で、腐った魚のような臭いがして、火花を放つことができる動物です。ディーン・トーマスは、ハグリッドに頼まれてえさをやろうとして、ひどい火傷を負いました。確かにドラコは、バックビークをばかにしましたが、簡単に怒る魔法動物を大勢の生徒の前に連れてきたハグリッドはどうでしょうか。


© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.

「ああ。針を持ったやつもいる」ハグリッドの言葉に熱がこもった(ラベンダーはさっと箱から手を引っ込めた)。「たぶん、雄だな......雌は腹ンとこに吸盤のようなものがある......血を吸うためじゃねえかと思う」
「おやおや。なぜ僕たちがこいつらを生かしておこうとしているのか、これで僕にはよくわかったよ」マルフォイが皮肉たっぷりに言った。「火傷させて、刺して、噛みつく。これが一度にできるペットだもの、誰だってほしがるだろ?」
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」

大切なペットを殺そうとしたスネイプ

何かを主張するために、他人のペットのヒキガエルに毒を飲ませるなんておかしいですよ、スネイプ!ネビルが魔法薬学に苦戦していると、担当していたスネイプが授業の最後に、トレバーに薬をのませるよう脅しました。もし、ハーマイオニーが手を貸して、ネビルの薬がきちんと作られていなかったら、すぐに逃げ出す隠れ上手なヒキガエルの命はなかったでしょう。スネイプは何を考えていたのでしょう?ヒキガエル全般に恨みでもあるのでしょうか、それとも、トレバーは両生類特有の方法で、スネイプを怒らせてしまったのでしょうか。授業で動物がひどい扱いをうけていた場面と言えば、マッド-アイ・ムーディが「許されざる呪文」をクモにかけて見せたことがありました。しかし、凶悪な死喰い人のひとりが変身した姿だったということが後でわかったのでした......。

ほら、これで分かりましたね。ホグワーツや魔法界、もちろん、マグルの世界には無責任な大人がたくさんいました。そういう大人たちは、いつもわたしたちのヒーローに無理難題をおしつけてきました。でも、正直に言って、大人になってこの物語を読みなおしてみても、このシナリオしか考えられないんですよね。

CREDIT:COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
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