スリザリン生になるためのいろんな資質

心的で機知に富んでいるといわれるスリザリン。闇の魔法使いを輩出するという残念な評判もあります。ですが、それだけがスリザリンではありません。スリザリン生がもつあまり知られていない一面を見てみましょう。


自分よりも他人を優先する

スリザリン生は防衛本能が強く、欲しいものを手に入れるために狡猾な手段を使うといわれています。スリザリンの生徒はみんな、ナンバーワンになりたがるイメージがあるでしょう。ですが、それは偏見です。ナンバーワン以上にすばらしい生徒がたくさんいますよ。例えば、リタ・レストレンジ。『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のラストで、リタはニュートと彼の兄のテセウスを危機から救うことを決意しました。グリンデルバルドに取り入るふりをしたのです。そして髑髏のパイプを壊してグリンデルバルドの気をそらし、2人に逃げる時間を与えました。その代償として、リタは炎に飲み込まれてしまうのです。彼女は自己中心的だと思われがちですが、愛する者を死から救うために自分を犠牲にしました。スリザリンだからといって利己的なわけではないということをまさに彼女が証明しています。

野心とは権力を求めることではない

スリザリン生は、最大の権力と力を求めるとされています。ルシウス・マルフォイやドローレス・アンブリッジ、魔法界の支配を目論んでいたヴォルデモート卿といった魔女や魔法使いを輩出していることを考えれば納得でしょう。ですが、野心を別の形で表す者もいます。スコーピウス・マルフォイが、そんなスリザリン生の一人です。彼の野心は比較的小さいうえに、魔法の知識を広げようとする意欲に根差していました。スコーピウスがハーマイオニー・グレンジャーの本のコレクションを見たときの興奮は、忘れられません。彼は、すべてのスリザリン生が同じ野心に突き動かされているわけではないこと、そして野心が小さいからといって、その価値や重要性が劣るわけではないということを証明しています。

誰もが威圧的ではない

高慢で、堂々としていて、キザで、面倒くさい。これらはすべてスリザリン生に対する悪いイメージです。ドラコ・マルフォイは(他人をあざ笑うのが好きなので)イメージどおりのスリザリン生でしたが、威圧的じゃない人もたくさんいます。ホラス・スラグホーンは、まったく無愛想ではないでしょう。確かに、彼はナメクジ・クラブを創設し、自分にメリットがある人に囲まれたがっていましたが、あからさまに意地悪だったり冷酷だったりしたわけではありません。むしろ陽気で、認めた人物は大いに褒め称えていました。また、彼以外にも感じのよいスリザリン出身者はいます。アンドロメダ・トンクス、スコーピウス・マルフォイ、そして(機嫌がいい時の)アルバス・ポッターなどです。スリザリンだからといって、冷たい態度を取って孤立する必要はないのです。

愛に突き動かされる

アンドロメダ・トンクスはスリザリン出身でしたが、常に愛を原動力としていたように感じます。彼女はテッド・トンクスを愛するあまり、家族を捨てる選択をしました。そして、娘のニンファドーラを心から愛していたことは、疑う余地がありませんね。だから不死鳥の騎士団に協力したのです。また、ホグワーツの戦いでトンクスとリーマスが亡くなった後、孫のテディを女手一つで献身的に育てました。アンドロメダにとって、愛は野心や権力より大切であり、彼女はそれもまたスリザリンであるということを示してくれました。また、愛は彼女の妹のナルシッサにも表れています。ヴォルデモートを支持したという点では善人とはいえませんでしたが、彼女は息子のドラコを何よりも大切にしていました。ホグワーツの戦いでは、彼を城に探しに行くために、「ハリーは死んだ」とあのヴォルデモートにウソをついたほどです。高潔な行いではありませんでしたが、すべては愛のためでした。隠したがるとはいえ、結局のところスリザリンも愛にあふれているのです。

自信に満ちあふれていなくてもいい

『ハリー・ポッターと呪いの子』が伝えていたことがあるとするなら、「すべてのスリザリン生が自信家だと思わないでほしい」ということでしょう。アルバス・ポッターとスコーピウス・マルフォイは、自分の立場に自信がない魔法使いでした。スコーピウスの自己肯定感が高くなかったのは、おそらく彼がヴォルデモートの息子だという噂と関係していたのでしょう。アルバス・ポッターはグリフィンドールの一族に生まれながら、一人だけスリザリンになったということで疎外感を抱き、自信をなくしていました。また、ホグワーツであれほど威張っていたドラコ・マルフォイですら、特に死喰い人に悩んだ時は不安と闘っていました。つまり、スリザリン生の多くは冷静に見えますが、内面では葛藤しています。そして、それでも彼らはスリザリンなのです。

すばらしい勇気を持っている

勇ましさと騎士道精神はグリフィンドールの資質として知られていますが、勇気は彼らだけのものではありません。この資質を持つスリザリン生はたくさんいます。レギュラス・ブラックとセブルス・スネイプが、そのよい例でしょう。2人とも複雑な人物で、若くして誤った決断をしました。ヴォルデモート卿率いる死喰い人になったのです。しかし、彼らは大胆にもかつての指導者に反逆し、正義のために命を懸けました。レギュラスは、分霊箱を破壊してヴォルデモートを倒そうとスリザリンのロケットを盗み、スネイプはダンブルドアのスパイとなって危険に身をさらしました。2人とも決して卑怯者ではありません。立ち向かおうとするスリザリン生は、他にもたくさんいることでしょう。