1月が新しい始まりを知らせてくれたとき

年は、新たなことの始まり――よく聞く決まり文句ですね。しかし1月というのは実際に、魔法界の一部の登場人物たちにとっても、その後の人生を大きく変えてしまうような新たな可能性の扉を開いた月でもありました。しかし、この月に起こったすべての出来事が人生を変えるようなものであったかと聞かれると答えは「ノー」なのですが...。すべてが思い通りにいくわけではありませんから。

今回は、1月に魔法界で起こった大事な出来事をリストアップしてみたいと思います...。

ハリーがトム・リドルの日記を見つけたとき

正直なところ、ハリーがトム・リドルの日記を発見した時期は、はっきりとは分かっていません。しかし、ジニーが嘆きのマートルのトイレに日記を投げ込んだのは、クリスマス後からバレンタイン前のどこかであったことは確かなので、おそらく1月に起こった出来事と考えてよいでしょう。

具体的な日程はさておき、例の日記を見つけたのが他でもないハリーであり、かつ彼がそれを取っておこうと考えたことは、間違いなく非常に重要な出来事でした。というのも、この日記こそが、ハリーが初めて本当の意味でヴォルデモートとの関わりを持つきっかけとなったからです。物語が進むにつれてハリー、そして、かつてトム・リドルと呼ばれたこの魔法使いのふたりの繋がりはますます強いものへと変わっていきます。額の傷が痛むほどの現実のような夢や幻覚で明らかになるのですが、初期の段階では、リドルはまだ日記を通して自分の一部をハリーに見せることしかできませんでした。また、この日記により、ハリーとヴォルデモートのさまざまな共通点が明らかになり、それが後にハリーを悩ますようになります。例えば、ふたりとももとをたどるとマグルの世界で育てられた孤児であったことや、ホグワーツが彼らにとってはどこよりも心地のよい場所だったことが挙げられるでしょう。また、リドルはこの日記を使い、真実をねじ曲げてジニーに秘密の部屋を開けるようにそそのかしました。そしてこの事件をきっかけに、ハリーはヴォルデモートの頭のなかを垣間見ることができるようになり、結果的にヴォルデモートを倒すための多くのヒントを得ることができたのです。

ハリー初めての吸魂鬼(ディメンター)祓いの訓練

ハリーはクィディッチの試合中に吸魂鬼に襲われて箒から落下したのをきっかけに、ルーピン先生から吸魂鬼防衛術を学ぶことにしました。しかし、守護霊(パトローナス)を呼び出す方法を学んだことは、彼がクィディッチの試合に勝つことよりもはるかに重要なものになりました。というのも、ルーピン先生の指導がなければ、ハリーは吸魂鬼のキスからシリウスを救うことはできなかったでしょうし、吸魂鬼による「リトル・ウィンジング」への思いがけない襲撃のときにダドリーを助けることもできなかったでしょう。また、彼がハーマイオニーやロンとともに変装し、魔法省へ侵入した際、マグル生まれの人たちを安全な場所へ連れ出すのにも、守護霊の魔法は大いに役に立ちました。

こうしてハリーの最も素晴らしい功績のひとつは、1月初旬のある木曜日の夜、誰もいない魔法史の教室でルーピン先生と一緒にはじまったのでした。二度とクィディッチの試合でコントロールを失いたくないという強い思いを抱きながら...。

ダンブルドアがハグリッドの辞表を受け取らなかったこと

ハグリッドが半巨人であることをスクープしたリータ・スキーターの記事は、クリスマスの後に出ました。そして、子供たちが冬休みを終えてホグワーツに戻ってきた1月頃には、ハグリッドの姿はどこにもありませんでした。彼は恥ずかしさのあまり、隠れていたのです。そして、ハグリッドらしくないことに、彼はハリー、ロンそしてハーマイオニーにすら会うことを拒み、大好きだった魔法生物飼育学を教えることも、辞退してしまったのでした。

しかし、生徒たちにとって幸運なことに、ダンブルドアはハグリッドの辞表を受け取りませんでした(グラブリー - プランク先生の授業スタイルのほうが好きだった生徒がいたのなら別ですが...)。これはつまり、誰もが真実を把握し、ハグリッドが自信をもってホグワーツに戻れるということを表していました。

ハリー初めての閉心術の訓練

ルーピンの吸魂鬼祓いの訓練と同じく、心のなかを操るような分野の魔法にハリーが初めて触れることになった閉心術の訓練も、冬のまだ暗い1月のうちから始まりました。しかしながら、吸魂鬼防衛術とは違い、この個別指導はあまり成果がでませんでした。おそらく、ハリーのモチベーションがかなり低かったことも理由に挙げられるでしょう。吸魂鬼祓いの訓練は、ハリーが自分から頼み込んで始まったのに対し、閉心術の訓練はダンブルドアの勧めで始まったものでしたからね。

しかし、成果が出なかった最大の理由は、授業を担当する先生にあったといえるでしょう。スネイプの腕が悪かったといっているわけではありません。――ルーピンでさえ、スネイプの閉心術の実力は認めていました――そうではなくて、スネイプとハリーがお互いに敵対視していたため、よい雰囲気の授業にするのが難しかったのです。そもそも、一体だれが自分の心のなかを、自分のことを大嫌いな先生から攻撃されたいと思うのでしょうか?ところが、この閉心術を上手くものにすることができなかったがために、ハリーは周囲の助言を聞かずにヴォルデモートに心を開いてしまうことになり、結果的にその繋がりを逆手にとってヴォルデモートを倒すことができたのです。そういう意味では、訓練が失敗してよかったといえるかもしれません。

ハリーがチョウをホグズミードのデートに誘ったこと

ハリーは、常に心配や絶望、怒りであふれていたわけではもちろんありませんでした。というのも、ハリーは初めての閉心術の訓練の開始を待っている間の時間を使って(ちょっとした手助けも借りながら)気になっていたチョウ・チャンをホグズミードのデートに誘うことに成功したのですから。

最終的にデートは上手くいきませんでしたし、学年が変わる頃にはハリーはチョウとの関係よりももっと大きな悩みを抱えることになるのですが...。それでも、ハリーはチョウをデートに誘うことに成功したのです。ここまでにお伝えしたように新しいスタートが長く続くわけではないのです。結局のところ、魔法界であっても、1月はただの1月なのです。