ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
ハリーとハーマイオニーは、トロールと遭遇した後に友情を深めていきました。ただその一件はふたりをそれ以上の関係に発展させるほどの効果はなかったようです。今回は、男女の友情を証明するハリーとハーマイオニーのエピソードを見ていきましょう。「日刊預言者新聞」のジャーナリスト、リータ・スキーターが何を言ってもむだです。
ほとんどの場面でロンは大親友ですが、関係がぎくしゃくすることもありました。三大魔法学校対抗試合や分霊箱探しの旅の途中で、嫉妬心をあらわにする様子が描かれています。
しかし、ハーマイオニーのハリーに対する友情がゆらぐことはありませんでした。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、ハリーとロンのあいだに大きな溝ができてしまいます。ハリーが三大魔法学校対抗試合の選手に立候補していない、ということをロンが信じなかったことが原因でした。主に嫉妬心が原因だったのですが。一方で、ハーマイオニーは最後までハリーを信じていました。夜遅くまで、ハリーが巨大なドラゴンに打ち勝つ方法を一緒に考えてあげました。
もちろん、論理的なハーマイオニーは、ハリーの行動に疑問を感じたこともありました。たとえば、ハリーが魔法省に向かう前にシリウスの無事を確かめずにはいられなかったときもそうです。しかし、ハーマイオニーはその時も一緒にアンブリッジの部屋へ付き添ってくれたのでした。ハリーは、そんなハーマイオニーの様子は「団結と忠誠の証だ」と感じていました。
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ハーマイオニーは、いつもハリーの側にいてあげるだけでなく、精神的な支えにもなっていました。ドラゴンのノーバートをロンの兄、チャーリーに届けるのを手伝ったり、三大魔法学校対抗試合のひとつめの課題で使う呼び寄せ呪文(アクシオ)の練習につきあったり、水中で息をする方法から分霊箱を破壊する方法まで調べつくし、冒険のあらゆる場面でハリーを助けていました。ふたりが親友になった大きな理由を挙げるとすれば、ハリーが助けを必要としているとき、たとえ口に出さなくても、ハーマイオニーはちゃんと気づいていたことです。グリモールド・プレイス(シリウス・ブラック邸)で、ウィーズリー一家がハリーの見るヘビの視点の夢について話していたとき、塞ぎ込んでいたハリーを部屋からひっぱり出して、みんなと話をさせたのはハーマイオニーでした。
ふたりの友情が描かれるのは、シリアスな場面ばかりではありません。ハリーとハーマイオニーが笑い合う場面からは、ふたりの笑いのツボが似ていることがわかります。ホグワーツの司書マダム・ピンスに、「上級魔法薬」の本に書き込みをしたと勘違いされたときには、彼女の恐ろしい反応にふたりは図書室から逃げ出しました。そして、マダム・ピンスとアーガス・フィルチの関係について、ふたりはあれこれ推測しながら楽しんだのでした。
ハーマイオニーは、簡単に規則を破るような人物ではありませんが、危険が迫ったときには、トラブルに巻き込まれることが分かっていても、友だちを優先します。ハリー(とロン)を説得してポリジュース薬を作ったり、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、ハリーのかわりに透明マントを取りにこっそり戻ってきたり、ダンブルドア軍団の活動を続けるために力を尽くしたり、それから、分霊箱を探す旅でもたくさんの規則を破っていました。もし、ハーマイオニーの規則に対する考えが、はじめのころから変わらずかたくなだったら、ハリーはもっと大変な事件に巻き込まれていたことでしょう。
ハリー・ポッターと謎のプリンス
もちろん、ハリーもそれを分かっているので、ハーマイオニーの能力についてホラス・スラグホーンに「僕の友達の一人もマグル生まれです。しかも、その人は学年で一番です」と、自信を持って話しました。ハリーは、ただ事実を言っただけで、その言葉に隠された意味や策略はありません。ハリーの言葉をきいたとき、ハーマイオニーは喜んだのは明らかですよね。ハーマイオニーの頭の良さは誰もが知っています。しかし、それについて、友だちから褒められたり感謝されたりすることの喜びは格別ですよね。
ハーマイオニーがハリーを救ったのは魔法の能力だけではありません。恋愛面でも適切なアドバイスをくれました。チョウがどう思っているかも、マダム・パディフットの店でのデートでハリーがどう振舞うべきだったかも、根気強く教えてくれました。ハーマイオニーがいなければ、ハリーのデートはもっとひどいことになっていたかもしれません......。
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......結局ハリーはチョウを優先すべきというハーマイオニーのアドバイスに従いませんでした。
これも、ハリーがハーマイオニーとの友情をどれほど大切に思っていたかが分かります。ダンブルドア軍団のメンバーがサインをした羊皮紙のしかけについて、ハーマイオニーのアイデアに怒ったチョウはハリーを問い詰めました。それに対してハリーは、はっきりと「僕は素晴らしい考えだったと思う」と答えました。ハリーは、それが好きな女の子を怒らせることになっても、友情をとったのです。
ハリーは、チョウの気持ちは理解しきれなかったかもしれませんが、それが友だちのこととなると、とても敏感に察していました。ロンとハーマイオニーのあいだに何か起こるかもしれないと感じたハリーは、ロンとラベンダーが付き合いはじめたことをハーマイオニーが嬉しく思っていないことに気づきます。ハーマイオニーが使われていない教室で呪文を唱えているのを見つけたハリーは、どんな言葉をかけたらいいのか分かりませんでした。それでも、ハリーはハーマイオニーのそばにいてあげたのです。
ハリー・ポッターと謎のプリンス
ハリーとハーマイオニーの友情が深まっていくにつれ、お互いに贈るプレゼントから驚くほどの思いやりが感じられます。ハーマイオニーからハリーにはふくろう通信販売で購入した箒磨きセットを、ハリーからハーマイオニーには『新数霊術理論』の本をクリスマスに贈りました。プレゼントからも、お互いのことを完璧に理解しあっていることが伺えます。
ハーマイオニーは、いまだに世話を焼きすぎちゃうこともありますが、それはいつも通り仲間を思いやってのことなんですよ。
『ハリー・ポッターと死の秘宝』でロンがハリーとハーマイオニーのもとを去ってから、暗く静かな毎日が続き、その日々は、ふたりにとって最悪の時期でした。どこへ行けばいいのか分からずゴドリックの谷にたどり着いて、ハリーの両親のお墓を前にしたときは、特に辛い場面でした。ハーマイオニーは、自分の魔法の杖で花輪をつくり、ハリーに渡すと、両親のお墓にそなえます。ここでも、ハリーが必要としていることを汲み取っていました。
その後、「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」を読んでハリーが動揺したとき、ハーマイオニーは、同じようになぐさめます。黙ったまま、そっとハリーの頭をなでました。ハーマイオニーは、言葉に出して慰めることもできたかと思いますが、親友たちはよく分かっているのだと思います。時には、沈黙も心地よいものだ、ということを。
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CREDIT: COURTESY OF POTTERMORE
出典:POTTERMORE
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