「ハリー・ポッター」シリーズに登場する猫のなかで一番を決めるなら?

ホグワーツの猫たちの戦いで最後に勝ち残るのは1匹だけです。


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魔法界は、猫派、犬派のどちらかに分けられるほど単純ではありません。猫や犬よりもヒッポグリフが好きだったり、ピグミーパフが大好きだという人がいたり、水のなかに生息するグリンデローに夢中、という人だっているかもしれません。そうは言っても、「ハリー・ポッター」シリーズには、猫や犬があらゆる場面で存在感を発揮していました――つまりこれは、極めて重要なランキングなのです。

ミリセント・ブルストロードの猫


ハリー・ポッターと秘密の部屋

黄色い目をした黒い毛のこの猫は、ホグワーツでそれほど多く登場したわけではありませんが、かなり派手な事件を巻き起こしています。原因は、猫の毛です。それを、ミリセント・ブルストロードの髪の毛だと勘違いしたハーマイオニーは、半分人間、半分猫の姿に変身してしまいます。この事件のせいで、ミリセントの猫は最下位になってしまいました!

ハーマイオニーの顔は黒い毛で覆われ、目は黄色に変わっていたし、髪の毛の中から、長い三角耳が突き出していた。「あれ、ね、猫の毛だったの!」ハーマイオニーが泣き喚いた。「ミ、ミリセント・ブルストロードは猫を飼ってたに、ち、違いないわ!それに、このせ、煎じ薬は動物変身に使っちゃいけないの!」
「ハリー・ポッターと秘密の部屋」

ドローレス・アンブリッジの色鮮やかな子猫たち


ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

有名な悪役には、名刺代わりとも言える特徴があります。たとえば、ヴォルデモート卿は「闇の印」、口から蛇が出ているドクロのマークです。ドローレス・アンブリッジにとっては、丸く見開いた目をした、丸い顔のおてんばな子猫たちです。子猫たちは、アンブリッジの部屋に飾り付けられた、ティーカップやお皿のなかを動き回っています。

どういう訳かこの光景は、アンブリッジをより恐ろしく感じさせます。なぜなら、みんな彼女の甘ったるい趣味に気を取られてしまうからです。色とりどりの猫を見ると、つい、かわいいと思ってしまいますよね。可愛い洋服と紅茶で相手を誘い、その後は、その人の尊厳や生きる意志を奪っていきます。だからこそ、アンブリッジの猫たちは、このランキングに名前を連ねるのにふさわしいのです――猫たちは、とてつもない策略の道具として使われていました。

それに、ハリーはアンブリッジのことを「悪趣味」と言っていますが、壁いっぱいに飾られたお皿のなかにいるいたずら好きで色鮮やかな猫たちは、かわいい以外のなにものでもありません。

ドライフラワーをたっぷり生けた花瓶が数個、その下にはそれぞれかわいい花瓶敷、一方の壁には飾り皿のコレクションで、首にいろいろなリボンを結んだ子猫の絵が、一枚一枚大きく色鮮やかに描いてある。あまりの悪趣味に、ハリーは見つめたまま立ちすくんだ。するとまたアンブリッジ先生の声がした。「こんばんは、ミスター・ポッター」
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」

ミセス・ノリス


ハリー・ポッターと謎のプリンス

アーガス・フィルチについては、複雑な気持ちになる人もいるでしょう。フィルチは、ものすごく理不尽で、ホグワーツの生徒たちの生活を全力で惨めなものにしてやろうと考えています。しかしその一方で、世界でも有数の魔法にあふれた空間のなかで、スクイブ(魔法が使えない存在)として生きる意義を見出そうとしています。

ミセス・ノリスは、そんなフィルチにぴったりに思えます。手のかかる生徒たちの校則違反を見つけ出す仕事や、まわりの人に攻撃されそうな状況では楽しいはずがありません。しかし、猫としては最高の仕事なのかもしれません。ミセス・ノリスは、反抗的な生徒に罰を与えることができ、ホグワーツの主導権を握っています。また、彼女が仕事にとても忠実で、大変優秀だという事実は明らかです。ミセス・ノリスは、フィルチのよき友であり、おまけにとても毛並みがフワフワしています。それら全てから、「ハリー・ポッター」シリーズの猫ランキングでは、3位にランクインしました。

フィルチはミセス・ノリスという猫を飼っていた。やせこけて、ほこりっぽい色をして、目はフィルチそっくりのランプみたいな出目金だった。ミセス・ノリスは一人で廊下の見廻りをしていた。彼女の目の前で規則違反をしようものなら、たとえ足の指一本が境界線を越えただけでも、あっという間にフィルチにご注進だ。二秒後にはフィルチが息を切らして飛んでくる。フィルチは秘密の階段を誰よりもよく知っていたので(双子のウィーズリーには負けるかもしれないが)、ゴーストと同じくらい突然ヒョイと現れた。生徒たちはみんなフィルチが大嫌いで、ミセス・ノリスを一度しこたま蹴飛ばしたいというのが、密かな熱い願いだった。
「ハリー・ポッターと賢者の石」

ミネルバ・マクゴナガル

この、縞模様の素晴らしい猫がランキングの1位ではない理由は、ただひとつ。本物の猫ではないからです。ミネルバの「動物もどき」としての能力にはすっかり感心してしまいますが、それでも本当は猫ではなく、魔女だという事実は変わりません。このランキングの1位の猫は、動物もどきの変身をすぐに見破ることができるのです。

そうは言っても、わたしたちはその小さな手足から眼鏡のような模様まで、ミネルバのことが大好きです。『ハリー・ポッターと賢者の石』のはじめから、ハリーにとって頼りになる存在で、人間のときも、猫のときもいつも味方になってくれていました。なので、動物もどきの人間のなかでは1位、猫ランキングでは僅差で2位です。

「マクゴナガル先生、こんなところで奇遇じゃのう」トラ猫の方に顔を向け、ほほえみかけると、猫はすでに消えていた。かわりに、厳格そうな女の人が、あの猫の目の周りにあった縞模様とそっくりの四角いメガネをかけて座っていた。やはりマントを、しかもエメラルド色のを着ている。黒い髪をひっつめて、小さな髷にしている。「どうして私だとおわかりになりましたの?」女の人は見破られて動揺していた。「まあまあ、先生。あんなにコチコチな座り方をする猫なんていやしませんぞ」
「ハリー・ポッターと賢者の石」

クルックシャンクス


ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

クルックシャンクス!猫の王様!

シリーズを通してあらゆる動物が登場するなかで、クルックシャンクスがその頂点にいると言っても過言ではありません。半分ニーズルの血を引いていて(それでもちゃんと猫です)、常に自分らしくふるまっています。つぶれたような顔で、最高にフワフワした体を持ち、ガニ股で赤毛の、疑い深い性格です。猫と犬は仲良くならないものですが、それでもクルックシャンクスは、危険が迫ったシリウスを助けました。さらに、スキャバーズが見た目どおりのネズミではないことを一瞬で見抜いてしまいました。

ロンはクルックシャンクスが、自分のネズミのスキャバーズを食べようとしていると思っていたので、とても嫌っていました。むしろクルックシャンクスはこの裏切り者(スキャバーズに扮したピーター・ペティグリュー)に魔法界の裁きを与えようとしていたのです。クルックシャンクスは、ブサイクだと言われることもあるし、首に飾りをつけられることもあります(とてもみっともない姿になってしまいます)。それでも、ホグワーツのために、猫の本能を働かせています。

もっと早く、彼の良さに気づくべきだったのです。結局、クルックシャンクスはハーマイオニーのペットとして選ばれました。誰もが認める猫ランキング1位は、クルックシャンクス以外にいるでしょうか。クルックシャンクス、わたしたちはこれからもあなたのことが大好きです。

「この猫は狂ってはいない」ブラックのかすれ声がした。骨と皮ばかりになった手を伸ばし、ブラックはクルックシャンクスのふわふわした頭を撫でた。「わたしの出会った猫の中で、こんなに賢い猫はまたといない。ピーターを見るなり、すぐ正体を見抜いた。わたしに出会った時も、わたしが犬でないことを見破った。わたしを信用するまでにしばらくかかった。ようやっと、わたしの狙いをこの猫に伝えることができて、それ以来わたしを助けてくれた......」
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」

CREDIT:COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
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