"魔法界の英雄"ネビルがホグワーツでさえない日々を過ごした理由

ネビル・ロングボトムはホグワーツでの冒険を通して、最も落ちこぼれの生徒から魔法界の英雄に成長しました。

みなさんは知っていますよね――ダンブルドア軍団を再結成し、死喰い人からホグワーツを守るために奮闘し、組分け帽子から剣を取り出して立派なグリフィーンドール寮生だということを証明して、そしてその剣で最後の分霊箱だったナギニを倒しました。

だからといってネビルは、素晴らしい剣の使い手でも、だれもが認める優秀な生徒でもありませんでした。実際、入学してから数年間のネビルの学校生活は最悪でした。多くの人にもわかるように、内気な少年から、蛇のナギニを倒すまでに成長するのは一夜にして成し遂げられることではありません。

「この学校に入学することになった時のみんなの顔を見せたかったよ。みんな僕の魔法力じゃ無理だと思ってたらしい。」
『ハリー・ポッターと賢者の石』

例えば入学初日、ホグワーツ特急の中でのネビルはどんなことを考えていたのでしょう。きっと、自分は落ちこぼれだと思っていたにちがいありません。純血な魔法使いの家族に生まれたネビルでしたが、自分がホグワーツに入学するとは考えてもいなかったようです。なぜなら、ネビルには魔法を使う力がないと家族に思われていたからです。

家族にそんなふうに思われていたネビルが、自分の魔法を使う能力に自信がないのは無理もありません。そんなネビルがホグワーツ特急で最初に会ったのは"同学年の中で最も賢い魔女"と言われるハーマイオニーでした。ネビルからしてみれば恐ろしかったことでしょう。クラッブやゴイルに出会っていたら、少しは自信が持てたかもしれませんね。

そして、さらに悪いことに、ネビルの唯一の友だちだったヒキガエルのトレバーがいなくなってしまいます。ハグリッドに言わせると、ヒキガエルはかっこいいペットではないのですが、ネビルは入学一日目からヒキガエルに逃げられた子としてみんなに知られてしまいました。ホグワーツに足を踏み入れる前からこんな調子なので、学校生活が始まってからも不運の連続でした。

「ハリー・ポッター」シリーズを通して、ネビルの最大の悩みの種はセブルス・スネイプでした。魔法薬の教授スネイプは、学校中で最もネビルに嫌がらせをしていた人物と言えるでしょう。スネイプは何の理由もなくネビルをつらい目にあわせました(もちろん、予言で語られたヴォルデモートを打ち倒す者はネビルのことを示していたかもしれませんが、ヴォルデモートはハリーのことだと思っていました)。そのせいで魔法薬の授業でのネビルは、スネイプを恐れていつも以上に失敗を繰り返し、ペットのトレバーを殺されるかもしれないとおびえていました。スネイプがトレバーを殺すと脅した場面を振り返ってみましょう。

ネビルは赤くなって小刻みに震えている。いまにも涙をこぼしそうだった。
「ロングボトム、このクラスの最後に、この薬を君のヒキガエルに数滴飲ませて、どうなるか見てみることにする。そうすれば、たぶん君もまともにやろうという気になるだろう」
スネイプは、恐怖で息もできないネビルを残し、その場を去った。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の後半で、ネビルのスネイプに対する恐怖が描かれています。毎日、最も恐れている人物と顔をあわせなければならない状況を想像してみてください。ハリーにとっては吸魂鬼と出くわすこと、ロンにとってはクモが出てくること、ハーマイオニーにとっては試験に落ちること――それが毎日起きるのです。そんな日々を過ごすネビルが自分に自信を持てるでしょうか。

ネビルは杖を上げ、口をパクパクさせながらあとずさりした。スネイプがローブの懐に手を突っ込みながらネビルに迫った。
「リ、リ、リディクラス!」
ネビルは上ずった声で呪文を唱えた。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

ですが、ネビルにも友だちはいます。もちろん、ネビルのことを嫌っているグリフィンドール寮生はいません。みんなネビルのことを友だちだと思っています。しかし『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』まで、ホグワーツの複雑な人間関係の中でネビルが活躍することはありませんでした。例えば、ネビル以外の生徒はみんな、親友と呼べる友だちがいます。心を開ける友だちがいないのは、エロイーズ・ミジョンも同じですが、それは別の機会に取り上げることにしましょう。

グリフィンドール寮の談話室では、ディーン・トーマスとシェーマス・フィニガンがよく一緒にいるところが描かれています。もちろんハリー、ロン、ハーマイオニーの三人も。そうなると、ネビルの親友は誰でしょうか。ペットのヒキガエル、トレバーだけです。そのトレバーでさえも、よく逃げ出してしまいます。

さらに、ネビルとふたりきりになる機会があったのに、離れていってしまう生徒さえいました。

最も悲しい例を挙げると、ホグズミード行きの許可が下りなかったときのことです。ネビルとハリーは一緒に宿題をすることになっていました。ハリーはみんなの帰りを待ちながら、ネビルと一緒に過ごしてもよかったのです。または、忍びの地図のことをネビルに話して一緒にホグズミードに行くこともできました。しかしハリーは、ネビルの知らない間にひとりでホグズミードに行ってしまいました。ハリーが図書館に戻ってこないと気づいたとき、ネビルはどんな気持ちになったのでしょう。

しかし、逆境に負けず、ネビルは英雄へと成長しました。ネビルが英雄になるために必要だったのは、素晴らしい先生からの励まし(マクゴナガル先生に感謝!)と、薬草学の才能と、ドローレス・アンブリッジに抑制されたホグワーツで、正しい闇の魔術に対する防衛術を教え合うダンブルドア軍団でした。

みなさんも、自分に自信が持てなかったり、自分にはできないと不安になったりしたときに、ネビルのことを思い出してみてください。

ただし、ヒキガエルをペットにするのはやめましょう。

CREDIT:COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE

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