ルーナ・ラブグッドについてわたしたちがまだ気づいていないこと

ルーナとハーマイオニーの性格は真逆

これだけ聞くと、少し悪意のある表現のように感じます――なぜってハーマイオニーと対極にいるのは、ベラトリックス・レストレンジのような人ではないでしょうか?――しかし「ルーナはハーマイオニーと真逆」と言ったのはJ・K・ローリングで、読者はその言葉になるほど、と思いました。J・K・ローリングの言葉はこんなふうに続いています。「ハーマイオニーは物事をとても論理的に考える人で、その反面いろんな場面で頑固な部分がある。ルーナは朝起きて朝食のまえには、すでに奇想天外なことを10個信じているような人」

いろんな意味でそのとおりではないでしょうか――ルーナは、ハーマイオニーにはない自由な考えを持っています。だからといって、ハーマイオニーが楽しむことを少しも知らない性格だというわけではありません。しかし、常識と理性に従って行動するハーマイオニーに対して、ルーナは......そうですね、少し夢見がちともいえます。

ルーナはブリバリング・ハムディンガーやしわしわ角スノーカックの存在を信じていますが、一方ハーマイオニーは占い学のような「曖昧」な教科は苦手です。ふたりとも素敵な性格ですが、歩んでいる道は違います(それでもやっぱり、どちらの道も素晴らしいです)。

「あたしもあの会合が楽しかったよ」ルーナがけろりとして言った。
「友達ができたみたいだった」
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

ルーナとネビルは付き合っていたかもしれない

ルーナは『ハリー・ポッターと死の秘宝』のなかでは、だれとも付き合うことはありませんでしたが、ネビルとはいい雰囲気になっていました(映画版だけのことですが)。最終的にカップルにはならなかったものの、J・K・ローリングはネビルとルーナは付き合っていたかもしれないと明かしています。

J・K・ローリングは以前、〈USAトゥデイ〉紙にルーナとネビルは互いに「ほのかに惹かれて」いると語っています。さらに、最後にふたりが結ばれる結末は「あまりにもうまくいきすぎている」のではないか、いくらふたりが仲良しといっても「ネビルはルーナのとんでもない空想の世界にいつもびっくりしていたと思う」と付け加えています。お似合いのふたりでしたが、ルーナはネビルと同じくらい素敵な人と結婚します。

ルーナの夫はニュート・スキャマンダーの孫

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)が製作されたおかげで、わたしたちは「ハリー・ポッター」シリーズのときよりもずっとニュートについて知ることができました。いま改めて考えると、ルーナがスキャマンダー家の一員になったのはすごいことですよね。ルーナも夫のロルフも魔法動物学者であることや、夫婦で「おかしな魔法動物を探して世界を駆け回っている」というのですから、魔法動物が大好きで変わり者と言われていたルーナのことを考えるとうなずけますよね。

J・K・ローリングはルーナについて聞かれたとき、こんなふうに答えています。ルーナは「新種の魔法動物をたくさん発見し、分類したのよ(それでも、しわしわ角スノーカックは見つけられず、父親が作りだした架空の動物なのかもしれない、という考えを受け入れるしかなかったの)」成長したルーナのエピソードには感激ですが、しわしわ角スノーカックが架空の動物だったことは残念です。

ぴったりな名前

みなさんご存知のとおり、ルーナという名前はラテン語で「月」という意味があり、歴史を通して月は人の精神状態に影響を与えるものとして描かれてきました。ホグワーツ生時代、ルーナは変わっているということや、ほかの人よりほんのすこし自由な性格、不思議な信念を持っていることを理由にいつもからかわれていました。「ルーニー(変わり者)」というニックネームも偶然つけたものではないと思っていいのではないでしょうか。

「心配ないよ。あんたはあたしと同じくらい正気だもン」
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

最初は全く違う人物だった

ハリーの入学式で行われた組分けの儀式をよく注意して見ると、おなじみの不機嫌そうな帽子が「ムーン」という名字を叫ぶシーンがあります。のちに、J・K・ローリングはルーナについて、もともとはリリー・ムーンという名前だったことを明かしました。『ハリー・ポッターと賢者の石』のなかで、リリーの名前は「ムーン」としか書かれていません。そして、もちろん「リリー」はハリーの母親の名前でもあります。

リリー・ムーンという人物は組分けの儀式で名前を呼ばれているものの、主要な登場人物ではありませんでした。しかし、リリー・ムーンのおかげでJ・K・ローリングに「風変わりな空想家の女の子」のアイデアが浮かび、ルーナが生まれたのですから、わたしたちは感謝しないといけませんね。

残っている生徒は少なくなってきた。
「ムーン」・・・・・・「ノット」・・・・・・「パーキンソン」・・・・・・、
双子の「パチル」姉妹・・・・・・、
「パース・サリー-アン」・・・・・・、
そして、ついに―――
「ポッター・ハリー!」
『ハリー・ポッターと賢者の石』

風変わりな性格に隠された素晴らしい知性

あたりまえのことかもしれませんが、ルーナは変わっているせいで、それほど賢くはないと思われがちです。J・K・ローリングの言葉をかりると「ルーナは朝起きて、朝食のまえには、すでに奇想天外なことを10個信じているような人」ですが、のみ込みがはやく、ずば抜けた知性の持ち主です。例えば、『ハリー・ポッターと死の秘宝』でハリーがレイブンクロー寮の談話室に入るのをルーナが助けたときのことです。

「ああ・・・・・・問題は、ほかの誰かが来るまで待つ余裕はないんだよ、ルーナ」
「うん。わかるよ」ルーナがまじめに言った。
「えーと、それじゃ、あたしの考えだと、答えは、円には始まりがない」
「よく推理しましたね」
声がそう言うと、扉がパッと開いた。
『ハリー・ポッターと死の秘宝』

『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、ルーナが再びハリーを助けにきます――それも、ハリーが最も助けを必要としている瞬間に――ハリーが守護霊を出せるように励ましたのでした。

「それでいいんだよ」
ルーナが励ますように言った。まるで「必要の部屋」に戻ってDAの呪文練習をしているにすぎないという口調だ。
「それでもいいんだもン。さあ、ハリー・・・・・・ほら、何か幸せなことを考えて・・・・・・」 「何か幸せなこと?」ハリーはかすれた声で言った。
「あたしたち、まだみんなここにいるよ」ルーナが囁いた。
「あたしたち、まだ戦ってるもン。さあ・・・・・・」
銀色の火花が散り、光が揺れた。そして、これほど大変な思いをしたことはないというほどの力を振り絞り、ハリーは杖先から銀色の牡鹿を飛び出させた。
『ハリー・ポッターと死の秘宝』

CREDIT:COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
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