2011年3月11日、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震とそれに伴う大津波は、東日本一帯に甚大な被害をもたらした。そして、それは人類がかつて経験したことのない危機の始まりでもあった。
リアリティを追求し、安易な英雄譚や美談に仕立てることを避け、日本政府、電力会社、現場で事故に対峙した人々の3つの視点が交錯する物語を臨場感あふれる映像で描くによる重層的なドラマによって驚くべき真実をあぶり出していく全8話のドラマ・シリーズ。
異なる3つの視点が交錯するストーリーは、世界中が固唾をのんだ大事故のもうひとつの真実を伝えてくる。国家の命運をも左右する危機の裏側で、マニュアルに頼れない緊急対応と重大な決断を迫られた政府、会社組織は、どのように動いたのか。政府や本店からの錯綜する指示に翻弄され、タイムリミットにも追われた最前線の現場は、原子炉の暴走を阻止するためにいかに死力を尽くしたのか。ドラマ・シリーズならではのメリットを生かした濃密な人間模様には、忖度や誇張を排除した強靱なリアリズムが息づき、いまを生きるすべてのものに幾多の問いを投げかける。
2011年3月11日、日本の首都・東京から225キロにある福島第一原発を高さ15メートルの大津波が襲った。波に飲まれた4基の原子炉は冷却機能を失い、暴走を始める。
事故の詳細を知りたがる日本政府。政府からの問い合わせに対し、福島第一原発の回答は「何もわかりません」の一言だった。現場が何か隠しているのではないかと訝しがる政府。政府は会見で「あわてることなく自宅で待機するように」と国民に伝える。
冷却機能を失った原子炉では核燃料が溶け始め、原子炉格納容器の圧力が上昇を続ける。このままでは格納容器が破裂すると判断した東電は、内部のガスを大気中に放出するという手段を選択する。
全電源を失った状況では、遠隔スイッチで格納容器内のガスを放出することはできないため、人間の手で行うこととなる。運転員の何人かが後ろめたさを抱えながらも「この場から避難したい」と言い出す。
温度上昇を続ける核燃料を冷却するため、福島第一原発の所長は原子炉への海水の注入を決断する。しかし、東電本店からの返答は「政府のメンツを潰すわけにいかない。許可が出るまで待て」というものだった。
必死の作業の末、格納容器の圧力がわずかだが下がったという報告が入る。東電本店からは「今がチャンスだ」とさらに作業を急ぐように指示が下るが、所長は「もう少し様子を見たい」と断るのだった。
2度の爆発で原発所員たちの士気は下がり、作業は停滞する。政府や東電本店は冷却作業の遅れにいら立ち、現場の所員たちに罵声を浴びせる。一方で格納容器の圧力は上がり続ける。所長は東電本店に所員の撤退を申し入れる。
首相は旧知の科学者に助言を求める。日本の3分の1に及ぶ国土が汚染され、東京、神奈川、千葉など日本の主要都市に数十年にわたり人が住めなくなるという絶望的なシミュレーションが首相に伝えられる。
出演:役所広司
竹野内 豊 小日向文世 小林 薫
音尾琢真 光石 研 遠藤憲一 石田ゆり子
泉澤祐希 丸山智己 鈴鹿央士 淵上泰史 小木茂光 高橋和也 六平直政 酒向 芳 でんでん 吹越 満
企画・脚本・プロデュース:増本 淳
監督:西浦正記 中田秀夫
原案:門田隆将「死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)
エグゼクティブ・プロデューサー:高橋雅美
プロデューサー:関口大輔 増子知希 髙田良平
製作:ワーナー・ブラザース映画
制作:リオネス