スティーヴン・キングが得意とする多元的世界を描いたサイコホラー「キャッスル・ロック」。メイン州のとある町を舞台にこの世の光と闇を描き出す超大作は、キングの人気作品でおなじみのキャラクターも登場する、まさに神話的スケールのオリジナル・ストーリーだ。シーズン2では、スティーヴン・キングの小説「ミザリー」のアニーが、キャッスルロックに現れる。誕生400周年を控えた町では、ソマリアからの移民と地元住民の軋轢が激しさを増していた。
アニー・ウィルクスは、看護師になりすまして病院の薬剤保管室から薬を盗み、娘のジョイを連れて別の州へ移る生活を送っていた。何かから逃げるように各地を転々とする2人だったが、キャッスルロックの手前で事故を起こし、車を修理する間、エルサレムズ・ロットに滞在せざるをえなくなる。アニーは病院に看護師として入り込み薬を盗むチャンスを狙うが、薬剤保管庫には常に鍵がかけられ、特定のスタッフしか入れない。その頃、町ではソマリアからの移民と地元住民の対立が激しさを増して一触即発の状態にあった。その中心が、町の実力者ポップの甥のエールとポップの養子でソマリア人のアブディだった。
ソマリ・コミュニティ&ビジネスセンターの建設予定地でアニーは足を滑らせて地下に落ちてしまう。しかし水音を頼りに地下道を進んでいくと地上へつながる階段が見つかる。エルサレムズ・ロットが危険な町だと感じたアニーはジョイに荷物をまとめるよう言うが、生まれて初めて友達のできたジョイは拒否する。一方、エースがアブディとナディアの家に火炎瓶を投げたらしいと聞き、ポップはエースに連絡しようとする。しかし、まったく連絡がつかず、誰も居場所を知らないと言う。エースの犬が一目散にアニーの家に走っていくのを見たポップは、ケガをしたジョイの付き添いで病院にいたアニーを問い詰める。
アニーの言葉にアブディがエースを殺したのだと思い込んだポップ。アブディを椅子に縛り付け、犬をけしかけてエースの居場所を聞き出そうとするが、その最中に意識を失って倒れてしまう。アブディはどうにか逃げ出すものの、ナディアのことを考えてポップを病院へ運ぶ。エースの幻を見たアンは、建設現場へ戻るが、彼女が落ちた穴はコンクリートで埋められていた。エースが行方不明だと聞いたチャンスが、エースの死体を探しに行こうと、ジョイを誘う。荷物をまとめるようアンに言われていたジョイだったが、友達の誘いを断れず、キャッスルレイクへ出かける。
1993年のソマリア。アブディとナディアの母は、二人をつれてアメリカへ渡ろうとしていた。しかし、ナディアの目の前で米兵に射殺されてしまう。一方、2019年のエルサレムズ・ロットでは、母に腕を切られショックのあまり家を飛び出したジョイが、バス停でトラックに乗ったエースに話しかけられる。そこへ到着したバスに飛び乗ったジョイは、病院で再会したナディアに自分をあなたの家に置いてほしいと頼む。チャンスはジョイの家に忍び込み、鍵の掛けられたアニーの箱を持ち出す。ポップはアブディとナディアを引き取った本当の理由をナディアに話すべきかを悩み、教会の牧師に相談に行く。
幼い頃のアニー・ウィルクスは上手に文字を読むことができず、そのために学校で暴力をふるうこともしばしばだった。小学校の教師はアニーを病院に連れていくよう勧めるが、両親はそれを拒否、学校をやめさせて自宅で勉強を教え始める。小説家志望の父親は、自分の小説をアニーに読ませ、パソコン入力を手伝わせる。しかし、なかなか読み書きは上達せず、両親は専門家のリタを家庭教師につけることに。リタと気の合ったアニーはみるみる間に文字が読めるようになるものの、ある日父親が家を出てしまう。やがて母親の希望どおり高卒認定試験に合格し喜ぶアニーに悲劇が起こる。
アニーが殺したはずのリタは、実は生きていた。アルコールと薬物の依存症で苦しんでいたが、必死に立ち直ろうとしていたのだ。そんなある日、「『貪欲な天使』という小説を知っていますか?」という突然の電話を受けたリタは、発信者情報を元に、ニューヨークからキャッスルロックへやって来る。発信者として登録されていたチャンスを探し出し、16歳の少女の写真を見せるリタ。リタの姿に気づいたアニーはカギをかけた箱を捜すが見つからない。その後ナディアの仲介で児童養護施設に預けられていたジョイに会いに行く。しかし、受付係に「ジョイは母親と面会中です」と告げられる。
1619年、エルサレムズ・ロットはニューエルサレムと呼ばれていた。フランスからの入植者たちが住んでいたが、土地はやせていて収穫はなく人々は苦しんでいた。村の長老の娘アミティは人々をこの土地へ連れてきた父たちに謝罪を求めるが、アミティの父親は牧師とアミティが姦通していたことを知り、ふたりを村から追放する。しかし森で天使に会ったアミティは村へ戻り、奇跡を起こす。人々はアミティにひざまずき、アミティに従うようになる。400年後のキャッスルロックでは、400周年記念パレードの準備が進んでいた。そんな中、ポップがショーシャンク刑務所を訪れる。
警察に逮捕されたアニーとジョイだったが、エースの仲間である警官に連れられて、マーステン館にやってくる。アニーが地下に落ちた後、水の音を頼りに行きついた場所だったが、その時とは見違えるほど様変わりしているのを見て彼女は驚き、人が変わったようなエースにジョイも戸惑う。キャッスルロックの町では、天使像を先頭に、パレードが続けられていた。教会前に集まった人々はもちろん、町中の人々が無言のままどこかへ向かっていく。一方、エースに医者を連れてこいと指示されたクリスは、ナディアの家へ。背後から近づいて首を絞めようとしたものの、逆にやられてしまう。
ショーシャンク刑務所の元所長レイシーの妻の記憶から、レイシーがパングボーンに手紙を書いていたこと、パングボーンの死後は、雑貨店をしているポップが手紙を買い取ったことがわかる。病院を出たポップとナディアにチャンスが合流、さらにアブディも加わって、ポップの店にたてこもる。レイシーの手紙を目当てにエースの姿を借りたオーギュスタンが仲間を引き連れて押し寄せる。ポップは店の出入り口に爆弾をしかけるようナディアたちに指示。そこへアニーが看護師のエヴリンとジャマールを連れて現れる。3人が味方かどうかわからないポップは軍隊式の尋問を行う。
エースに撃たれて死んだポップは、エティエンヌという人物になって復活。レイシーの手紙の内容を知りたがっていたエースに、ポップはスキスマという天使の音やキャッスルレイクが別の次元への扉になっていることなどを語る。アブディとナディアは地下道に爆弾を仕掛け、アニーとチャンスはジョイを連れ戻すためにマーステン館へ侵入しようとする。しかしチャンスが捕まってしまうのを見たアニーは、ジョイを助けるためにマーステン館に乗り込んでいき、アブディとナディアが地下を爆破しようとしていることを話してしまう。エースは仲間を地下道へ送り込み、アブディたちを殺すよう命じる。