コミコン2018に集結した「ファンタスティック・ビースト」のキャストたちImage Warner Bros.
ハリー・ポッター役を演じる無名のイギリス人俳優を探していたときから15年近く過ぎ、製作のデイビッド・ヘイマンは、新たにもうひとり、有名な魔法使い――ニュート・スキャマンダー――を演じる俳優を探さねばなりませんでした。しかし、今回は候補がすぐに見つかり、完全に無名の俳優でもありませんでした。へイマンは、「デイリー・テレグラフ」の記事でこんなふうに語っています。「最初から、エディ・レッドメインしか考えていなかった。エディは、ニュートを演じる素質を全て持っているんだ。頭の回転が早く、面白くて、完璧なイギリス英語で、とても思いやりがあって――人間より魔法動物といるほうが落ち着く、というはみ出し者な部分さえ備わっていると思ったんだ」
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』よりパリのポストカードを見るニュート・スキャマンダーImage: Warner Bros.
もちろん、レッドメインは、ニュート以外の役でも有名です。2014年の伝記映画『博士と彼女のセオリー』では、今は亡き物理学者のスティーヴン・ホーキングを演じてアカデミー賞を受賞しています。ホーキング博士を演じてから2年後、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の主役に抜擢され、再び注目されました。この作品でエディは、新しい世代の才能あふれる俳優たち(キャサリン・ウォーターストン、アリソン・スドル、ダン・フォグラー、そしてエズラ・ミラー)を率いて魔法界の新たな時代(といっても1920年代ですが)の物語をつむいでいきます。
ニュート役のエディは、ハリー・ポッターとは違うタイプのヒーローを演じています。まず一つ目に、大人だということです。それは、映画の落ち着いた雰囲気にも反映されています。二つ目に、エディが演じるニュートには、不器用さや内気で控えめなところが、ほんの少しだけ多く表現されています。製作のデイビッド・ヘイマンが言っていたように、ニュートは、「人間より魔法動物といるほうが落ち着く」という性格の人物でした。公開が近づいてきている『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』では、舞台がニューヨークからパリに移り、ニュートは1作目よりもさらに壮大な物語の中心となっていきます。アルバス・ダンブルドアから、グリンデルバルドを止められるのは君だけだ、と言われている場面からも伝わってきますね。
キャサリン・ウォーターストンは、数々の作品に脇役として出演してきましたが、2014年、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『インヒアレント・ヴァイス』に出演して大きな飛躍を遂げました。さらに、2015年には、ダニー・ボイル監督の伝記映画『スティーブ・ジョブズ』で、ジョブズの妻、クリスアン・ブレナン役として出演し注目されました。
その1年後、キャサリンはティナ・ゴールドスタイン役に抜擢されました。元闇払いで、別の仕事に降格させられているティナは、初めはニュートを逮捕しようとしますが、次第に惹かれあっていきます。ティナについて、キャサリンは、雑誌「SFX」でこう語っています。「わたしのなかの子どもっぽい部分を呼び覚ますところから始めました......遊び心をすっかり忘れてしまっている自分にびっくりしました」
以来『エイリアン:コヴェナント』や『ローガン・ラッキー』のような人気作品に出演し、どの役でも、はかなさと力強さを兼ね備えた魅力を発揮しています。
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
一方、アリソン・スドルは、女優業を始める前、シンガーソングライター「ファイン・フレンジー」として活動していました。2007年から2013年の間に、アルバムを3枚、ライブ・アルバムを1枚リリースしています。女優として初めての主要な役は、数々の賞を受賞したAmazonオリジナルドラマ『トランスペアレント』で演じたカヤ役でした。その後、テレビシリーズ『DIG/聖都の謎』でエマ役に選ばれます。しかし、ティナの妹で開心術士、そしてダン・フォグラー演じるジェイコブ・コワルスキーと恋に落ちるクイニーの役は、アリソンがずっと待ち望んでいたものでした。
「今でも夢を見ているみたい」アリソンは「インデペンデント紙」でこう語っています。「ハリー・ポッターシリーズは全て読んでいて、そのうちの何冊かは、ツアー中にも読んだのよ。逃避できる世界があることはとってもすてきなことなの。だって、ツアー中は、街から街へ常に移動していて、自分がいまどこにいるのか分からなくなるの。そんなとき、夜に部屋へ戻って本を開くとマジカルな世界に連れて行ってくれる。これって、すごく素敵なことじゃない。」
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
ダン・フォグラーは、「ファンタスティック・ビースト」シリーズへの出演が決まる前、俳優以外にプロデューサー、声優、ミュージシャン、コミック作家、コメディアンとしても活躍しています。これまでのキャリアの中で一番大きな役となる、ノー・マジのジェイコブ・コワルスキー役のオーディションに合格するかどうかは「大きな賭け」だと思ったそうです。ダンが合格を知ったのは、サンディエゴで開催された「コミコン2015」で自分のコミックを売っているときでした。
「ただただ、信じられなかった」ポッターモアのインタビューでこう話してくれました。「あまりにも衝撃的で、それ以前の出来事が全てなかったんじゃないかと感じたよ。」そして1年後、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の共演者たちとサンディエゴのコミコンに戻ってきたのでした。それがダンにとって初となる有名なホールHでのイベントでした。「もし、ハリー・ポッターの世界に呼ばれたら、ためらっちゃだめだ。もし、その世界の一員になる機会が訪れたら、ただ飛び込む。そして、できるだけ長くその世界に居続けるんだ」
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
コリン・ファレルは、『マイノリティ・リポート』、『フォーン・ブース』、『S.W.A.T.』、それから2008年に公開されたマーティン・マクドナー監督のブラック・コメディ『ヒットマンズ・レクイエム』など、多くの作品に出演しています。ファレルの演じる、悪役は高く評価されてきました。アメリカ合衆国魔法議会(MACUSA)の長官を務める謎多き闇払い、パーシバル・グレイブス役にぴったりの俳優です。厳しい一面があり、オブスキュラスを探し出すという秘密のミッションで、本当の姿を露わにします――グレイブスは、変身したグリンデルバルドだったのです。
ファレルほどの一流の俳優が、悪役の変身中の姿を演じていたなんて、だれが想像できたでしょうか? グレイブスについて言えば、映画のなかでは敵でしたが、ファレルは擁護しています。2016年に雑誌「SFX」のなかでこう語っています。「グレイブスが悪役だって?ひどいな。偏見だよ。グレイブスは、いいやつだよ。一緒に飲みに行きたくなるような人物なんだ」
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
これまでファンタジー作品に多く出演してきたジョニー・デップもまた、魔法ワールドのキャラクターとして適任でした。そして、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の最後で、ゲラート・グリンデルバルドは、ずっと、コリン・ファレル演じるグレイブスに姿を変えていたということが明らかになり、わたしたちは衝撃を受けました。
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
もちろん、ジョニー・デップはこれまでも、風変わりな人物を演じてきました――ジョニー・デップが演じる奇妙な人物に、わたしたちは心奪われました。ゴシック・ファンタジーを世間に広めたティム・バートン監督の作品には、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』や、『チャーリーとチョコレート工場』をはじめ、数多く出演しており、その演技が高く評価されています。『シザー・ハンズ』では、周囲から孤立した主人公を演じて、観客の心をつかみました。この風変わりなおとぎ話は、すぐにカルト的人気になりました。
しかし、最も有名なのは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのキャプテン・ジャック・スパロウ役です。ジャック・スパロウが、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズ――しっかり太くひいたアイラインと、溢れ出るカリスマ性――から発想を得ていることは有名です。この役でジョニーは新たなファンを獲得し、ジョニーは『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』で、初めてアカデミー賞にノミネートされました。
ジョニー・デップ演じるグリンデルバルドは『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』で観客を魅了するでしょう。今作では、地位を確立していくグリンデルバルドに焦点をあてて描かれています。
今年の7月に行われた「コミコン2018」では、予告せずにグリンデルバルドの姿で登場し、シャイクスピアのようなモノローグを行ってファンを驚かせました。様々な役を演じてきたジョニーが、グリンデルバルドをどう演じてくれるのか、誰も予想できません......。
厳密に言えば、ゾーイ・クラヴィッツは、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にすでにリタ・レストレンジとして登場しています。ニュートのトランクのなかに、彼女の写真が飾られているからです。しかし、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』で、わたしたちはついに、謎の多いリタに会うことができます。
ゾーイは、楽曲リリースをはじめとする趣味の域を超えた音楽活動に加え、ヤングアダルトの小説が原作となっている「ダイバージェント」シリーズや、2015年に公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をはじめとした、数々のテレビドラマや映画に出演しています。最近の作品では、HBOのドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』などがあります。
「ファンタスティック・ビースト」シリーズの最新作にリタ・レストレンジが登場することについて、ゾーイはテレビ番組の「エンターテイメント・トゥナイト」で次のように語っています。「1作目よりもたくさん、わたし(リタ・ストレンジ)をスクリーンで観てもらえるわ!レストレンジ家のキャラクターを演じるのは、おもしろいわ。ほら、登場人物を魅力的で、深みのある人物にみせたいと思うでしょ。リタは、本当に複雑な過去を背負っていて、ずっと誤解されてきたの」
「ものすごい作品になるわ。ストーリーも魔法も本当に素晴らしいのよ」
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
誰からも愛されるホグワーツの校長、アルバス・ダンブルドアは、すでにリチャード・ハリスやマイケル・ガンボンによって演じられ、わたしたちの記憶にしっかりと残っています。そのため若かりし頃、長いひげを生やしていないダンブルドアの姿は、なかなか想像できません。若々しく、人を惹きつける強い個性を持ち、ちゃかした笑顔が魅力的なジュード・ロウは、複雑なキャラクターであるダンブルドアを演じるのにぴったりの俳優です。
ジュード・ロウは、1990年代に俳優としての力をつけていきました。当時、『リプリー』に出演した際、地中海を放浪しているディッキー・グリーンリーフ役を演じて注目され、英国アカデミー賞の助演男優賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされました。それ以降、ジュード・ロウは、スティーヴン・スピルバーグ監督作『A.I.』のジゴロ・ジョー役、『コールド マウンテン』のインマン役のような、魅力的で深みのある人物を数多く演じています。最近では、俳優なら誰でも憧れる役、ハムレットをブロードウェイで演じて大絶賛されました。
複雑な人物を演じるのが得意なロウのおかげで、ダンブルドア特有の目の輝きは、完璧にジュード・ロウが再現しています。
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
すでに「ハリー・ポッター魔法ワールド」の大ファンである俳優が、キャストとして仲間に加わった時、魔法がひとつ深みを増します。これは、エズラ・ミラーを語るうえで欠かせない要素です。エズラ・ミラーは、『少年は残酷な弓を射る』で広く注目を集め、最新の作品ではDCユニバースにフラッシュ役で仲間入りしています。
問題を抱えた人物、クリーデンス役で「ファンタスティック・ビースト」シリーズに参加してからというもの、エズラ・ミラーは「ハリー・ポッター」を読んで育った、と熱く話してくれています。確かに、エズラは、ハリー・ポッター世代です。彼らはミレニアル世代に生まれ、ハリーと同年代でともに成長してきた世代でした。
「オーディオブックを100回くらい、いや、少なく数えても100回は聞いたよ」エズラはポッターモアのインタビューでこう語ってくれました。「本を読んでは泣いて、オーディオブックを聞いては泣いて、映画を観てさらに泣いたよ。それでも、オーディオブックを聞き続けたんだ。17歳のときに、ハリー・ポッターは最終巻を迎えたんだけど、それまで、何度も繰り返し聞いてきた」
そんなエズラがいま、魔法ワールドの一員となって、この世界に没頭している。最高に幸せですよね。
© JKR/Pottermore Ltd. ™ Warner Bros.
CREDIT: COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』2018年11月23日(金・祝)全国ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/